元WBO世界フライ級王者で中国で物凄い人気を誇る木村翔、思いっきり振り回しながら前に出てくるプレッシャーの強さは凄まじい典型的なブルファイターです。
木村はとにかく振り回してくる剛腕ファイター。かつて中国でオリンピックで二度金メダルを獲得した技巧派で中国の英雄であるゾウ・シミンを中国にて11ラウンドTKO勝ちを収めた経緯があり日本よりも中国で知名度があります。WBOフライ級王座の2度目の防衛戦も中国でサルダールをKOしましたね!!
田中恒星とのファイト・オブ・ザ・イヤーに選ばれるほどの大激闘を繰り広げた末に12ラウンド判定負けでフライ級王座を陥落しましたが無敗の田中を追い詰めており、今回は階級を一つ下げて第二のホームと言える中国にてカニサレスに挑みましたがここでは判定負け。再起が待たれております。
木村は天才的なものがあるわけではなくキャリアの初めはKO負けで始まっている選手です。しかしへこたれずにハードなトレーニングを続けた結果無尽蔵のスタミナとテクニックを度外視した大ぶりの左右フック。引っこ抜くようなアッパーで相手に今日を与えて押し込むスタイルを確立します。結果オリンピアンも倒せるパワーボクシングを身に付けているわけですね!なので素人でもわかりやすいファイターです。
そこで中国で行われることが多い木村の試合を楽しむために木村の経歴をまとめてみました!!
Contents
木村翔について

木村翔は埼玉県熊谷出身の1988年生まれの現在30歳。アマチュアでの経験はなく、たたき上げで世界王座を獲得してきた野性味あふれるとてもタフな選手です。
テクニックの面では他の王者クラスからは遠く及ばないもののその強靭に鍛え上げたフィジカルと思い切り振りぬいてくる左右のストレート、フック、ボディで相手を削りまくります。さらには豊富な練習量に裏打ちされた驚異的なスタミナもあるため相手からしたらたまったものではないですね!!
意外と苦しい試合やったけどボディブローは世界指折り…田中恒成vs.ジョナサン・ゴンサレス
フライ級時代
木村は2013年にデビューしましたが思いっきり初回KO負け。この頃はまだまだ注目や期待されるような選手では決してなく、4回戦からデビューしたエリートでもなかったですね。
その後2試合目からは今ではなかなか考えられない判定勝ちを積み重ねます。タイでの試合も経験しており引き分けも二度経験。2015年からKO勝ちを積み重ねていきます。
そして2016年には日本で初のタイトル戦となるWBOアジア・パシフィックフライ級王座を坂元真宏と争います。坂元は大学院生ボクサーとして有名で後にIBFフライ級王者であるモルティ・ムザラネに挑戦して大いに善戦した末の10ラウンド目の腫れによるTKO負けを喫しますな。
この試合はハートが強い両者のお互いに一歩も引かない物凄い試合となります。お互いの大振りのパンチが交錯する試合となった末に木村が僅差判定勝ち。坂元に初黒星を擦り付けて初のタイトルを獲得、WBOでの世界ランキングを手にしました!!
その後半年ぶりの試合を中国にてKO勝利で終えた木村には新たなチャンスが到来します!
ムザラネは百戦錬磨やからな…モルティ・ムザラネvs.坂本真宏
ゾウとの対戦とフライ級王者時代
木村は2017年の7月にキャリア最大のチャンスが訪れます。WBO世界フライ級王者のゾウ・シミンへの挑戦です。ゾウはかつて北京オリンピックとロンドンオリンピックで金メダルを獲得した中国の英雄。プロに入ってからもトップランクと契約してIBF王者だったアムナット・ルエンロンには敗れたもののWBO王座決定戦を勝ち抜いて中国の英雄として世界王座を獲得しましたね!!
ゾウの初防衛戦として大きな注目を集めたこの試合はゾウのホームである中国で開催。日本ですらあまり名の売れていない木村は圧倒的不利が予想されます。
しかし試合ではトップランクと解約したりブランクが空きがちだったゾウの動きがあまりよくなく、木村はゾウにパワーがないことを見越して開始からガンガン前に出てKOを狙います。ゾウはスルスルと木村のアタックをかわしていたもののパンチを当てても当てても前に来て左右フックを振り回す木村の前にスタミナをみるみる消耗。11ラウンドについに捕まります。木村はスタミナの消耗が激しいゾウに大ぶりのフックを見舞ってゾウは自らしゃがみ込むようにダウン!!立ち上がったもののゾウの状態を見たレフェリーが試合をストップして木村が殊勲の王座獲得を果たしました!!
ゾウはこの試合の後左目の視界をほとんど失うなど引退の危機に直面し、現在までリングには上がっていません。おそらく今後もリングに戻ることはないと思われ実質的な引退状態ですな。
そんな木村は2017年大みそかに田口良一VSミラン・メリンドの前座にて初防衛戦。指名挑戦者の五十嵐俊之との対戦となります。五十嵐は元オリンピアンで元WBC王者。サウスポーのスピードスターで八重樫東と清水智信には敗れたもののポテンシャルは高い選手ですな。
木村はこの試合でもいつも通り左右フックとストレートを振り回して下がる五十嵐を追撃。左右ボディも織り込んで五十嵐はテクニックが通用しない木村の前に大苦戦。木村のアタックにポイントを奪われ続けて9ラウンドにコーナーに追い詰められた五十嵐はストップ!!木村が快勝を上げました!!ちなみに五十嵐はこの試合を最後に現役を引退しましたな・・・
その後木村は2018年7月に中国にて2度目の防衛戦。WBOミニマム級王者のビック・サルダールの弟のフロリアン・サルダールと対戦します。ゾウとの試合で日本よりも人気のある木村はホームでの試合と言えますね笑。
この試合ではサルダールを開始から押し込んで左右ボディでサルダールにダメージを与え続けて5ラウンドにダウンを奪います!!そして6ラウンドにボディブローでKO!!中国で防衛を果たしました!!
田中恒正との激闘とライトフライ級へ
木村は3度目の防衛戦で試練を迎えます。2階級制覇王者の田中恒正との防衛戦です!!田中はここまで無敗の天才パンチャー。左ボディを軸とした鋭い攻撃が持ち味で日本最短記録となるプロ5戦目で世界王座を獲得。これまでWBOミニマム級、WBOライトフライ級王座を獲得してきていますね!
田中はキャリアの中で後に世界王者となるビック・サルダール、2階級制覇王者のモイセス・フエンテス、後に世界王者となるアンヘル・アコスタをことごとく下しており無敗のまま3階級制覇をもくろんできましたな。
田中の地元である岐阜県で行われたこの試合は稀にみる激闘となります。木村は敵地であっても前に出て左右フックを振り回して田中は強烈な左ボディで木村の動きを止め、木村はスリップと判断されたもののダウンを奪います。12ラウンドには二人ともノーガードで打ち合い、結果は2-0の僅差判定で田中!!ダウンと裁定されていればドローだったのですがこの試合はファイト・オブ・ザ・イヤーに選ばれて世界中で大きな反響を呼びましたね!!!
この試合後木村は号泣してもう引退すると話していたもののまたやるかもと笑顔で話して彼の飾りのない人柄が垣間見えましたね笑。
再起とライトフライ級
田中に敗れた木村は2019年3月に中国で再起。3ラウンドKOで勝利して空位のOPBFフライ級シルバータイトルを獲得しています。
そして木村はライトフライ級に転向!!2019年の5月25日に中国にてWBAレギュラー王者のカルロス・カニサレスに挑戦することをアナウンス。フライ級のウェイトを楽に作れると話していた木村ですがライトフライ級に下げたときにパフォーマンスがどうなるのか見ものでしたね!
カニサレスはベネズエラの強打者で多くの運動量を誇るブンブン振り回してくる厄介者。日本のリングで当時WBA王者として長期政権を築いていた田口良一を苦戦させており引き分け、神戸で小西伶弥からダウンを奪って激戦を制してレギュラー王座を獲得するとマレーシアでプロ2戦目の相手に12ラウンドTKO勝ちで防衛を果たしております。ここまで無敗でなかなかに評価の高いパンチャーですな。
そしてこの試合はカニサレスがウェイトを1つ下げてきた木村に対して間合いを取るアウトボクシングを展開。木村はいつも通り前に出て振り回してくるものの明らかにいつものような馬力はなく減量の影響を感じさせてカニサレスの足は止まることなくコツコツパンチを当てて大差の判定勝ち。木村は2階級制覇に失敗しておりますね
フィリピンでの再起戦
カニサレスに敗れた木村は所属するジムの青木ジムも休会となったことで行き場を失くしますが、2020年2月にフィリピンにて元WBOミニマム級チャンピオンのメルリト・サビージョとの再起戦が決まります。
サビージョは元OPBFチャンピオンで後に高山勝成に挑戦する加納陸や、後にWBOチャンピオンになる山中竜也とも試合をしているベテランサウスポー。チャンピオン時代は田口良一に挑戦したルイス・デラ・ロサや京口に挑戦したカルロス・ブイトラゴを退けていますが今は3連敗中ですね!
そして試合は開始から木村が体格的に小さなサビージョにプレッシャーをかけまくる展開になります。ロープに詰めての左右ボディで初回から優位に立つと迎えた2ラウンドに開き直ったサビージョが右フックを連打!しかし木村は落ち着いて左フックを合わせるとサビージョは前のめりにダウン!!木村がストップ勝ちとなりました!!
今後期待される試合
木村に今後期待される試合はやはり世界タイトルマッチです。
軽量級のビッグネームだったゾウ・シミンを敵地のど真ん中で下してきた木村はアジア圏でめちゃくちゃ人気者です。だからこそ中国での試合に呼ばれてますし最近の中国でのボクシングの人気の高まりを考えるとこれからも呼ばれることは多いと思います!
木村は元世界王者の肩書きがあります。これはかなり大きいですし軽量級は基本的に選手の層が薄いのでチャンスも回ってきやすいです。特に木村の場合相手と場所を選ばないのでこれからもチャンスは来ると思いますね!
年齢的に引退してもおかしくはないのですがまだまだやれると思いますし個人的にはまたフライ級に戻して田中との再戦をしてほしいなと思っております。
木村翔のファイトスタイル
木村翔のファイトスタイルは野性的な左右フックを振り回してくるパワーファイトです。相手と間合いをじりじりと詰めて射程距離に入ると思いっきり右フックを顔面とボディに打ち分けてくるため怖いことこの上ないです笑。
しかも多少打たれることが前提のスタイルのためかなり打たれ強く、ガードもかなり堅牢です。駆け引き抜きでの打ち合いを挑んでくるのでテクニシャンにめっぽう強く、野性味あふれる試合が持ち味ですね!!
また、隠れた武器として無尽蔵のスタミナがあります。12ラウンドを通して前に出て思い切り左右フックをたたきつけてくる彼のスタイルは間合いを取りたがるカニサレス相手にも機能しそうですね!!
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まとめ
いかがでしたでしょうか。アマチュアの経験がなく、プロ仕込みの思いっきり振り回すパワーファイトで世界の頂点を中国でつかんだ木村。彼のファイトスタイルはまさに雑草で気持ちが入っているとても熱い試合が売りです。
カニサレスには敗れましたがフライ級にまたウェイトを戻すなら彼の無尽蔵のスタミナを生かしたボクシングを最大限に生かせると思います。WBO王者の田中とのリマッチはぜひ見たいですしもっと言うとWBA王者で難攻不落のアーテム・ダラキアンとの試合も見たいです(笑)
IBFにもツータイム王者で来日経験もあるモルティ・ムザラネがいますしWBCにはイギリス人のチャーリー・エドワーズも君臨してます。木村はアウェイの試合もいとわないのでチャンスがあれば飛びついてくれそうですね!!
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