元IBFスーパーライト級チャンピオンで常に前に出て振り回してくるその獰猛なスタイルでアメリカのファンにも大人気のイバン・バランチェク。アグレッシブさとエキサイティングさでは階級ナンバーワンを誇ります。
チャンピオンとして輝いた時間はまだ短いもののまだまだ巻き返せる位置におり、スーパーライト級のトップ10には必ず入る選手です。どんなに疲れていても、ダメージがあっても振り回してくるスタイルですね。
ノックアウト率も高く、いわゆるハードパンチャーです。常に先手で手を出してくるのですがジャブの硬さがかなり意外性があり、打ちあわない相手には冷静に立ち回るクレバーさも持ち合わせておりアマチュア出身の顔を覗かせる時もありますね。
キャリアの中ではヨーロピアンチャンピオンのアンソニー・イェジットを負傷させてIBF王座を決定戦にて獲得。後にウェルター級トップコンテンダーとなるアベル・ラモスも激戦の末に破っております。
負けた試合はWBSSトーナメントのセミファイナルとなった、トーナメントの優勝者のジョシュ・テイラーとの初防衛戦、WBC指名挑戦者決定戦となったホセ・セペダとの試合のみ。前に出てくる分ダウンさせられることも多いですがテイラーは苦戦させており、セペダは合計で8度もお互いにダウンする激戦でワンサイドで負けたことはないです。
スタイル的にディフェンスが上手いとはお世辞にも言えないですがアグレッシブさでは右に出るものはいません。とにかく押し込んでくるのでカウンタースタイルの相手にとってはやりにくいことこの上ないですね!
ということで、今後のビッグマッチにも大きな期待がかかるバランチェクの試合より楽しむためにバランチェクのこれまでの来歴をまとめてみました!!
バランチェクの戦歴
バランチェクのプロフィール
バランチェクは1993年生まれ。ロシアのアムルスク生まれでベラルーシ系。現在はアメリカのオクラホマ州に住んでおりトレーニングしておりますな。
身長173センチのバランチェクはこのクラスでは平均的な背丈ですがリーチは170センチと短め。そのためショートのパンチがとても強い特徴がありますな。
バランチェクはアマチュアの頃から多くの国際大会で活躍しておりました。ヨーロッパを中心に国際大会に出ておりプロになってからアメリカに来たわけですな。
これまでの実績
バランチェクは2014年にベラルーシのミンスクで4回戦にてプロデビュー。4ラウンド判定勝ちしてデビュー戦を飾ると2戦目も判定勝ち。3戦目でベラルーシのウェルター級タイトルを獲得しています。
そしてバランチェクはアメリカに4戦目から参戦。4回戦を戦って、2015年からは6回戦を戦い、2015年末には8回戦に昇格。3戦続けて無敗の相手をノックアウトしています。
そしてバランチェクは2016年に10ラウンドの試合を始めて迎えます。相手は中国系のシミン・ワン。ここまで無敗で同じく初めての10ラウンドの試合となりますな。この試合にはWBCアメリカ王座とUSBAタイトルを獲得しました!
そして試合はバランチェクがワンを圧倒!ディフェンシブにアウトサイドに逃げるワンにアグレッシブに攻めて、追いきれなくなるとジャブを当ててペースを掌握。落ち着いた試合運びも見せて判定勝ちを収めました!
3ヶ月後にバランチェクはホームとなるオクラホマにて試合。ハードパンチャーのウィルバース・ロペスとの試合を行い、ダウンさせての判定勝ち。10ラウンドの試合を制します。
そしてまたまたオクラホマにてバランチェクはコンテンダーでハードパンチャーのアベル・ラモスと対戦。ラモスは後にWBAチャンピオンとなるレジス・プログレイスにノックアウトされた以外は無敗でアマチュアでは2011年のナショナル大会で銅メダルを獲得しておりますな。
そして試合はテレビで放映され、稀に見る激戦になります。バランチェクは開始から前に出て左右フックを出してきますが3ラウンドにダウンさせたものの自らもダウン!しかし4ラウンドにもダウンさせてラモスをストップ寸前まで追い込みますがラモスもジャブで対抗する熱戦の末に判定勝ち。話題を読んで知名度を上げます。
そして次戦は無敗の相手に8ラウンドの試合を消化して判定勝ち。8ヶ月後にサウスダコタのプログレイスの世界タイトルマッチのアンダーカードでコンテンダーのピーター・ペトロフと初めての12ラウンドの試合を迎えます。
ペトロフはロシア人なスペインを主戦場にしている変わり種。WBAチャンピオンのマルコス・マイダナに挑んでノックアウト負け、ライト級でWBOチャンピオンのテリー・フラナガンに判定負けしており、後にWBCライト級チャンピオンになるデヤン・ツラティカニンに負けてますな。しかし元WBC世界スーパーフェザー級チャンピオンのガマリエル・ディアスには判定勝ち。NABFタイトルなどを獲得しており経験では勝りますな。
そして試合はバランチェクが攻撃力でペトロフを圧倒!初回から攻め込んでダウンさせると2ラウンドにもダウンを追加!6ラウンドにもダウンさせてワンサイドの試合の末に8ラウンド一分過ぎにストップして世界タイトルマッチを迎えます。
抜け出したビースト…イバン・バランチュクvs.アベル・ラモス
王座戴冠とテイラー戦
バランチェクは2018年の秋からWBSSトーナメントに参戦。IBFの指名挑戦者としてトーナメントに参加することになり1回戦では無敗のヨーロッパチャンピオンであるアンソニー・イェジットと空位のIBFタイトルをかけてニューオリンズで試合をやることになります。
イェジットはトルコ系のスウェーデン人でここまで無敗。サウスポーのテクニシャンでありドイツやトルコ、イギリスでも試合をしているワールドワイドなコンテンダーでヨーロッパタイトルを獲得。アマチュアの頃から多くの国際大会で活躍しておりましたな。
そして試合はバランチェクがいつも通り前に出てきて押し込みまくる展開に!線の細いイェジットは押し込まれて左目がめちゃくちゃ腫れてしまい、ボディを返して肉薄したもののドクターストップとなり、バランチェクがIBF王座を7ラウンドストップで獲得します!
そしてバランチェクはセミファイナルでWBCシルバーチャンピオンでロンドンオリンピック代表のジョシュ・テイラーとの初防衛戦を敵地のスコットランドで迎えることになります。
テイラーはサウスポーのスイッチヒッターで無敗だったオハラ・デービーズ、元WBCチャンピオンのビクトール・ポストル、元IBFライト級チャンピオンのミゲール・バスケスを下してきた階級の最強候補。スコットランド人でありホームとなりますな。
試合前にはバランチェクがトレーナーをアベル・サンチェスからフレディ・ローチに直前で変更。トーナメントも間隔が空いたことやスコットランドでの試合を嫌がるなどの悶着があったもののスコットランドへと入国します。
そして試合は前に出てくるバランチュクと間合いをとってカウンターを取るテイラーの激戦に!バランチェクもテイラーの顔面を腫らせるなど健闘したものの6ラウンドに2度ダウンさせられてストップ寸前になるなどボディも効かされて判定負け。初黒星となり王座陥落してしまいましたな。
おいおいバランチュクさん思ってたより強いやん…ジョシュ・テイラーvs.イバン・バランチュク 試合後のコメント、プログレイスのコメントもあり!
再起とセペダ戦
バランチェクはテイラーとの激戦に敗退した後5ヶ月後にカムバックしてきます。相手はプエルトリコのガブリエル・ブラセロ。元WBOインターコンチネンタルチャンピオンで2階級制覇チャンピオンのポール・マリナッジ元WBOスーパーライト級チャンピオンのデマーカス・コーリー、オリンピック金メダリストのフェリックス・ディアスには判定負けしてますな。
そして試合はWBAインターコンチネンタルタイトルがかけられたニューヨークでの試合となりましたがバランチェクがアグレッシブに攻めて4ラウンドストップ勝ち!再起に成功しました!
そしてバランチェクはビッグチャンスを掴みます。ツータイム世界タイトルチャレンジャーでスーパーライト級のトップの1人であるホセ・セペダとのWBOシルバー王座決定戦にして指名挑戦者決定戦をラスベガスにて行うことになります。
セペダはメキシコ系のサウスポーでハードパンチャー。カウンターパンチャーであり、まるでハンマーのような重さを持つ左ショートが強いです。負けた試合はWBOライト級王座決定戦となったテリー・フラナガンとの試合で肩を脱臼、WBCスーパーライト級チャンピオンのホセ・ラミレスに敵地のど真ん中で挑んで僅差判定負けをした試合のみでクリアに負けたことは未だにありませんな。2階級制覇チャンピオンのホセ・ペドラサを破って株を上げております。
そして試合はものすごい試合となります。開始から無遠慮に間合いを詰めてくるバランチェクが初回に2度のダウンを奪うと2ラウンドにもダウン。しかし2ラウンドに左フックで仰向けに倒す痛烈なダウンでお返しします!
さらにセペダは出てくるバランチェクにより的確なパンチを当てて3ラウンドと4ラウンドにもダウンを追加!そして迎えた5ラウンドにダウンさせられたものの襲いかかってきたバランチェクに左ショートを決めるとバランチェクは失神!えびぞりになる痛烈なノックアウトでセペダが指名挑戦者の権利を得ました!
敗れたバランチェクは試合後に病院に直行!MRI検査などを受けるなどしておりましたが異常は特になかったとのことで再起戦がまたれておりますな。
今後期待される試合
バランチュクに期待される試合は世界タイトルマッチ、もしくは指名挑戦者決定戦です。今最もスーパーライト級では世界タイトルマッチに近い存在といえるバランチュクは他の試合を求められる立場ではないですね。
バランチュクはセペダには負けてしまいましたが今でもトップ10には入る選手だと思います。まずは再起戦をすることになると思いますがこれを済ませたら次は世界タイトルにターゲットを絞って欲しいですね。
セペダとの試合で多くのファンがついた事なのでビッグファイト、ビッグネームとの試合に呼ばれることは大いにあり得ます。王座を獲得したイェジットとの試合も激戦だったし現代の激闘王として登竜門的な立ち位置に来るかもしれませんね。
まずは再起戦をやることになると思いますが、この後はロバート・イースター・ジュニアやホセ・ペドラサ、ランセス・バルテレミーなどのビッグネームとの試合をやってもらいたいですね。
バランチュクのファイトスタイル
バランチュクのスタイルはめちゃくちゃアグレッシブな打ち合いスタイルです。前に出てくると渾身の左右フックを打ち込んできて後のことは考えずにどんどん重いパンチを打ち込んできますね。
もちろんその反面打たれやすく、中盤くらいになると疲れが出てくるのも特徴です。しかし疲れても構わず振り回してくるのでとても厄介です。相手からしたら間合いを与えてくれないのでとてもやりにくいですね。
弱点はやはり打たれやすい事。特別打たれ強いわけではないのでセペダにはまともにカウンターを浴びて最後はノックアウト負け。ディフェンスは比較的甘いので打ち合いの中でカウンターを狙える選手には弱いですね。
しかし意外と中間距離から出てくるジャブも上手いのが特徴。相手が出てこずに明らかにカウンターを狙っていると動き出しにジャブを狙ういやらしさも兼ね揃えておりとてもやりにくいです。基本的にパンチが硬いため倒すか倒されるか、の選手ですね。
闘志溢れるイェジットさん…イバン・バランチュクvs.アンソニー・イェジット
まとめと今後
いかがでしたでしょうか?世界的にも層が厚いのスーパーライト級でトップの1人として数えられる元チャンピオンのバランチェク。彼は圧倒的なアグレッシブさを武器にするアクティブなスタイルで人気ですね!
今後はスーパーライト級での王座獲得を目指すことになります。敗れた試合であるテイラーとセペダとの試合も一方的に負けたわけではなく、爪痕を残しています。これからディフェンスを磨くことでより強くなれそうですね!
バランチェクはどうしてもスタイル的にパンチをもらいやすいです。しかし被弾を恐れない彼のスタイルが人気を博していることは事実で今後も大きなファイトで彼の名前が呼ばれることはほとんど間違い無いと思います。
セペダに負けたことで世界戦線からは後退してしまいましたが再起して再編となるであろうスーパーライト級のトッププレーヤーとしてぜひセペダとのリマッチや世界タイトルマッチを実現して欲しいですね。
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