元オリンピアンでボクシングがめっちゃ強い国であることで知られるウクライナでもウクライナに引きこもって防衛しているWBA世界フライ級チャンピオンのアーテム・ダラキアンさん。とてもないリーチと入り込めない間合いを駆使してくるアウトボクサーです!
WBAのタイトルを持つダラキアンはかの4階級制覇チャンピオンの井岡一翔がフライ級時代に指名挑戦者だった経緯があり、井岡は王座を返上して引退をアナウンスしたため、ダラキアンから逃げたのではないかと噂も立ちましたよね笑笑。
そんなダラキアンの素晴らしいところはとにかくパンチの見切りが良いこと。空間把握能力にもかなり優れており、相手のパンチをもらわずに自分のパンチを当てて下がるのがとてもうまいです。
さらにこの人はかなりパンチをオープンに放つのですが、入りきわに撫でるようにフックを打ち下ろすのがとかも上手いです。パンチ力もそれなりにあるので相手からしたら近づけばフックを合わされて、離れたら長いジャブで顔を弾かれる嫌な相手ですね!
ダラキアンはキャリアの中でフライ級4団体制覇チャンピオンのブライアン・ビロリアにアメリカで判定勝ちしてWBAタイトルを決定戦にて獲得しています。その後はウクライナに引きこもって半年に一度ほどのペースで防衛。あまり名前のある相手とはやってませんが、全く危なげない強さを見せておりますな。
フライ級には多くの日本人コンテンダーがいますし、今後ダラキアンとの試合の話もあると思います。ダラキアンはあまりみんながやりたいタイプの選手ですが日本人はそれでもチャレンジすることが多いので、近いうちに来日することもあるかもしれませんね!
ということで、ヨーロッパ人の軽量級きっての実力者として今後にも大きな期待がかかるダラキアンの試合より楽しむためにダラキアンのこれまでの来歴をまとめてみました!!
ダラキアンの戦歴
ダラキアンのプロフィール
アーテム・ダラキアンは1987年アゼルバイジャンのバクー生まれの32歳。現在はウクライナに住んでおり、ウクライナを中心に試合をしておりますね。
ダラキアンはアマチュアの頃から活躍しており、多くの国際大会で強敵と拳を交えています。後にIBFフライ級チャンピオンになるアムナット・ルエンロンに敗れているなどトップとも試合をしてますね!
身長164センチのダラキアンですが全くそうは思えないほど懐は深いです。やりにくさでは間違いなくフライ級ナンバーワンなのでこれからはより強い相手との試合が求められますね!
やっぱり〜強いよダラキアン〜アーテム・ダラキアン vs.サラウト・タウォンカム
これまでの実績
ダラキアンは2011年に24歳にしてプロデビュー。ウクライナでデビューしており。4回戦の試合で3ラウンドノックアウト勝ち。次戦も4回戦を行って判定勝ちしています。
3戦目からは6回戦を戦い始めて4度試合をこなすと、7戦目からは12回戦に昇格。かなり速いペースでステップアップします。
そして7戦目はハンガリーバンタム級チャンピオンのデビッド・カナラスを初回ノックアウトしてWBAインターナショナル王座を獲得。世界ランキングに食い込みます。
そして8戦目はフィリピンチャンピオンのファン・プリシマをきりきり舞いにして寄せ付けず判定勝ち。12ラウンドのフルラウンドを経験します。その後は間隔が空きながらも2戦続けて8回戦でノックアウト勝利しています。
そして2015年にはスペインの無敗のコンテンダーでスペインバンタム級チャンピオンのアンヘル・モレノと対戦。この試合にはWBAコンチネンタル王座がかけられます。
モレノはかのレジェンドであるセルヒオ・マルティネスがプロモートしている選手でしたが、攻防分離のモレノはダラキアンのアウトボクシングに全くついていけず。ダラキアンが判定勝ちで2つ目のタイトルを獲得します。
コンチネンタル王座の初防衛戦は元ハンガリー、IBFインターナショナルチャンピオンのロベルト・カナラスと対戦して、初回に3度ものダウンを奪う内容でノックアウト勝ち。パワーを見せつけます。
さらに二度目の防衛戦ではかつてWBAチャンピオンだった亀田大毅に挑戦したシルビアノ・オルティア―ヌと対戦。ベテランの元ヨーロッパ連合チャンピオン相手にカットさせて8ラウンド負傷KO勝ちを収めています。
更にハンガリー人のジョセフ・アジタイを3ラウンドノックアウトして防衛に成功。メキシコのランカーであるルイス・マシアスを6ラウンドノックアウトして世界タイトルを迎えます。
ちなみにこの時ダラキアンはWBAチャンピオンの井岡一翔の指名挑戦者だったものの井岡は王座を返上して一度目の引退を宣言。強くて試合をしてもメリットのないダラキアンを避けたとする声がとても多く聞こえてますな。
アジアに降り立つ攻防分離のロードウォーリアー!モルティ・ムザラネ!
アメリカでの世界タイトル獲得と引きこもり防衛
ダラキアンは2018年に世界初挑戦を迎えます。空位のWBA世界フライ級王座決定戦となった試合はアメリカのカリフォルニアのロサンゼルスにあるフォーラムで行われます。
相手はブライアン・ビロリア。ベテランの元世界チャンピオンでフライ級、ライトフライ級においてWBC.WBO.IBF.WBAのメジャー4団体のベルトを獲得したハードパンチャーです。ハワイ出身のフィリピン系で、ハワイアン・パンチのニックネームを持つファイターでオリンピック代表でもありますな。
キャリアの中ではエリック・オルティスを初回でノックアウト。WBOチャンピオンだったフリオ・セサール・ミランダに判定勝ち、かつて判定負けを喫した元WBCチャンピオンのオマール・ニーニョをノックアウト、元ライトフライ級統一チャンピオンのジョバンニ・セグラをノックアウト、WBAチャンピオンのエルナン・マルケスをノックアウト、IBFチャンピオンだったウリセス・ソリスをノックアウト元ミニマム級チャンピオンのホセ・アントニオ・アギーレを判定で下してますな。
負けた相手には4階級制覇チャンピオンのローマン・ゴンサレス、コロンビアのハードパンチャーのカルロス・タマラ、メキシコの技巧派のオマール・ニーニョ、ライトフライ級で長期政権を築くエドガー・ソーサ、後にパウンド・フォー・パウンドの1人とされるファン・フランシスコ・エストラーダなど全て世界タイトルマッチですね!
そしてこの試合はビロリアにとってとても苦しい試合となります。ダラキアンはビロリアの危険なパンチを警戒して常にアウトサイドに陣取り、サイドに位置を変えるアウトボクシング。ジャブを長い間合いからついてビロリアも中盤に右を当てたもののポイントアウトされてダラキアンが大差判定勝ち!アメリカでベテラン相手に素晴らしいパフォーマンスを見せてタイトルを獲得しました!
そして初防衛戦は地元のウクライナにて敢行。相手は元WBAフライ級暫定チャンピオンのシリチャイ・タイエン。かつて地元のタイで江藤光喜をノックアウトした強打者です。しかしファン・カルロス・レベコに敗れて王座陥落しておりますな。
そしてこの試合はダラキアンがとても強さを発揮する試合となります。5ラウンドと7ラウンド、8ラウンドにダウンを奪ったダラキアンはタイエンを寄せ付けずにノックアウト。地元で元チャンピオンに付け入る隙を与えませんでしたな。
そして2度無の防衛戦はドミニカ共和国の強打者であるグレゴリオ・レブロンと対戦。レブロンは敵地タイで2度WBA暫定チャンピオンのスタンプ・キャットニワットと対戦して僅差判定まで持ち込んでいることで有名なフィジカルファイターですな。
そしてこの試合はダラキアンが悠々アウトボクシング。間合いを取りながら動きの遅いレブロンに自在にパンチを打ち込むとレブロンはダメージを蓄積。5ラウンドに3度のダウンを喫してスリーノックダウン制によりノックアウト。ダラキアンが快勝を挙げています!
そして3度目の防衛戦はまたまたウクライナにてサラウト・タワンカムと対戦。サウスポーの対人でハードパンチャーですね。WBAアジア王座を保持していたことのあるコンテンダーです。
そしてこの試合はダラキアンが実力差のあるサラウトに格の違いを見せてサラウトのパンチをもらわずに自分の間合いからパンチを放りこむ試合に。10ラウンドにストップしてダラキアンが傷一つない顔で防衛しておりますね!
ダラキアンさんのカウンターはタイミング抜群…アーテム・ダラキアンvs.グレゴリオ・レブロン
そしてダラキアンは4度目の防衛戦でまたまたウクライナにてかつてロベール・バレラと試合をしているコンテンダーのジョスベール・ペレスを迎え撃ちます。
試合はダラキアンが悠々アウトボクシング。初回に痛烈な右クロスを当てて4ラウンドにも左右フックでふらつかせる試合となります。しかしペレスはタフで前に出てスイング。ダラキアンは露骨にクリンチしてかわすと判定勝ち。いつも通りあっさりと勝ちましたね。
マイペースなチャンピオン…アーテム・ダラキアンvs.ジョスベール・ペレス
今後期待される試合
ダラキアンに今後期待される試合はキャリアを決定つけるような統一戦やビッグネームとの試合です!すでに30代を超えているダラキアンはフライ級では若いとは言えず、大きな報酬を見込める試合がしたいですね!
ダラキアンは基本的にウクライナから出てこないので避けられがちなチャンピオンです。めちゃくちゃ強いし、チャレンジャーは敵地に行かないといけないのであまりやりたくないわけですね笑笑。
なのでこれまでの防衛戦もあまりなのある相手とやってないです。キャリアハイの勝利はビロリアかと思いますが、ビロリアはすでに全盛期を過ぎていたのでトップ中のトップと試合をしたとはいえませんな。
しかしまだまだ世界のトップとして王座についているダラキアンのいるフライ級には日本の岐阜県というとてもローカルな土地に同じく引きこもっている田中恒成がWBOタイトルを保持、IBFはやたらと最近来日しているモルティ・ムザラネがおります。
田中がウクライナに行くことはかなり考えにくいですが、ムザラネなら世界各地で試合をしており、場所を選ばないのでダラキアンとの試合の可能性はあります。典型的なファイターのムザラネとの試合ならスタイルウォーズになると思いますが実現するならとても楽しみですね!
そしてダラキアンの次戦はジョスベル・ペレスに決定!ペレスは1995年生まれの25歳。ベネズエラのハードパンチャーでなんとこのクラスでは破格の70%のノックアウト率を誇っておりますな。
ここまでのレコードは16勝14KO2敗。ベネズエラを主戦場としており、現在のトレーニングもベネズエラを拠点としておりますな。身長165センチでそれなりの体格です。キャリアの中ではベネズエラのフライ級タイトルを獲得。WBAフェデボルタイトルも獲得しております。前回の試合ではかつて田口良一に挑戦したロベール・バレラに判定負けしてますな。
選手としての特徴は頭を下げて振りながら前に出て射程圏内に入ると大きなワンツーとフックを振り回すタイプ。ラテン系らしく思いっきり振り回してくるのが特徴です。ダラキアンなら問題ないと思いますが、油断だけないようにしてほしいですね!
自適やなぁ…アーテム・ダラキアンvs.ジョスベル・ペレス予想
ダラキアンのファイトスタイル
ダラキアンのファイトスタイルはとても変則的なアウトボクサー。ガードをだらりと下げて顎を突き出すように前傾姿勢で間合いを保ち、相手が来るとスウェーでパンチを外してフックのカウンター、相手が来ないとワンツーをボディに置いてきます。
いわゆるノックアウトパンチャーではないので、エキサイティングな試合などとは縁がないのですが、やりにくさにおいてはフライ級ナンバーワンです。かなり長い間合いを持ち、相手と打ち合わずにアウトサイドに常にいる負けないボクシングをするのでやりたくない相手ですね!
しかもこの人はそれなりにパワーもあります。思いっきり振り抜いてくる左右フックは入り際に撫でるように当てて来てこれがかなり効きます。ジャブもとても長いため、相手はだんだん入れなくなるんですね。
さらにこの人はディフェンス能力がマジで高い。パンチの見切りが特によく、相手のパンチを鼻先でかわすので相手からしたらとてもイライラするようなボクシングを得意としているいやらしいボクサーですね!
絶好調の八重樫は強いぞ! 八重樫東vs.ハビエル・メンドーサ
まとめとダラキアンの今後
いかがでしたでしょうか?その悠々自適なボクシングで全く苦戦することなく世界タイトルを手にして無難に自国のウクライナで引きこもりながら防衛しているダラキアンさん。彼のボクシングはとても安定感があって大好きです。
フライ級のチャンピオン達はみんな強いです。WBCタイトルは現在空位で年末にはフリオ・セサール・マルティネスとクリストファー・ディアスの顔合わせで決定戦。WBOタイトルは日本の田中恒星が保持しており、彼は無敗の3階級制覇チャンピオン。フライ級では最強とされており日本の岐阜に引きこもってます。IBFにはツータイムチャンピオンでよくアジアに来ているモルティ・ムザラネがいますね1
ダラキアンはその中でもまぁ話題にならない目立たないチャンピオンです。試合スタイルと同じく、自国のアウトサイドから出ないので、アメリカやイギリスのファンからの認知度もとても低いことが悩みといえるかな。
しかし彼の試合は日本人のファンにとって日本人のコンテンダーがとても多いフライ級では注目の的です。日本人ならウクライナに乗り込むことも考えられますし、ダラキアンも条件さえ合えば日本まで来てくれそうな気もしますね!
ちなみにダラキアンの試合を含めた海外ボクシングを見るにはWOWOWがおすすめです。興味がおありの方は詳細を下記のリンクからご確認ください!!