現代を代表するスーパーウェルター級トップボクサーの1人として知られるジャーメル・チャーロ。双子の兄であるジャーモルも元スーパーウェルター級王者で現ミドル級王者。兄弟同時世界王者の偉業を成し遂げています。
WBC、WBA.IBFスーパーウェルター級王者のジャーメルはスーパーウェルター級王者時代から圧倒的なパワーと抜群のタイミングを誇るカウンターを武器とする技巧派スタイルのボクサーで人気を博してきました。現在スーパーウェルター級ではハードやララなど名だたるビッグネームが君臨する階級でトップボクサーのうちの一人として恐れられる存在です。
キャリアの中では元WBAスーパーウェルター級王者のヨアキム・アルシンや世界タイトルマッチを三度経験することになるバネス・マーティロスヤン、元WBAスーパーウェルター級王者のオースティントラウト、スーパーウェルター級トップコンテンダーのエリクソン・ルビン、コンテンダーで強打者のホルヘ・コタをKOしてきておりその強さと存在感は凄まじいものがあります。
しかしそんなチャーロは昨年末にコンテンダーのトニー・ハリソンと対戦した4度目の防衛戦でハリソンのアウトボクシングの前にまさかの判定負け。チャーロはパワーパンチで対抗したもののハリソンはアウトサイドからジャブをスマートについて接戦ながら判定勝ちを手にしましたね。
初黒星を喫してしまったチャーロは判定が微妙だったこともありダイレクトリマッチが決まりますがハリソンが足首を負傷して手術することになったのでホルヘ・コタと対戦。強烈な右ストレートで失神KO勝ちを収めて復活をアピールしてますな。
そしてハリソンとのリマッチでは2ラウンドにダウンさせてその後はリードされていたものの11ラウンドに2度のダウンを追加して一気にストップ。爆発力の高さを見せており、またチャンピオンに返り咲いており、WBA.IBFチャンピオンのジェイソン・ロサリオをノックアウトして王座を統一しています。
ということで、今後もスーパーウェルター級で台風の目になるであろう彼の試合をより楽しむためにチャーロの来歴をまとめてみました!
Contents
チャーロの戦歴
チャーロのプロフィール

ジャーメル・チャーロは1980年生まれの29歳。アメリカのテキサス州リッチモンド出身のアメリカ人ですね。その強烈なカウンターで一撃KOを狙う豪快なスタイル、その強烈なパンチで戦慄の一撃KOを量産してきたことから異名はアイアン・マン。強力なフィジカルを表した鉄人ですね。
トレーナーは名トレーナーのデリック・ジェームスで、アマチュアの頃の経歴は不明ですが、目立った大会で実績を残した記録はないですね。
身長180センチの彼はリーチはさらに長い185センチとスーパーウェルター級の中でもひときわ大柄なサイズを持っています。長身痩躯な体格ながらもその彫刻のようなフィジカルの強さから放たれる一撃のすごみは群を抜いており兄のジャーモルと共に階級でも群を抜くパワーを秘めているパンチャーですね。
やっぱりすごい試合になったな…ジャレット・ハードvs.ジュリアン・ウィリアムス 試合後のコメントもあり!
これまでの実績
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チャーロは2007年17歳にしてプロデビュー。アメリカ式のじっくりとキャリアを積む方式で4回戦、6回戦、8回戦とステップを踏んでいきます。
チャーロは2013年にはWBCアメリカ大陸王座も獲得してさらにベテランのデメトリアス・ホプキンスを破ってUSBAタイトル獲得。コンテンダーのガブリエル・ロサド、日本でも活躍するチャールズ・ベラミーを判定で破っています。
さらにトップコンテンダーでエリスランディ・ララと引き分けてさらにWBAスーパーウェルター級タイトルマッチにて敗れ、その前には後に2階級制覇王者となるデメトリアス・アンドラーデとWBOタイトルを争いダウンさせたものの判定負けを喫したトップコンテンダーのバネス・マーティロスヤン、トラビス・シムを番狂わせの判定で破ってダニエル・サントスには失神KOで敗れたものの後にIBFミドル級王者となるデビッド・レミューを下した元王者のヨアキム・アルシンを下して無敗のまま世界戦までたどり着いています。
良い人王者のハードさん階級最強に躍り出る!!ジャレット・ハードvs.エリスランディ・ララ
スーパーウェルター級王者時代
2016年、チャーロは世界初挑戦を迎えます。相手は強打のジョン・ジャクソンで空位のWBCスーパーウェルター級王座決定戦となりました。
チャーロはこの試合運動量豊富なジャクソンに大苦戦8ラウンドまでポイントで圧倒的不利な展開となります。しかし、8ラウンドに強烈なカウンター一閃!!一撃でジャクソンを沈めて逆転勝ちでの王座戴冠。さらにIBF同級王者の兄ジャーモルと共に史上初の双子同階級同時世界王者という快挙を成し遂げました!!
初防衛戦ではチャールズ・ハットリーにやや苦戦したものの6ラウンドに得意のカウンターでKO!!3ラウンドにもダウンを奪う快勝でした!!
そして迎えた2度目の防衛戦ではここまで無敗の強打のサウスポー。エリクソン・ルビンを迎えます。ルビンは将来を嘱望される逸材で指名挑戦者。チャーロとの対戦前には予想有利といわれる未来のスター候補です。
しかし、チャーロはそんなルビンを初回でまさかの一発KO!!ルビンのダッキングに合わせたスマッシュショットでルビンは足が痙攣するほどのダメージを負う強烈なKOとなりましたね!!
3度目の防衛戦では元WBA王者のオールラウンダー、オースティン・トラウトと対戦。トラウトはかなりの難敵で4階級制覇王者となるミゲール・コットをコットのホームであるニューヨークで破った強豪。カネロ・アルバレスやジャーモル・チャーロを苦戦させており実力の高さは高く評価されてますな。
カネロやララ、コット、ハード、兄のジャーモルと対戦してきたスキルの高いサウスポーに苦戦したもののパワーで押し切って2度のダウンを奪って判定勝ち。難敵を下しています!
兄弟揃ってサウスポー苦手かよ…ジャーメル・チャーロvs.オースティン・トラウト
高まる統一戦への期待とまさかの王座陥落
チャーロには同階級最強の座をかけて対戦が期待される相手がいました。WBA、IBF統一王者のジャレット・ハードですね。ハードはここまで無敗でスーパーウェルター級では考えられないほどのフィジカルと驚異的な打たれ強さを持つ選手。階級最強と目されたWBAスーパー王者のエリスランディ・ララを接戦の末下して王座を統一した階級最強の男です。
チャーロはハードの2018年12月のジェイソン・ウェルボーン相手の防衛戦の後にリングインするなど対戦の機運は高まっていきます。そしてチャーロは同じ12月にかつてIBF王座決定戦でハードと対戦したトニー・ハリソンと対戦。ハードとの対戦を見越したマッチアップですね!
ハリソンはデトロイト出身のソリッドなコンテンダーで元IBF王者のイシェー・スミスを敵地ラスベガスにて下して世界戦線に舞い戻ってきました。強打の右を軸とするワンツーパンチャーのハリソンはスタミナに難がありハードにもこの点を突かれて9ラウンドに一気につかまってTKO負けをしていますね・・・
そんなハリソンさんはマジでいい人。デトロイト出身の彼は高校生の時に家を取り壊されたそうでその時家族を守るために両親は銃を持っていたそうです。ボクシングでプロスペクトとして名を馳せた彼は最近デトロイトの自身の町のストリートにジムを開設・・・おもちゃや食料のボランティアもしており子供たちを犯罪から守りたいそうです。そんなわけで僕はハリソンを断然応援しておりました。
そしてこの試合はハリソンがスマートなジャブでチャーロのカウンターに逆にカウンターのジャブを浴びせるアウトボクシングを展開。個人的にはドローと採点しましたが、ジャッジは3者ともにハリソンを支持!!チャーロはまさかの王座陥落となり、初黒星を喫しました!!
その後、ハリソンとのリマッチは2019年6月23日に中立地のラスベガスにて決定!!試合前の記者会見では乱闘寸前になるなどかなりやんちゃなチャーロさんですが立件されていたDVの件も無罪となったことで最高のパフォーマンスを期待されていました!
こういう時に番狂わせって起こるよね…ジャーメル・チャーロvs.トニー・ハリソン
しかーしハリソンが足首を6月月初に故障。手術することになりチャーロは6月にそのままラスベガスでコンテンダーのホルヘ・コタと相まみえることになりハリソン戦は9月ごろまで持ち越しとなりそうですな。
コタはかつてチャーロが下したエリクソン・ルビンに4ラウンドKO負けで敗れWBCスーパーウェルター級指名挑戦者決定戦に敗れた強打者。一撃で試合を決めるパワーのある選手なので怖さがありますね!!
ラスベガスで行われたこの試合はチャーロがスーパーな大爆発。コタから3ラウンドに強烈な右フックでダウンを奪うと立ち上がってきたコタに右ストレートをぶち当ててコタは失神して大の字に…ラスベガスのファンを熱狂させて兄のジャーモルもリングサイドから飛び出す圧巻のパフォーマンスをしてくれましたね!
ハリソンとのリマッチは今年の年末をめどに行われる予定でかなりいがみ合ってますが無事に終わることを祈っております笑笑。
そしてリマッチは12月21日にハリソンとのリマッチがニュートラルエリアのカリフォルニア州オンタリオで決定!1年振りのリマッチとなりますのでここで勝てばまたタイトルを獲得することになりますね!!
ハリソンとのリマッチと王座返り咲き、王座統一
そしてカリフォルニア州で行われた二人のリマッチ。ハリソンはチャンピオンになったのにBサイドであることに不満を漏らしながらも二人は激しい言い合いをして試合を行うことになります。
そして試合は物凄い試合になります。チャーロはアグレッシブに出てきて2ラウンドにダウンさせると、ハリソンはそこからスマートなジャブと正確なパンチでポイントをリードする白熱の展開となります。チャーロはハリソンのジャブを外せず、苦戦を強いられたものの11ラウンドにひだフックを当てるとハリソンは効いて追撃でダウン!さらにダウンを追加して追撃するとストップになり、不満のハリソンをよそにチャーロが爆発力を見せて王座返り咲きを果たしています!!
よっしゃ。3試合目もやろう!トニー・ハリソンvs.ジャーメル・チャーロ2
そしてチャーロは次戦でついにスーパーなビッグファイトを引き当てます。WBA.IBF統一チャンピオンのジェイソン・ロサリオとの統一戦で、コネチカット州にて3団体をかけた統一戦が行われることになります。
ロサリオはドミニカのパンチャーでナタリエル・ガリモアにノックアウト負けしているものの2020年1月に敵地となるフィラデルフィアにて統一チャンピオンだったジュリアン・ウィリアムスに挑戦して、大番狂わせの圧勝となる5ラウンドストップ勝ちでタイトルを獲得。チャーロとのト゚いつ戦をいきなり行うことになりましたな。かなり注目される試合となるので正念場ですね!!
そして試合は開始からチャーロがテンプルへの左フックでダウンさせるなど優勢。ロサリオも思いボディを軸に反撃してきたものの6ラウンドにチャーロがカウンターのフックでダウンさせると最後は8ラウンドにジャブをボディについてノックアウト!!三冠王となり、スーパーウェルター級最強チャンピオンの座につきましたな。
ジャブでボディKOかよ…ジャーメル・チャーロvs.ジェイソン・ロサリオ
そして次戦ではWBOチャンピオンで無敗のブライアン・カスターノと対戦。スーパーウェルター級史上初の4団体統一戦となります。
カスターノはスーパーウェルター級としては体格も小さいのですが強いプレッシャーをかけてきてどんどんボディとフックを打ち込んでくるスタイルで無敗のまま王座を獲得。指名戦を拒否して剥奪されたもののリングの上で失ったことはないですな。
これまでのキャリアではトップコンテンダーのミシェル・ソロを敵地で撃退。さらに元WBAスーパーチャンピオンで階級の第一人者のエリスランディ・ララ、との試合をアメリカで行って引き分け。大いに評価を上げておりWBOチャンピオンのパトリック・テイシェイラを下してツータイムチャンピオンとなっています。
カスターノの試合ぶりはどんどん前に出てきて多少被弾しても構わずに手を出してくるのでとても怖いです。エキサイティングな打ち合いが多いことから需要も高く、アメリカでも試合は受けておりメインイベントを任されておりますね。
世界的にとても層の厚く、競合がトップの座を狙うスーパーウェルター級のトップとして君臨するカスターノの動向は常に注目を集めており、実力者として階級を引っ張る存在です。
そしてこの試合は開始からチャーロがコツコツジャブをついて下がるとカスターノもプレッシャーをかけてロープに追い込んでのフックを打ち込むせめぎ合いに!素晴らしい熱戦となりましたが判定は三者三様のドローで決着はつきませんでした!
激アツな噛み合い…ジャーメル・チャーロvs.ブライアン・カスターノ
今後期待される試合
これまでハリソンとの初戦以外のすべての戦いに勝利し、スーパーウェルター級のトップの一人とされるチャーロに期待される試合はジャレット・ハードやエリスランディ・ララ、ジュリアン・ウィリアムス、ハイメ・ムンギアらとのトップ選手との対戦です。
ジャレット・ハードとの統一戦を目論んでましたがチャーロはまさかの陥落。ハードも5月にジュリアン・ウィリアムスに敗れておりお互いにリマッチを制することが統一戦への鍵となりますね。
爆発的な一撃KOを見せてファンを魅了するチャーロですがこれまでトップ中のトップとの対戦経験は皆無。
しかし、議論を呼んだハリソンとのリマッチを制して王座を奪回したことでトップとの対戦を実現して、勝利すればミドル級への進出も取りざたされると思います!!
チャーロさんリベンジなるかなぁ…ジャーメル・チャーロvs.トニー・ハリソン2予想
チャーロのファイトスタイル
チャーロのスタイルはロングレンジからワンツーを放つ技巧派スタイル。中間距離からじりじり前進して放つワンツーの威力は満点で、対戦相手の入り際を狙ったカウンターは相手を一撃で沈めるパワーを秘めています。
特にチャーロのカウンターショットをまともにもらうと即アウト。ハリソンも明らかに効いた場面もあり、文字通り一発で試合を決めてしまえる強烈なカウンターで彼の試合は常にKOの予感に溢れています。
なんじゃこのパンチ!? ジャーメル・チャーロvs.エリクソン・ルビン
まとめとチャーロの今後
いかがでしたでしょうか?スーパーウェルター級のトップの一角として名を馳せるチャーロ。初黒星を喫したものの評価は下げておらず、今後もトップ選手の一人として階級の中心選手であることは疑いの余地なしです。
さらにWBOのムンギアは5度目の防衛戦となるパトリック・アローテイ戦を最後にミドル級に上げることも確定しております。防衛戦の相手としてはかつて下したエリクソン・ルビンも再浮上してますしムンギアを追い込んだデニス・ホーガンも虎視眈眈と世界タイトルを狙っているため目が離せません!
チャーロの試合をテレビで見るにはWOWOWのエキサイトマッチが最適です。過去の試合もリピート放送でされていますし、ぜひこれを機にWOWOWと契約してはいかがでしょうか?
ジャレット・ハードの試合をテレビで見る方法は?これまでの経歴も紹介!