現代を代表する中量級ボクサーの1人でゲンナジー・ゴロフキンやダニエル・ジェイコブスと大激戦となる接戦を繰り広げてきたミドル級トップコンテンダーでアマチュアトップのセルゲイ・デレビヤンチェンコ。ミドル級のトッププレーヤーとして名を馳せております。
デレビヤンチェンコはワシル・ロマチェンコやオレクサンデル・ウシク、オレクサンデル・グヴォジクなどの流れを汲む北欧の国のウクライナのアマチュアエリート。ロマチェンコのように常に前に出てくるスタイルで接近戦を得意としております。
そのキャリアの中では元IBFチャンピオンのサム・ソリマンを2ラウンドノックアウトで下しております。さらに元WBAスーパーウェルター級チャンピオンのジャック・クルカイに苦戦しながらも判定勝ち。2度もIBFミドル級の指名挑戦者になっておりますね。
キャリアの中で敗れたのは無敗のまま挑んだら元WBAチャンピオンのダニエル・ジェイコブスとのIBF王座決定戦と同じくIBF王座決定戦となった元WBA.IBF.WBCチャンピオンのゲンナジー・ゴロフキン、WBCチャンピオンのジャーモル・チャーロとの試合のみ。どの試合も接戦を演じております。
特にゴロフキンとの試合では初回にダウンさせられたもののプレッシャーをかけてきて巻き返すとボディであのゴロフキンにダメージを負わせるなど肉薄。判定負けとなりましたがデレビヤンチェンコが圧倒的に不利とされていた試合でも存在感を見せてミドル級のトップの1人として数えられるようになりましたな。
アマチュアが長かったこともあり年齢は既に30歳を超えております。トップコンテンダーの地位がありながらも先はあまり長くないため、デレビヤンチェンコは今すぐにでも世界タイトルマッチが期待されておりますな。
残念ながら判定負けでジェイコブスとゴロフキンに負けてしまいましたが大いに善戦しており、ミドル級でゴロフキンとのリマッチの可能性は大いにあります。これからも彼の試合を楽しむために来歴をまとめてみました!!
Contents
デレビヤンチェンコの戦歴
デレビヤンチェンコのプロフィール
セルゲイ・デレビヤンチェンコは1985年生まれ。ウクライナのフェオドシア生まれで生まれた当時はソビエト連邦の一部だったところですな。現在はニューヨークのアンドレ・ロジャーの元でトレーニングをしております。
アマチュアの頃から活躍していたデレビヤンチェンコは父親がボクサーだったそうで10歳の頃からトレーニングをしてるそうです。2007年のシカゴで行われた世界選手権では銅メダルを獲得。しかしセミファイナルでマット・コロボフに負けてますね。
2008年には北京オリンピックに出ておりますが二回戦で敗退。2009年の世界選手権にも出ておりますがビジェンダー・サイに負けてベスト8に終わっております。
そして2010年から2014年にはワールド・シリーズ・オブ・ボクシングに参戦。ここではトップとして君臨して負けたのは後にWBAスーパーウェルター級チャンピオンとなるブライアン・カスターノのみですな。そして2014年にプロデビューをします。
実はパウンド・フォー・パウンドなのでは…デメトリアス・アンドラーデ!
これまでの実績
デレビヤンチェンコは2014年に29歳にしてプロデビュー。いきなり6回戦でデビューして2ラウンドノックアウト勝ちすると次戦ではキャリア30戦の相手に4ラウンド判定勝ち。4戦目からは8回戦に昇格しています。
そして6戦目では元WBCアメリカチャンピオンでかつてドイツにてIBFチャンピオンのアルツール・アブラハムに挑んでいるベテランのエルビン・アヤラと対戦。アトランティック・シティでフルマークの判定勝ちを収めていますね。
そこから勝ち越しのレコードを持つ相手に8回戦を2度連続でクリアすると9戦目で12回戦を行います。相手は元IBFチャンピオンでベテランのサム・ソリマン。オーストラリアのベテランでかつてロナルド・ライトに苦戦を強いて、フェリックス・シュトルムにまさかの判定勝ちを収めている変則派ですね。ジャーメイン・テイラーに負けて陥落しています。
デレビヤンチェンコはこの試合でベテランのソリマンを圧倒!!初回から絶え間ない重厚なアタックを食らわせてダウンさせるとついていけないソリマンは2ラウンドにも2度ダウン!2ラウンドストップで勝利しましたな。
さらに次戦ではジャマイカチャンピオンのケマール・ラッセルを10回戦で5ラウンドノックアウト勝ちで初黒星を与えております。
そして次戦ではバハマのアマチュアエリートでハードパンチャーのツレアノ・ジョンソンとIBF指名挑戦者決定戦で対戦。WBAインターナショナルチャンピオンの好選手ですがデレビヤンチェンコは開始からプレッシャーをかけて圧倒すると12ラウンドにダウンさせてストップ!指名挑戦者の権利を獲得します。
そしてチャンピオンだったゲンナジー・ゴロフキンがカネロとの試合を優先してタイトルを返上したことから、デレビヤンチェンコはまず8回戦をクリア。王座決定戦へと向かいます。
世界初挑戦と初黒星、再び指名挑戦者へ
無敗のまま世界ランキングを駆け上がったデレビヤンチェンコは2018年に初の世界タイトルマッチを迎えます。元WBAチャンピオンのダニエル・ジェイコブスとのIBFミドル級王座決定戦です!
ジェイコブスはニューヨークのミラクルマンと呼ばれるハードパンチャーで骨肉腫を患いながらも復活して世界タイトル獲得を成し遂げた男。高い身体能力とスキルの高さ、ラッシュ力を持っておりますな。
キャリアの中では後にIBFスーパーウェルター級チャンピオンとなるイシェ・スミス、元WBOチャンピオンで無敗だったピーター・キーリン、後にIBFスーパーミドル級チャンピオンとなるカレブ・トゥルーアックス、元WBCスーパーウェルター級チャンピオンのセルヒオ・モラを撃破。敗れたのは初の世界タイトルマッチとなったドミトリー・ピログとの試合とゲンナジー・ゴロフキンとの試合のみでゴロフキンの連続ノックアウト防衛を止めて大いに善戦しましたな。
そして試合は同じトレーナーであるアンドレ・ロジャーがジェイコブスにつくドタバタもあり、デレビヤンチェンコは苦戦!初回にダウンさせられてその後もジェイコブスが間合いを取るボクシングでリードします。しかしデレビヤンチェンコも肉薄してロープに詰めての左右フックを当てるなどしてふらつかせて接戦になった末にジェイコブスが僅差判定勝ち!デレビヤンチェンコは敗れてタイトル獲得はなりませんでした!
しかしこの試合で評価を高めたデレビヤンチェンコは即座にIBF指名挑戦者決定戦へ。元WBAスーパーウェルター級チャンピオンのジャック・クルカイとの試合が決まります。
クルカイはエクアドルのチャンピオンでアマチュアとしても世界選手権に出るなど活躍。ドイツを主戦場としており、体格は小さいもののスキルのあるファイターですな。キャリアの中ではWBA暫定王座からレギュラーチャンピオンに格上げされており、後に2度世界に挑むデニス・ホーガンを撃破。マシエジュ・スレッキとデメトリアス・アンドラーデには判定負けしておりますな。
そして試合はデレビヤンチェンコがプレッシャーをかけてクルカイが下がりながらカウンターを狙う展開に!かなり激しいペース争いとなったもののクルカイが終盤に右を決めてデレビヤンチェンコはダウン寸前!しかし耐えて全体的にはアグレッシブさで勝って判定勝ち。危なっかしさを見せながらも世界タイトル再挑戦の権利を得ます。
ジェイコブスがミドル級二冠達成!!ダニエル・ジェイコブスvs.セルゲイ・デレブヤンチェンコ
ゴロフキンとの試合
デレビヤンチェンコは2019年10月に再び世界タイトルマッチのチャンスを掴みます。IBF王座決定戦で、ゲンナジー・ゴロフキンとの対戦がニューヨークで開催されましたな。
ゴロフキンは元WBA.WBC.IBFチャンピオンで17連続ノックアウト防衛の記録保持者。コンビネーションパンチャーとして知られており、驚異的な打たれ強さと止まらないコンビネーションとプレッシャーで相手を押し込みます。
キャリアの中ではアテネオリンピックで銀メダルを獲得し、元IBFスーパーウェルター級チャンピオンのカシム・オウマ、コンテンダーのカーティス・スティーブンス、ウィリー・モンロー・ジュニア、ガブリエル・ロサド、バネス・マーティロスヤン、WBC暫定チャンピオンだったマルコ・アントニオ・ルビオ、IBFチャンピオンだったデビッド・レミュー、IBFウェルター級チャンピオンだったケル・ブルックらを撃破。世界戦でノックアウトできなかったのはダニエル・ジェイコブスのみです。
カネロ・アルバレスとの試合では初戦は大いに議論を呼んだ末のドローとなり、リマッチはカネロのドーピング疑惑で延期となった末に僅差判定負け。どちらの試合もかなり議論を呼んでおり、多くのファンはゴロフキンの勝ちを支持。カネロにしか負けたことはなく、再起戦をクリアしてカムバックしてきましたな。
そして試合はゴロフキンが圧倒的に優位な予想で迎えます。そのことを裏付けるようにデレビヤンチェンコは初回にスリップ気味のダウンを奪われて目の上も大きくカット。多くのファンが早い回での決着を予想しました。
しかしデレビヤンチェンコは前に出てきて互角に打ち合うとゴロフキンはまさかの大苦戦!5ラウンドにはタイミング抜群のボディブローでゴロフキンを効かせるシーンを作り、その後もコンビネーションで肉薄。大接戦を演じましたが序盤のダウンが響いて僅差判定負け。またも世界タイトルに手が届きませんでした。
しかし多くのファンがデレビヤンチェンコの勝ちを推したり、勝ちではなくても大いに善戦したことでデレビヤンチェンコは評価をかなり高めます。ミドル級トッププレーヤーとしての地位を確立した試合といえますね!
そして次戦ではデレビヤンチェンコはWBCチャンピオンのジャーモル・チャーロと対戦。チャーロは元IBFスーパーライト級ノンタイトルマッチウェルター級チャンピオンでもある無敗の2階級制覇チャンピオン。デニス・ホーガンや元WBAスーパーウェルター級チャンピオンのオースティン・トラウト、アマチュアトップのマット・コロボフ、後にWBA.IBFスーパーウェルター級チャンピオンになるジュリアン・ウィリアムスやツータイムチャンピオンのコーネリアス・バンドレイジを下してますな。
そして試合は開始から前に出てくるデレビヤンチェンコでしたがチャーロの硬質なジャブの前に苦戦!右クロスを浴びてふらつくなどしてしまい、後半に巻き返したものの及ばず3度目の世界タイトルマッチも判定負けでこれまでよりも大差で敗れましたな。
ハイレベルな攻防…ジャーモル・チャーロvs.セルゲイ・デレビヤンチェンコ
今後期待される試合
デレビヤンチェンコに今後期待される試合は世界タイトルマッチです。
デレビヤンチェンコはミドル級では間違いなくチャンピオンクラスで、今世界タイトルを持ってないことが不思議なくらい。間違いなくトップ5には入る力を持ちますのでここから先の数年が勝負になりますね。
すでに34歳になっていることを考えても少し時間がない気はします。ジェイコブスとゴロフキンを追い詰めていることで実力は示しているものの相手が悪くて栄冠をあと一歩で逃してますよね。
ゴロフキンとのリマッチもあり得そうですが、同じプラットフォームにはWBCチャンピオンのジャーモル・チャーロがおります。まだ多くのファイターがいるミドル級ですが今後の階級の変更などもこれからあると思うので要相談ですね。
デレビヤンチェンコなら世界タイトルを取れるとは思うけどあとはタイミングと相手の問題。多くのファイターがいる中で頭ひとつ抜けているもののそこからまた世界タイトルの栄冠を取れるかどうかで天国と地獄ですね。
クルカイさん追い詰める…セルゲイ・デレビヤンチェンコvs.ジャック・クルカイ 試合後のコメントもあり!
デレビヤンチェンコのファイトスタイル
デレビヤンチェンコのスタイルは頭を振りながら前に出てきてプレッシャーをかけてくるファイタースタイル。サイドへの動きを駆使して相手を押しつぶしてコンビネーションを打ち込みます。
パワーもそれなりにあるのですがそれよりも怖いのはプレッシャーの強さとコンビネーションの回転力。弾幕を打ち込んできて上下に打ち分けるのでなかなかやりにくいし、かわしにくいです。
弱点としては打たれてはあまり強くないこと。前に出てくる分被弾も多いのですが良いタイミングでパンチをもらうとダウンしたりあからさまに効いたりするので完全無欠さは感じないですね。
ミドル級として体格も申し分なく、誰が相手でも食い下がることができるスタイルとメンタルの持ち主なのでかなり厄介です。攻防分離気味ですが、ヨーロピアンスタイルの新鋭と言えますね。
ゴロフキンさん力技で復活…ゲンナジー・ゴロフキンvs.スティーブ・ロールズ 試合後のコメントもあり!!
まとめとデレビヤンチェンコの今後
いかがでしたでしょうか?常にプレッシャーをかけてきて頭を振り、接近戦でコンビネーションを打ち込むデレビヤンチェンコ。彼のスタイルはとても嫌なスタイルで、タイミングの良さもミドル級で群を抜いております。
ミドル級ではWBC王者のチャーロやWBA.WBC王者のカネロ、WBO王者のアンドラーデ、元WBA王者のブラント、WBAレギュラー王者の村田諒太、IBFチャンピオンのゲンナジー・ゴロフキンと粒が揃っておりゴロフキンとのリマッチが最も期待される試合となります。
どちらかといえばコンビネーションパンチャーですが、デレビヤンチェンコの場合は常に前に出てきて自分もそんなに打たれ強くないのでエキサイティングな試合になることが多いです。Aクラスの相手には勝ちきれてないけど今後には大いに期待できますね。
卓越したスキルで自身がAクラスのファイターであると証明してきたデレビヤンチェンコさん。今後もビッグマッチに携わると思われ、ボクシングファンとしてタイトルマッチに絡むであろうデレビヤンチェンコの試合には要注目ですね!!
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