イギリスのバーミンガムを主戦場とする元オリンピアンで元WBA世界スーパーフライ級王者であるカリッド・ヤファイさん。常に安定感のある試合をするタイプでこれまで日本人の相手に判定勝ちしていますしアメリカやモナコでも防衛。長期政権を築く負けない王者として君臨していました。
これまでフライ級王者としてWBAタイトルを防衛してきておりイギリスのバーミンガムだけではなくてアメリカやモナコなど世界のリングを転戦としております。
ヤファイは元オリンピアンでもあり左右フックを放ってはサイドに動き回るかなり厄介な相手。パンチ力もそれなりにあり井上尚弥が仕留められなかったカルモナをKOするなどボディ打ちはかなり強いです。
ヤファイの特徴は何と言ってもそのムーブメント。スピードが優れてるわけではないのですが相手と打ちあわずに打ち終わりに必ずサイドに位置を変えてしまうのでパンチをまともにもらいませんね笑笑。
イスラエル・ゴンサレスは前に出続けて大苦戦させているものの他の相手はヤファイがパンチを放ってはサイドに動くかクリンチして相手の動きを寸断してしまうのでめちゃくちゃやりにくいです笑笑。
しかもこの人の場合は相手が前に出てきても絡め取るし出てこなくてもあまり自分から行かないので試合が盛り上がらないことも多いですね。それも意に介さないメンタルの強さととにかく勝利を最優先させるスタイルなので無理をして来ず崩しにくいスタイルを持ちますね!
WBAスーパーフライ級タイトルを保持していたエストラーダは12月末にスーパーフライ級最強とされているファン・フランシスコ・エストラーダとの試合の噂があります。この試合の他にもスーパーフライ級ではWBSSトーナメントが行われる噂があり2020年と2019年後半はヤファイにとって勝負の期間となりそうです!
残念ながらローマン・ゴンサレスの前にノックアウト負けを食らいましたが、まだまだチャンスは残ってますし返り咲きのチャンスは十分にあると思います。
ということで、軽量級きっての実力者で負けない男として今後にも大きな期待がかかるカリッド・ヤファイの試合をより楽しむためにヤファイのこれまでの来歴をまとめてみました!!
ヤファイの戦歴
Contents
ヤファイのプロフィール
カリッド・ヤファイは1989年イギリスのバーミンガム生まれの30歳。アラブ系の選手で目標としている選手は元フェザー級統一王者で変則派として有名なナジーム・ハメド。エディ・ハーンが代表しているマッチスポルトUSAと契約しており現在の試合のプラットフォームはDAZNでございます。
ヤファイはアマチュアの頃からエリートとして活躍しており2005年にはジュニアスポーツ・オブ・ザ・イヤーをイギリスにて獲得。2008年には北京オリンピックに出場していますがここでは1回戦で敗れております。
2009年のイタリアのミラノで行われた世界選手権では準々決勝まで勝ち進むベスト8。2010年には後にバンタム級にてゾラニ・テテに挑むミーシャ・アローヤンにモスクワで敗退。2011年にはオリンピック連覇を果たすロビースキー・ラミレスに敗退。フェザー級プロスペクトのマイケル・コンランや後にWBAバンタム級スーパー王者となるルーシー・ウォーレンにも敗れておりますね。
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これまでの実績
ヤファイは2012年にシェフィールドにてプロデビュー。100戦以上のキャリアを持つ相手に2ラウンド棄権TKOで勝利しています。大きなカードのアンダーカードに出ていたヤファイはプロデビューから2試合は4回戦でしたが3試合目から6回戦に昇格。
4戦目には5勝1敗の相手をKOして5試合目で8回戦を戦うというかなりの早い段階でキャリアを積み増していきます。そして2014年には初のタイトル戦。ナイジェリアのヤクブ・カリームと空位のコモンウェルス王座を争います。カリームは元王者で後にIBFバンタム級王者となるポール・バトラーとも対戦してましたがヤファイは3ラウンドでKO。初のタイトルを獲得します。
さらに次戦では元ニカラグアフライ級王者でベテランのヘラルド・モリナとIBFインターコンチネンタルタイトル王座決定戦を行い2ラウンドKO勝ち。世界ランキングを手にすることとなります。そして初防衛戦では後に3階級制覇王者となるレオ・サンタクルスや3階級制覇王者のフェルナンド・モンティエル、2階級制覇王者のオマール・ナルバエスとの世界戦経験があるニカラグアのエバース・ブリセノと対戦して判定勝ち。12ラウンドの試合を経験します。
さらに2015年の10月には元英国王者のジェイソン・カニンガムと英国王座決定戦を行い6ラウンドにダウンを奪っての判定勝ち。次戦ではWBCスーパーフライ級王者だったカルロス・クアドラスと世界戦で対戦した経験があるニカラグアのディクソン・フローレスと対戦して初回にボディでKO。WBAインターコンチネンタルタイトルを獲得します。その後2試合を8回戦でこなしたヤファイは世界挑戦に備えることになります。
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コンセプシオン戦と初期の防衛戦
ヤファイは2016年末に世界挑戦。WBA王者のルイス・コンセプシオンへの地元バーミンガムでの挑戦が決まります。コンセプシオンはパナマの強打者で2階級制覇王者。ディフェンスを一切無視したラテンのハードパンチャーで軽量級離れしたパンチ力が魅力です。
キャリアの中では2階級制覇王者のデンカオセーン・カオウィチットを初回に3度ダウンさせてKO。かつて2度ストップされたエルナン・マルケス、WBAスーパーフライ級暫定王者だったデビッド・サンチェス、かつて五十嵐俊之の持つWBCフライ級タイトルに挑戦したネストール・ナルバエス、元WBCフライ級王者のエリック・オルティスらをことごとくKO。日本で河野公平と激戦を繰り広げて判定勝ちを収めて2階級制覇王者となりましたな。
敗れたのはエルナン・マルケスに負傷と3度ダウンを奪われたKO負け、WBCスーパーフライ級王者だったカルロス・クアドラスに挑んでアウトボクシングされて判定負けとかなり強敵ばかりに喫しており勝利した後に見せるバク転が有名な高い身体能力の持ち主です。
そしてこの試合はコンセプシオンがまさかの試合前のウェイトオーバーで王座はく奪。ヤファイにのみタイトルがかけられてヤファイはコンセプシオンのアタックに対して左右フックとボディを織り交ぜてはサイドに回る安全なアウトボクシングを展開。大差の判定でコンセプシオンを下して王座を無敗のまま獲得します!!
そして迎えた初防衛戦は日本人の村中憂。元日本フライ級王者の村中はウェイトオーバーをやらかしてスーパーフライ級に上げてきたアウトボクサーですな。試合ではヤファイが全くもって危なげなく判定勝ち。ヤファイは2ラウンドにフックでダウンを奪い打ち終わりにサイドに回るボクシングでボディを効かせる見せ場も作って判定勝ちしています。
2度目の防衛戦は指名挑戦者の石田匠。ここまで無敗の元日本王者であり身長173センチとこのクラスでは破格の長身を持つサイズのある相手でしたがヤファイはやはりムーブがうまかった。。。石田の長いジャブを時折被弾したものの見栄えの良い左右フックをガードに当てて運動量で勝っるボクシング。負けないスタイルを見せて石田に初黒星をつけています。
そして迎えた3度目の防衛戦は待ちに待ったアメリカデビュー。IBF王者のヘルウィン・アンカハスと同じカードでカリフォルニアのフレスノに参戦するとこれまで3度世界挑戦しているデビッド・カルモナと対戦します。
カルモナはかつて2階級制覇王者のオマール・ナルバエスに挑んで7ラウンドTKO負け、ワルリト・パレナスとWBO暫定王座を争ってドロー、井上尚弥に挑んで12ラウンドにダウンしたものの井上のパワーに何とか耐えきって判定まで粘った選手です。井上尚弥に挑んだリカルド・ロドリゲスには2度勝利しており元WBC王者のカルロス・クアドラスを大苦戦させていますね。
そしてこの試合はカルモナがまさかのウェイトオーバー。。。試合でも絶不調で初回からダウンさせると4ラウンドにもダウンを追加。5ラウンドには2度のダウンを追加して7ラウンド終了後にカルモナは棄権。ちなみにカルモナはここからリングに上がってませんな。
ゴンサレス戦の苦戦とパフォーマンスの低下
ヤファイは4度目の防衛戦でモナコのモンテカルロに降臨します。相手はコンテンダーのイスラエル・ゴンサレス。かつてIBF王者のヘルウィン・アンカハスに挑んで左ストレートを突き刺されて10ラウンドTKO負けして選手です。
ヤファイはこの試合で楽勝が囁かれていましたがまさかの大苦戦。ゴンサレスが前に出てきてプレッシャーをかけられると多くのパンチを被弾して多くの方がゴンサレスの勝ちを支持しましたが判定はヤファイへ。。。ヤファイの評価が下がるきっかけになりましたな。
そしてこの試合の後ヤファイは8か月間のブランクを開けて指名挑戦者のノルベルト・ヒメネスを迎えます。場所はアメリカのロードアイランド州でデメトリアス・アンドラーデの試合の前座として行われることになります。
ヒメネスはかつて日本で河野公平に挑んだドミニカの曲者。河野相手に思いっきりコンビネーションを当てては下がってクリンチする典型的なラテン系ファイターで河野とは引き分け。そこから負けなしで指名挑戦者の権利を得ています。
そしてこの試合はヤファイが完全に安全運転に徹します。ヒメネスを中心としてリングを広く使うと当たらなくてもパンチを繰り出して前に出てこられるとクリンチ。クリーンヒットが少ない展開となり平坦なラウンドが続きましたが危なげなくヤファイが判定勝ち。負けない強さを見せて2度目のアメリカでの試合を飾っています。
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2020年のビッグマッチ路線
そしてヤファイはエストラーダが拳を負傷して戦線離脱したので2月29日にテキサス州にて元4階級制覇チャンピオンのローマン・ゴンサレスとのビッグマッチを迎えることになります。
ゴンサレスはミニマム級、ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級でタイトルを獲得したニカラグア初の4階級制覇チャンピオン。シーサケット・ソールンビサイに2連敗した後は膝を負傷して戦列から離れがちでしたがまたトップレベルに帰ってきましたな。
キャリアの中では長期政権王者だった新井田豊、3階級制覇チャンピオンの八重樫東、元ライトフライ級チャンピオンのラモン・ガルシア、4団体のベルトを獲得したブライアン・ビロリア、元ライトフライ級チャンピオンのエドガー・ソーサ、スーパーフライ級チャンピオンのカルロス・クアドラスなどを下してきています。
いわゆるコンビネーションパンチャーで止まらないプレッシャーとコンビネーションで相手をブレークダウンしていくスタイルですが、スーパーフライ級では体格面がかなり厳しく、全盛期の強さよりは衰えが見えます。ヤファイのキャリア最大の強敵になるのでとても!注目が集まりますね!
そして試合はヤファイが頭をつけての打ち合いを挑むまさかの展開になります。しかしこうなるとゴンサレスのペースに。徐々に回転力で勝るゴンサレスのコンビネーションについていけなくなったヤファイは8ラウンドにダウン!!9ラウンドに背中からばったりと倒されるダウンでストップ負け!!初黒星となりましたな。
ニカラグアの英雄が王座復帰!!カリッド・ヤファイvs.ローマン・ゴンサレス
今後期待される試合
ヤファイに今後期待されている試合はかつて噂に挙がったローマン・ゴンサレス、元WBC王者のシーサケット・ソールンビサイとの試合やWBC王者のファン・フランシスコ・エストラーダ、WBO王者の井岡一翔、IBF王者のヘルウィン・アンカハスなどの他団体王者との統一戦、WBA.IBFバンタム級王者の井上尚弥や元WBC王者のルイス・ネリ、WBAバンタム級スーパー王者のノニト・ドネアを始めとするスーパーフライ級周辺の階級のトップたちとの試合です。
ヤファイは正直スーパーフライ級王者クラスとして高い地位にいる選手ではないです。パウンド・フォー・パウンドの一人とされるエストラーダや4階級制覇王者の井岡の方がどうしても目立ちます。なので彼にも今後求められる試合はエストラーダ、シーサケットやゴンサレスのようなビッグネームとの試合がマストになります。
特にエストラーダとの試合は現在交渉真っただ中であり2020年に開催される方向で話し合いは進んでいます。同じプラットフォームで戦うのでこの二人の試合は実現しやすいですし、シーサケットの試合もDAZNなので対戦のチャンスはありますね!
ヤファイさん意外に苦闘…カル・ヤファイvs.イスラエル・ゴンサレス
ヤファイのファイトスタイル
ヤファイのファイトスタイルはとにかくやりにくいボクシング。単発では終わらずコンビネーションを放ってはサイドに回り絶えず位置を変えて間合いが詰められてしまうと迷わずクリんで動きを寸断してくるのでめんどくさいですね笑。
ヤファイはエンターテイメント性ではなくとにかく目先の勝利にこだわるタイプ。相手よりも多く手数を出してより多く動いて相手のパンチをもらわずに無駄な被弾は避けるスタイルなのでエキサイティングではない負けないボクシングを得意としています。
しかしガードの外から飛ばしてくる左右フックは結構強いです。大ぶりでパンチを当ててくるのでガードの上からでも見栄えが良いですしボディ攻撃は結構重いです。なのでたんに逃げ回るだけではなくパワーもあるので相手は入り込めなくなるんですね。
しかしヤファイは押し込まれたら弱いです。ゴンサレス戦で露呈したように前にガンガン出てこられてペースが保てなくなると弱いのでエストラーダのようなノンストップのハイペースなボクサー相手とは相性が悪そうですね!
思ったより良い試合ではなかったな…カル・ヤファイvs.ノルベルト・ヒメネス 試合後のコメントもあり!
まとめとヤファイの今後
いかがでしたでしょうか?栄華を極めるイギリスのボクシング界で軽量級のタイトルを持っていたカリッド・ヤファイ。負けてしまったもののバーミンガムでの試合は常に多くのファンが詰めかけてきておりヤファイの試合はとても人気があるバーミンガムでのスターですね!
しかもヤファイがいるスーパーフライ級はIBF王者に7度もの防衛に成功しているヘルウィン・アンカハス、WBOは4階級制覇を達成している間合いの達人の井岡一翔、WBCには2階級制覇王者のファン・フランシスコ・エストラーダがおりコンテンダーには4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス、4階級制覇王者のドニー・ニエテス、元WBC王者のシーサケット・ソールンビサイがおります。
しかも1つ上のバンタム級ではWBSSトーナメントが開催されておりWBA、IBF統一王者で井上尚弥、WBO王者のゾラニ・テテ、5階級制覇王者でWBAスーパー王者のノニト・ドネア、3階級制覇王者でWBO暫定王者のフィリピン人ジョン・リル・カシメロ、WBC王者のノルディ・ウーバーリ、WBC暫定王者の井上拓真、元WBC王者で無敗のルイス・ネリらが首をそろえておりボクシングで最も盛り上がっている階級です!!
スーパーフライ級では筋肉質でウェイトも少し苦しそうなヤファイですが有力選手としてバンタム級に上げた場合、即世界戦線に絡むことは間違いないとみられ誰と対戦することになっても今後に注目ですね!!エストラーダやゴンサレスとの試合もぜひ決まってほしいですし今後のビッグマッチに注目です!
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