メキシコのシナロア州が誇る元王者でWBC世界スーパーフライ級王者として君臨していたイケメンのカルロス・クアドラス。日本の帝拳プロモーションとも契約しており、日本での試合の経験も多くあるメキシカンです。
スーパーフライ級チャンピオンとして6度もの防衛に成功している名チャンピオンで、多くのトップクラスの相手との接戦や激戦を重ねてきており、未だにワンサイドの試合で負けたことがないほど彼の強さとタフネス、テクニックには定評があります。
キャリアの中では後にローマン・ゴンサレスを破るシーサケット・ソールンビサイを下してタイトルを獲得。元フライ級チャンピオンのルイス・コンセプシオンやリッチーメプラナムなどのコンテンダーを下して防衛しておりましたな。
当時無敗のローマン・ゴンサレスとは激戦を演じたものの判定負けで初黒星。その後は元フライ級チャンピオンのファン・フランシスコ・エストラーダと大接戦の末痛恨のダウンを喫して僅差判定負け。その後はアローヨに負けてドラッグ検査にも引っかかるなどスランプを迎えましたが復活。WBCチャンピオンとなっていたエストラーダとリマッチして11ラウンドストップ負けとなりましたがダウンさせて激闘を演じたことでまだまだトップであることを示しております。
彼の持ち味はオールラウンドな試合運びとテクニック。パンチのセレクトもとてもよく、サイドに動くボクシングも前に出てプレッシャーをかけるボクシングもどちらもできることが知られていて高い水準での試合ができる選手です。
また、背中にはぶつぶつがあるもののイケメンな顔立ちもあって女性ファンも多いです。試合も激闘の打ち合いになることが多く、軽量級の多くのビッグファイトに顔を出していて今でもタイトルを狙える位置におり、シーサケットやゴンサレスとのリマッチ、エストラーダとの3戦目も期待されますな。
ということで、軽量級きっての実力者であるクアドラスの試合をより楽しむためにクアドラスのこれまでの来歴をまとめてみました!!
Contents
クアドラスの戦歴
クアドラスのプロフィール
クアドラスは1988年生まれ。メキシコのシナロア州出身であり、メキシカンファイターとして活躍しておりますな。
彼は日本の帝拳プロモーションと契約しており、日本での試合もこなしております。日本語を話せることも有名なことですね。
身長は163センチですがリーチは168センチ。特段大きなわけではないですが体格は大きく、このクラスでは比較的ずんぐりむっくりな体格を持ちます。
クアドラスはアマチュアの頃から活躍していたエリートで、2007年のパン・アメリカン大会で優勝。後にWBA世界フェザー級暫定チャンピオンとなるクラウディオ・マレーロにも勝利しており、この年の世界選手権にも出ておりますな。
メキシコのノンストップ男!ファン・フランシスコ・エストラーダ!!
これまでの実績
クアドラスは2008年に20歳でプロデビュー。4回戦で初回ノックアウト勝ちを収めて華々しくデビューを飾ると4試合目まで4回戦ですべてノックアウト勝ちしています。
5戦目からは6回戦を行ってすべての試合にノックアウト勝ち。2009年には契約している日本でリングに上がっていますね。
2009年の後半からは8回戦を行って2010年にはWBCユースのインターナショナル王座を獲得。2011年には元WBCカリブチャンピオンのジョニー・ガルシアをノックアウトしてWBCアメリカ王座を獲得します。
そして5度も世界タイトルマッチを経験していて新井田豊、ラウル・ガルシア、ファン・カルロス・レベコらに敗れたロナルド・バレラとWBCシルバー王座決定戦で対戦。7ラウンドTKOでタイトルを獲得して一気に世界ランキングの上位に食い込みます。
初防衛戦ではかつてホルヘ・アルセやエルナン・マルケスと対戦している元WBCアジアチャンピオンのフェルナンド・ルマカドと対戦して12ラウンド判定勝ち。フルラウンドを経験します。
そして2度目の防衛戦はオマール・ナルバエスとレオ・サンタクルスに挑んだビクター・サレタと対戦。タフな相手に7ラウンドノックアウト勝ちを収めて世界タイトルマッチへの準備を進めます。
そして2013年末に日本にて調整試合をノックアウトで終えてクアドラスは世界タイトルマッチを迎えることになります。
なかなかの暴君…カルロス・クアドラスvs.リッチー・メプラナム
タイトル獲得とチャンピオン時代
クアドラスは2014年に無敗のまま世界タイトルマッチを迎えます。相手はWBCチャンピオンでタイのハードパンチャーであるシーサケット・ソールンビサイ。佐藤洋太をノックアウトしてタイトルを獲得したラフなサウスポーで日本でデビュー戦をしており、後に3階級制覇チャンピオンとなる八重樫東にノックアウトされてますな。
そして試合はメキシコで行われてホームのクアドラスがサイドに大きく動いてプレッシャーをかわすアウトボクシング!シーサケットは追いかけてきたもののクアドラスがジャブタフックを効果的に使ってポイントアウト。8ラウンドに偶然のバッティングでクアドラスがカットしたことで負傷判定となりましたが、クアドラスが判定勝ちで無敗のままチャンピオンとなります!
クアドラスは4ヶ月後に地元のメキシコで初防衛戦。同じくメキシコ人でハードパンチャーのホセ・サルガドとの試合を行います。サルガドは八重樫東に挑戦したオスカー・ブランケットに勝利しておりNABFチャンピオン。かつてWBA暫定王座をリボリオ・ソリスと争って判定負けしてますな。
そして試合はクアドラスがサルガドをスキルで圧倒!アウトボクシングを進めておりましたが4ラウンドに偶然のバッティングでサルガドが目の上を激しく流血!ドクターストップとなり、規定により負傷引き分けとなってしまいます。
モヤモヤする形の防衛となったクアドラスは2ヶ月後に早くも二度目の防衛戦。アメリカのワシントンにてフィリピンのハードパンチャーであるマービン・マバイトとの試合を行います。マバイトは元フィリピンチャンピオンで元WBOバンタム級暫定チャンピオンのアレハンドロ・エルナンデスに負けておりますな。
そして試合はスキルに勝るクアドラスがコツコツと正確なパンチを当ててマバイトをブレークダウン!ボディを効かせて6ラウンド30秒ほどでストップに追い込んでおります!
そして次戦は指名戦。WBCシルバーチャンピオンで元WBAフライ級チャンピオンのルイス・コンセプシオンとの試合を迎えます。
コンセプシオンはパナマのハードパンチャーで勝利した後にいつもバク転することで有名なパンチャー。元チャンピオンのデンカオセーン・カオウイッチットやエリック・オルティスをノックアウトしており、エルナン・マルケスには2度KO負けしております。
そして試合は前に出てくるコンセプシオンにクアドラスが間合いをとってアウトボクシングする展開に!振り回されても冷静にジャブをついてポイントアウトし、判定勝ちを指名挑戦者を難なく退けました!
そして次戦はニカラグアのディクソン・フローレスと対戦。10ラウンドの試合は初めての相手に楽勝となる5ラウンドストップ勝ちを収めて防衛に成功します!
そして3ヶ月後にクアドラスは日本に参戦。仙台に赴いて元WBAフライ級暫定チャンピオンの江藤光喜との試合を行います。江藤は敵地となるタイでコンパヤック・ポープラムックを下してタイトルを獲得した長身のパンチャーですな。
そして試合はクアドラスが優れたスキルとフットワークで背の高い江藤を幻惑!江藤もボディを軸によく試合を食い下がってしていたもののクアドラスのジャブを外せず、クアドラスが大差判定勝ち。敵地で白星をあげています。
そして半年後にクアドラスはフィリピンのサウスポーでベテランであるリッチー・メプラナムと対戦。メプラナムはフライ級にてフリオ・セサール・ミランダ、ファン・フランシスコ・エストラーダと世界タイトルマッチをしてどちらにも負けておりますな。
そして試合はパッキャオスタイルで踏み込むメプラナム相手に体格で勝るクアドラスがパワーで押し込む展開に!効果的にボディを決めてコツコツ打ち込むとメプラナムはブレークダウンされて8ラウンド終了時に棄権!快勝を挙げました!
完勝なんやけど、背中のぶつぶつ気になる…カルロス・クアドラスvs.シーサケット・ソールンビサイ
王座陥落と薬物問題
クアドラスは2016年にキャリアハイの試合を迎えます。3階級制覇チャンピオンでパウンド・フォー・パウンドとされていた当時無敗のローマン・ゴンサレスとの試合です。
ゴンサレスはWBAのミニマム級、ライトフライ級のタイトルとWBCのフライ級タイトルを獲得した3階級制覇チャンピオン。クアドラスと同じく帝拳プロモーションと契約しておりこの試合に勝てばニカラグア人初の4階級制覇チャンピオンとなる選手ですな。
止まらないコンビネーションと圧倒的なハードパンチを得意としており、常にプレッシャーをかけてブレークダウンしてくるスロースターターです。
キャリアの中では長期政権チャンピオンだった新井田豊、後にミニマム級で4団体のベルトを獲得する高山勝成、元チャンピオンのラモン・ガルシア、元ライトフライ級チャンピオンのエドガー・ソーサ、2階級制覇チャンピオンの八重樫東、フライ級で4団体のベルトを獲得したブライアン・ビロリア、後にフライ級統一チャンピオンとなるファン・フランシスコ・エストラーダを破っておりますな。
そしてこの試合はニューヨークで行われてゴンサレスが前に出てきてクアドラスはサイドに絶えず動き回る熱戦に!お互いのパンチが交錯するもののゴンサレスはより重いパンチとアグレッシブさで勝って苦戦した末に判定勝ち!クアドラスは全然虚しく初黒星となり、王座陥落となります。
しかしゴンサレスに体格差があるとはいえ苦戦させたクアドラスの評価は決して下がることはなく、王座返り咲きの機会を伺うことになります。
そして半年後にニューヨークで迎えた試合はコンテンダーのデビッド・カルモナとゴンサレスのアンダーカードでの試合となります。
カルモナは日本で井上尚弥に挑んで世界タイトルマッチでは当時唯一彼に判定まで粘った選手。WBOチャンピオンだったオマール・ナルバエスにはノックアウトされており、ワルリト・パレナスとの暫定王座決定戦には引き分けておりますな。
そしてこの試合は圧倒的にリードの予想だったクアドラスがまさかの苦戦!思うように動けず、いつもよりも被弾してしまって大苦戦!判定勝ちとなりましたが議論を呼ぶ判定となり、評価を落としてしまいます。
それでも勝利していることでクアドラスは半年後にカリフォルニアのカーソンにてWBC指名挑戦者決定戦に出るチャンスを得ます。相手は元WBA.WBOフライ級チャンピオンのファン・フランシスコ・エストラーダとなります。
エストラーダはメキシコのコンビネーションパンチャーで負けた試合は後にIBFスーパーフライ級チャンピオンとなるファン・カルロス・サンチェス・ジュニアとローマン・ゴンサレスのみでサンチェスにはリマッチでノックアウト勝ち。ゴンサレスには激戦の末判定負けとなってますな。
フライ級にてWBA.WBOチャンピオンだったブライアン・ビロリアを下してタイトルを獲得。元ライトフライ級統一チャンピオンのジョバンニ・セグラ、元WBAフライ級チャンピオンのエルナン・マルケス、後にIBFライトフライ級チャンピオンとなるミラン・メリンドなどを下して防衛に成功しており、2階級制覇を狙ってきましたな。
そして試合は大激戦となります。エストラーダは開始からサークリングして、アウトボクシング。クアドラスはアグレッシブにいき前半戦をリードしますがエストラーダは後半から前に来て巻き返し、クアドラスは10ラウンドにカウンターを浴びてダウン!これが決め手となり僅差の判定を落としてしまいます!
ちなみにこの試合は試合後にジャッジが一度はクアドラスの勝ちとアナウンスしてしまうほどの接戦でしたね。
エストラーダに敗れたクアドラスは半年後に再起戦。コンテンダーでプエルトリコのハードパンチャーであるマクウィリアムス・アローヨとの試合を迎えます。
アローヨはかつてローマン・ゴンサレスのフライ級王座に挑んで判定負け。タイでIBFチャンピオンのアムナット・ルエンロンに僅差判定負けしており、実力者として鳴らしておりましたな。
そしてこの試合では有利予想だったクアドラスがアローヨのパワーに対抗できないまさかの展開に!アローヨに押し込まれてしまい、ガンガンパンチを浴びるとまさかの判定負け!大きく評価を落としてしまいます。
しかもこの試合の後クアドラスは薬物検査で陽性。自身もこの過ちを認めており、薬物依存のリハビリセンターに入所することになりますな。
ロマゴンさん苦闘の4階級制覇…ローマン・ゴンサレスvs.カルロス・クアドラス
再起とスーパーフライ級タイトル挑戦
クアドラスは薬物とアルコールの中毒を乗り越えて半年後に再起。かつてフライ級でファン・カルロス・レベコとモルティ・ムザラネにチャレンジしているリカルド・ヌネスと対戦して偶然のバッティングで負傷判定となりましたかまだ判定勝ちしてバンタム級にてWBCラテンの暫定王座を獲得しております。
その後は9ヶ月後に8回戦を消化。その4ヶ月後にラスベガスでのタイソン・フューリーの試合のアンダーカードでハードパンチャーのホセ・カルデナスを判定で下して3連勝と立ち直ります。
そしてクアドラスはここで4年ぶりの世界タイトルマッチを迎えます。WBCチャンピオンで3年前に惜敗したファン・フランシスコ・エストラーダとのリマッチです。
エストラーダはコロナウイルスに感染するなど多難なときを迎えたもののシーサケット・ソールンビサイに判定勝ちして王座を獲得。クアドラスとのリマッチをクリアすればローマン・ゴンサレスとのリマッチをやりそうな感じでしたな。
そして試合は物凄い激闘になります。開始から激しく打ち合う二人はクアドラスが3ラウンドにアッパーを決めてエストラーダがダウン!しかし4ラウンドからはボディを攻めてクアドラスは度々ダメージを負うようになり迎えた11ラウンドにエストラーダが2度のダウンを奪います!それでも立ち上がったクアドラスでしたがアッパーを食らって下がったところでストップ!エストラーダがクアドラスに初のストップ負けを食らわせて激戦を制しました!!
クアドラスは敗れたもののこの試合でまだまだトップクラスであることを証明。今後はスーパーフライ級かバンタム級か去就が注目されておりますね!
3戦目希望しまーす!ファン・フランシスコ・エストラーダvs.カルロス・クアドラス
今後期待される試合
クアドラスに今後期待されている試合は世界タイトルマッチで、世界チャンピオンに返り咲きを変えたチャンピオンとの試合が求められています。
クアドラスは多くのトップとの試合をしてきており、いまだに一方的に負けたことはないです。エストラーダにストップされましたがダウンさせてもおり、ものすごい試合を演じておりましたね。
スーパーフライ級に残るのか、バンタム級に行くのかで話は違いますがエストラーダとの3戦目、ローマン・ゴンサレスやシーサケット・ソールンビサイとのリマッチなど多くのビッグファイトのチャンスが残っています。日本で井岡との試合をやっても面白くなりそうですね。
バンタム級に行けばWBA.IBFチャンピオンの井上尚弥との試合やWBAチャンピオンのギレルモ・リゴンドー、WBOチャンピオンのジョン・リル・カシメロとの試合が期待されます。彼のネームバリューならまだまだ多くの試合がやれそうですね!
貴公子はこの頃強かったね…カルロス・クアドラスvs.ルイス・コンセプシオン
クアドラスのファイトスタイル
クアドラスのファイトスタイルはオールラウンダー。前に出てプレッシャーをかけるファイトも後ろに下がってサイドに回るボクシングもできるボクサーです。
実際のところ、特別なパワーやスピードはなく、平均以上程度です。しかし全体的にまとまっているので崩しにくく、スーパーフライ級としてはとても体格がでかいことが特徴として挙げられますね。
また、この人はめちゃくちゃタフ。エストラーダとのリマッチでも見せましたがどんなに打たれても諦めないメンタルも素晴らしいです。やや被弾率は高めですが打ち合いにも応じる気の強さがありますね。
しかしドラッグ中毒になるなど実生活でのメンタルの弱さは試合に影響しそう。普段から真面目に取り組んでいれば、トップクラスにいられることは間違い無いかな。
エストラーダさん正確無比…ファン・フランシスコ・エストラーダvs.カルロス・クアドラス
まとめとクアドラスの今後
いかがでしたでしょうか?メキシコのリングの貴公子として多くのビッグファイトを戦っているクアドラス。軽量級とは思えないほど大きなカードで注目される試合を何度もしているスターです。
しかもクアドラスがいるスーパーフライ級はIBF王者に多くの防衛に成功しているヘルウィン・アンカハス、WBOは4階級制覇を達成している間合いの達人の井岡一翔、WBAには4階級制覇チャンピオンのローマン・ゴンサレスがおりコンテンダーには4階級制覇王者のドニー・ニエテス、元WBC王者のシーサケット・ソールンビサイがおります。
しかも1つ上のバンタム級ではWBA、IBF統一王者で井上尚弥、WBO王者のジョン・リル・カシメロ、5階級制覇王者のノニト・ドネア、WBC王者のノルディ・ウーバーリ、元WBC暫定王者の井上拓真、WBAレギュラーチャンピオンのギレルモ・リゴンドーらが首をそろえておりボクシングで最も盛り上がっている階級です!!
スーパーフライ級では体格大きなクアドラスですが有力選手としてバンタム級に上げた場合、即世界戦線に絡むことは間違いないとみられ誰と対戦することになっても今後に注目ですね!!
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