スーパーウェルター級でWBA、IBF.WBO.WBCの4本のベルトを獲得するグランドスラムを成し遂げたウィンキー・ライトさん。いぶし銀のテクニシャンとしてレジェンドの位置に属しています。
ライトはサウスポーのアウトボクサーとして派手さはないもののコツコツと的確なパンチを当ててポイントアウトするファイター。とても良いスキルを持っており、タフさと相まってやりにくさも兼ね揃えた真のチャンピオンです。
キャリアの中では4団体のタイトルを獲得したこともあり、レジェンドクラスの相手にもしっかりと勝利。敵地での世界タイトルマッチを行って勝ち切るなど全盛期は無類の強さを誇っておりましたな。
倒してきた相手は3階級制覇チャンピオンのシェーン・モズリー、元WBAウェルター級チャンピオンのアイク・クウォーティ、3階級制覇チャンピオンのフェリックス・トリニダード、IBFチャンピオンだったブロンコ・マッカート、元チャンピオンのキース・ムリングス、元WBAウェルター級チャンピオンのアンドリュー・カウンシルを撃破しており、ミドル級チャンピオンのジャーメイン・テイラーとも引き分けてますね。
負けた試合はハードパンチャーのフリオ・セサール・バスケス、無敗のサイモン・ブラウン、IBFチャンピオンだったフェルナンド・バルガス、元ミドル級4団体チャンピオンのバーナード・ホプキンス、後にWBOミドル級チャンピオンとなるピーター・キーリン、2階級制覇チャンピオンのポール・ウィリアムスのみですね。
スタイルはとにかく高いガードで相手のパンチを弾いて的中率の高いジャブをコツコツ当ててくるタイプ。さらにインサイドではボディを打ち込んでパワーはなくてもヒット率がとても高いシューターです。
さらに特徴的なのはめちゃくちゃタフであること。バスケスには5度もダウンさせられたものの立ち上がり、彼を効かせることはとても難しいです。ノックアウト負けしたことがない打たれ強さを持ち、テクニックと相まっていぶし銀と言われますね!
ちなみに今はプロモーターとしても活躍しており、音楽にも興味があるようで自身のレーベルを持っています。バスタ・ライムズのミュージックビデオにも出たことがありテレビドラマにも出演するなど人気者ですな。チャリティイベントも多くこなしており、フロリダのコミュニティに貢献しています。
そんなライトの試合をより楽しむためにこれまでの来歴もまとめてみました!!
Contents
ライトの戦歴
ライトのプロフィール
ライトは1971年生まれ。アメリカのワシントンDCに生まれており、現在はフロリダ州のマイアミにて2009年に結婚している奥様と住んでおりますな。
身長179センチでリーチも183センチもあるライトはスーパーウェルター級としては当時かなり大柄。体格的なデカさとテクニックを駆使しておりましたな。
ライトはアマチュアの頃から活躍しておりましたが、大きな大会で目立った戦績を残しているわけではありません。プロになって大成したと言えますね。
ライトは2017年に名誉の殿堂入りを果たしております。現在でも多くのボクシングの試合に奥様と姿を現しており、ボクシングとの距離はかなり近いですね!
ライトさんのしのしと相手を圧殺…ウィンキー・ライトvs.ロバート・フレージャー
これまでの実績
ライトは1990年に19歳にしてプロデビュー。フロリダ州のタンパでプロデビュー戦を行って4ラウンド判定勝ちを収めています。
そして4回戦を5戦目まで行って6回戦に昇格。1992年まで6回戦ボーイとしてフロリダ州で試合をしておりましたな。
1992年には8回戦を行ってその次の試合では10回戦を経験。どちらにもノックアウト勝ちを収めると8回戦をドイツやフランスでも行うようになります。
そして1993年10月からは4回連続でフランスにて試合を行ってすべての試合でノックアウト勝ち。無敗のまま世界タイトルマッチを迎えます。
初戦よりは良くなったシュガー…ウィンキー・ライトvs.シェーン・モズリー2
バスケスとの対戦と再起
ライトは1994年にはじめての世界タイトルマッチを迎えます。相手はWBAチャンピオンのフリオ・セサール・バスケス。試合は中立地のフランスで行われることになります。
バスケスは月1度ぐらいのペースで試合を重ねる戦うチャンピオン。9度目の防衛戦となるハードパンチャーでアルゼンチンの英雄とされておりますな。後にIBFチャンピオンとなるバーノ・フィリップスに反則負けした試合のみが黒星です。
そして試合はライトが開始からアグレッシブに出てジャブで顔を弾く好スタート。しかしバスケスは得意のカウンターの強打でライトはダウン!計5度ものダウンを奪われる展開となりましたがその度に立ち上がってバスケスを苦戦させる試合となりました!判定で敗れましたが経験で劣るライトが食い下がった試合として記憶されてますね!
この試合に負けたライトは評価を高めて次戦は3ヶ月にアルゼンチンに出陣。バスケスのアンダーカードでアーネスト・カストロを2ラウンド棄権勝ちで下します。
そして次戦はまたもパリに遠征。かつてバスケスに対戦して判定負けしているトニー・マーシャルと対戦して的確なパンチを集めて判定勝ち。空位のNABFタイトルを獲得します。
その後はフランスで6回戦と8回戦をこなして3連勝。アイク・クウォーティの前座でアンソニー・イボリーを下してNABF王座も防衛します。
そして1985年にはアメリカに帰還。10回戦を9ラウンドストップでこなしてその後はまたパリで8回戦を消化します。
そして次戦ではアメリカにてアンドリュー・カウンシルと対戦。カウンシルはワシントンのハードパンチャーでリーチが185センチもあるファイター。キース・ホームズとの試合の経験もあるコンテンダーですな。
そしてコンテンダー同士の試合となったこの試合はライトが的確なジャブとズシンとくるボディ攻撃でカウンシルを圧倒!カウンシルもパンチをよく返したもののライトが正確性でペースを握って判定勝ち!2度目の世界タイトルマッチを迎えます!
いぶし銀のライトは根性ありあり…フリオ・セサール・バスケスvs.ウィンキー・ライト
WBO王者時代
ライトはカウンシルを下した2ヶ月後に世界タイトルマッチ。2度目の世界タイトルマッチはWBOチャンピオンのブロンコ・マッカートと敵地となるミシガン州で行うことになります。
マッカートはサウスポーのハードパンチャーで鋭いパンチを持つ攻防分離型のファイター。スーパーマンのニックネームを持っておりサントス・カルドナをノックアウトして決定戦でタイトルを獲得しましたな。
そして試合はアウェイのライトが開始からジャブをついてどんどん出てくるアグレッシブな展開に!マッカートは後手に回ってライトの攻勢を受けに回る展開となります!マッカートは持ち前の攻撃力で後半にチャージしてきたもののライトは耐えて判定は2-1でライト!ライトがWBOのタイトルを獲得します!
そして次戦は半年後にチャンピオンとして初防衛戦。敵地となるマンチェスターのイングランドに乗り込んでエンスリー・ビンガムと対戦します。ビンガムはイギリスチャンピオンのハードパンチャーですね。
そして試合はライトが開始からサイドへと位置を変えてジャブをどんどん当てていく展開に!ビンガムもボディ攻撃で食い下がったもののライトはエルボーでブロックしてジャブだけでほとんど試合をコントロール!敵地で大差判定勝ちとなりました!
そして次戦は半年後にまたまたマンチェスターのスティーブ・フォスターと対戦。IBFインターコンチネンタルチャンピオンとしての経歴を持つ相手のバックヤードであるマンチェスターに乗り込んでライトはどんどんボディを打ち込んで6ラウンドノックアウト勝ち。チャンピオンとしての強さを見せます。
さらに次戦も敵地となるロンドンに乗り込んで防衛戦。ここまで無敗で元オリンピアンのガイアナ人であるエイドリアン・ドドソンと対戦します。WBOインターコンチネンタルチャンピオンのドドソンをライトはボディで打ち据えて6ラウンド終了後に棄権。ライトが圧倒的な強さを見せます!!
そしてライトは4度目の防衛戦でまたも敵地である南アフリカに出陣。無敗のハードパンチャーとして知られるナミビアのハリー・サイモンとの試合を行うことになります。ここまで無敗のサイモンは勝てばナミビア初の世界チャンピオンとなりますな。
そして試合はサイモンが開始からアグレッシブに攻めてきてライトを押し込む試合に!ライトもジャブとボディを返してかなりの熱戦となりましたが最終的にはサイモンのアグレッシブさにポイントは流れてライトが僅差判定負け!王座から陥落して無冠となりましたな。
アングルを変えるジャブが秀逸…ブロンコ・マッカートvs.ウィンキー・ライト
再起とバルガスとの死闘
サイモンに惜敗したライトは半年後に拠点としているマイアミでIBF指名挑戦者決定戦を行います。相手はコンテンダーのデリック・グラハム。10ラウンドの試合も戦ったことのない青二歳でしたね。
そしてキャリアの点で大きな差があったこの試合はライトが開始からグラハムを圧倒!ボディを軸とした攻撃で3ラウンドノックアウト勝ちを収め、2つ目のタイトルを狙える位置にきます。
そして迎えた試合はIBFチャンピオンで無敗のオリンピアンであるフェルナンド・バルガスとの試合。オレゴン州での試合となりましたな。
バルガスはカリフォルニアを主戦場とするメキシカン系のファイターでハードパンチャー。ラモン・カンパスをノックアウトしてタイトルを獲得しておりラウル・マルケスなどの強敵もノックアウト。今回が3度目の防衛戦となりますな。
そして試合はとても白熱の好勝負となります。開始からバルガスは間合いを詰めて、間合いを取って繰り返してジャブ、オーバーハンドの右を駆使してくる試合に。ライトもジャブを返してインサイドではボディとかなりの好勝負となりましたがパワーでやや負けてしまい、判定は僅差でバルガス!どちらの手が上がってもおかしくない試合でした!
この試合の後ライトは世界タイトルマッチを目指すために9ヶ月間ほどリングを離れてチャンスを待ちます。そして迎えたチャンスはIBF指名挑戦者決定戦。相手はかつて下した元WBOチャンピオンのブロンコ・マッカートとなります。
マッカ―トはライトに負けた後すべての試合に勝利。IBAのタイトルとNABFタイトルを獲得して世界タイトルを狙える位置まで来ましたな。しかし、ライトとの実力の差は大きく開いていました。ライトはジャブを主体にどんどんヒットを重ねて大差判定勝ち。ライトが指名挑戦者としての権利を獲得します。
そして次戦ではテリー・ノリスをまさかのノックアウトで下してWBCタイトルを手にしたキース・ムリングスと対戦。ラウル・マルケスやハビエル・カスティリェホとも対戦しているハードパンチャーのムリングスでしたがライトはジャブとポジショニングを駆使してポイントをピックアップ。大差判定勝ちで指名挑戦者の権利を守ります。
クッソ良い試合…フェルナンド・バルガスvs.ウィンキー・ライト
IBF王者時代
ムリングスに判定勝ちしたライトは2001年に世界タイトルマッチを引き当てます。相手はロバート・フレージャー。フェルナンド・バルガスに勝利したフェリックス・トリニダードが返上したIBF王座決定戦となります。
フレージャーはアマチュアの実績のあるファイターでアメリカ代表としてトリニダード・トバゴとの対抗戦に出場。目下6連勝中と波に乗りますな。
そして試合はインディオで行われてライトが開始からプレッシャーをかける展開に!フレージャーは軽いパンチの弾幕を打ち込んだものの初回にスリップ気味のダウンをしてライトのプレッシャーの前に押し込まれて大差判定はライトへ!WBOに続くタイトルを獲得しました!
そして初防衛戦は地元のフロリダ州マイアミにて開催。コンテンダーでルイジアナのハードパンチャーであるジェイソン・パピリオンと対戦します。マッカ―トとの試合の経験のある元NABFチャンピオンでしたが、ライトは的確なパンチを上下に決めて5ラウンドにストップ!初防衛をクリアします。
そして次戦は半年後にオレゴン州にて開催。相手は三度まみえることになったブロンコ・マッカ―ト。ライトとのリマッチに敗れた後3連勝しており。アレックス・ブネマを僅差判定で下してIBF指名挑戦者の権利を得ていましたな。
指名戦となったこの試合はマッカ―トが開始からローブローを連発。。。ライトはそのたびにクレームしてマッカ―トは5度ほど減点。。。心が折れてしまって泣きそうになりながら8ラウンドに続行を拒否。ライトの失格勝ちとなります。
そして半年後にはラスベガスにて防衛戦。コロンビアのコンテンダーでアンヘル・エルナンデスと2度試合をしているファン・カンデロと対戦します。いつも通りコツコツとジャブとぼしを当てて12ラウンドをクルーズしたライトが防衛します。
更に半年後にはラスベガスで元NABFチャンピオンで前の試合でカシム・オウマとのIBF指名挑戦者決定戦に惜敗しているアンヘル・エルナンデスと対戦。どんどんジャブとボディ攻撃をして再度に回るボクシングで大差判定勝ち。ビッグファイトへと駒を進めます。
何も起こらせない強さ…ウィンキー・ライトvs.アイク・クォーティ
モズリーとの統一戦
そしてライトはIBFチャンピオンとしてついにとても大きな試合を実現させます。WBC、WBAチャンピオンで3階級制覇チャンピオンのシェーン・モズリーとの王座統一戦です。モズリーはスピードのあるワンツーを武器にしているスピードスター。ライト級。ウェルター級。スーパーウェルター級でタイトルを獲得しておりますな。
キャリアの中では長期政権チャンピオンだったフィリップ・ホリデー、元スーパーフェザー級チャンピオンのジェシー・ジェームス・レイハや元スーパーフェザー級チャンピオンのジョン・ジョン・モリナ、5階級制覇チャンピオンのオスカー・デラホーヤを2度下しておりますな。負けたのはウェルター級でのバーノン・フォレストとの2連戦のみですな。
そして試合は大きなアンダードッグだったライトがモズリーを圧倒!!巧みなポジショニングとジャブでペースを握るとモズリーはほとんど手が出せなくなり、ライトが流れるようなアウトボクシングを披露して大差判定勝ち。3団体の王座を獲得して4団体のベルトをコレクション。グランドスラムを達成してスーパーウェルター級のベストと認められます。
名実ともにスーパーウェルター級のベストとなったライトはモズリーとのリマッチに向かいます。リマッチではモズリーがアグレッシブに出てきてワンツーを打ち込んでライトを苦戦させます。しかし全体的にはライトが的確なジャブを当てて顔を弾きポイントアウト。モズリーを僅差判定で退けて世界でもベストなボクサーの一人としてスーパーウェルター級を卒業します!
ミドル級とテイラー戦
4団体のベルトのコレクションに成功したライトはスーパーウェルター級の3団体のタイトルを返上。ミドル級へと向かい、次なるターゲットを2階級制覇とします。
そしてこの頃にはビッグネームとなっていたライトは次戦をミドル級で元3階級制覇チャンピオンでプエルトリコのスーパースターのフェリックス・トリニダードと対戦します。この試合はWBC指名挑戦者決定戦となりましたな。
トリニダードはプエルトリコのハードパンチャーでウェルター級、スーパーウェルター級、ミドル級でタイトルを獲得してきたノックアウトパンチャー。ディフェンスは甘くて打たれ脆いものの、有り余る攻撃力でミドル級のバーナード・ホプキンスとの試合以外に全ての試合で勝ち抜いてますな。
キャリアの中ではウェルター級チャンピオンのモーリス・ブロッカー、無敗だったルイス・ラモン・カンパス、3階級制覇チャンピオンのヘクター・カマチョ、コンテンダーのオバ・カー、4階級制覇チャンピオンのパーネル・ウィテカー、WBCウェルター級チャンピオンだったオスカー・デラホーヤ、WBAスーパーウェルター級チャンピオンのデビッド・レイド、IBFスーパーウェルター級チャンピオンだったフェルナンド・バルガス、WBAミドル級チャンピオンだったウィリアム・ジョッピー、元ウェルター級チャンピオンのリカルド・マヨルガを下しておりますな。
そして試合はライトが前に出てくるトリニダードに的確なジャブを当ててそのままサイドへと回るボクシングで圧倒!インサイドでもアッパーと打ち下ろしを駆使してパワーに勝るはずのトリニダードは中盤から出られず、ライトがビッグネームに何もさせない展開で大差判定勝ち。大きな勝利を挙げます!!
そして次戦はミドル級2戦目。コネチカット州でオーストラリアのコンテンダーで変則的なタイプのサム・ソリマンと指名挑戦者の権利をかけて試合をします。ソリマンはOPBFチャンピオンでIBFパンパシフィックチャンピオン。世界中で試合をしてきており4年間無敗でアクティブに試合をしていますね。
そして試合はテクニカルな面で勝るソリマンがジャブを駆使してソリマンが大きく動き回ってやりにくさを発揮するしんどい試合に。的確なジャブを当ててきたライトが判定勝ちとなりましたが、結構苦戦してしまいましたね。
そしてついにライトは半年後にミドル級での世界タイトル挑戦。WBC、WBOチャンピオンで無敗のシドニーオリンピック銅メダリストのジャーメイン・テイラーとの試合を行うことになります。テイラーは切れ味鋭いコンビネーションパンチャーで硬質な右を持つボクサー。チャンピオンとなってから無敗で史上初の4団体統一チャンピオンのバーナード・ホプキンスを判定で下して4団体の王座を獲得。リマッチでも判定勝ちしておりますな。
そして試合はライトが開始からプレッシャーをかけてきてジャブとボディをコネクトすればテイラーも硬質で鋭い右ストレートを叩きつけてタフなライトを効かせるなど大接戦に。途中までライトがリードしていたもののテイラーがパワーで盛り返して結果はドロー!素晴らしい熱戦となりましたが、タイトルの獲得には至りませんでした。
惜しいウィンキー…ジャーメイン・テイラーvs.ウィンキー・ライト
再起と3連敗、引退へ
テイラーとの激戦に引き分けたライトは次戦で半年後にミドル級のウェイトでリングに上がることになります。相手はガーナのハードパンチャーであるアイク・クォーティ。元WBAウェルター級チャンピオンでバズーカと形容される右ストレートを持つパンチャーです。
ガーナ出身のクォーティはボクシングでもベストな一つとされるスピードジャブを持つボクサー。WBAチャンピオンだったクリサント・エスパーニャや後にIBFスーパーライト級チャンピオンとなるビンス・フィリップスをノックアウトしております。
オスカー・デラホーヤとの無敗同士の統一戦は伝説的でお互いにダウンしたものの12ラウンドにダウンしたクウォーティが僅差判定負け。IBFスーパーウェルター級チャンピオンのフェルナンド・バルガスにも判定負けして、スーパーウェルター級のウェイトで元ウェルター級統一チャンピオンのバーノン・フォレストにも敗れましたな。ミドル級での試合は初となります。
そしてこの試合はライトが開始から間合いを詰めてクォーティの得意のジャブと右ストレートを出す間合いを与えない展開に!ライトは右フックを当てて2度のダウンを奪い、クォーティもインサイドでアッパーを返すなど食い下がったものの体格差を覆すことはできずにライトが判定勝ち。ビッグネームを下して再起します。ちなみにクォーティはこの試合を最後に現役を引退しましたな。
そしてこの試合の後ライトはビッグファイトを迎えます。元ミドル級4団体統一チャンピオンでレジェンド、ミドル級で20度以上の防衛に成功しているバーナード・ホプキンスとの試合です。
ホプキンスは処刑人と呼ばれるニックネームを持つハードパンチャーですが年齢を重ねて荒々しさからキャリアとテクニックを駆使した技巧派スタイルとなったことで有名。クリンチやヘディングなどを駆使するダーティーな戦い方もありますね。
キャリアの中ではミドル級としてレジェンドのロイ・ジョーンズ・ジュニアに敗れたもののジョーンズが返上したIBFタイトルを獲得。3階級制覇チャンピオンのジョン・デビッド・ジャクソンをノックアウトして後にIBFライトヘビー級チャンピオンになるグレン・ジョンソンもノックアウト。2階級制覇チャンピオンのサイモン・ブラウンもノックアウトしてWBCチャンピオンのキース・ホームズを下して王座統一。無敗の3階級制覇チャンピオンのフェリックス・トリニダードをノックアウトして元WBAスーパーウェルター級チャンピオンのカール・ダニエルズもノックアウト。元WBAチャンピオンのウィリアム・ジョッピーも下してWBOチャンピオンのオスカー・デラホーヤをノックアウトして史上初となる4団体統一を成し遂げましたな。
その後はオリンピック銅メダリストのジャーメイン・テイラーに僅差判定負けで陥落。リマッチでも判定負けてしてしまいましたがライトヘビー級チャンピオンのアントニオ・ターバーを下して健在ぶりを見せておりましたな。
そしてスーパーミドル級より少し上のウェイトで行われたこの試合はライトのキャリアハイのウェイト。ホプキンスにプレッシャーをかけて開始こそ優位に進めますがホプキンスは4ラウンドあたりから動きを読んでの右リードとクリンチを駆使して優位に。判定は少し微妙となりましたがホプキンスが判定勝ちしてライトはビッグファイトを落としてしまいます。
ここからライトは1年半ほどリングを離れます。そして38歳となって迎えた試合はフィジカルモンスターと呼ばれるポール・ウィリアムスとのミドル級ノンタイトルマッチでした。
ウィリアムスはジョージア州出身でサウスカロライナ州に住む身長185センチ、リーチは201センチのモンスター。ウェルター級、スーパーウェルター級でタイトルを獲得しており、このクラスでは考えられないほどの体格とリーチを持ちますな。
キャリアの中ではウェルター級においてタフネスで鳴らしていたアントニオ・マルガリートに判定勝ち。カルロス・キンタナにまさかの判定負けを喫したもののリマッチで初回ノックアウトに処して元WBO.IBFスーパーウェルター級チャンピオンでスリータイムチャンピオンのバーノ・フィリップスをノックアウトしてWBOスーパーウェルター級暫定タイトルを獲得。3階級目にきましたな。
そして試合はサウスポースタンスからどんどんジャブをついてきてコンビネーションを打ち込むウィリアムスの手数とリーチに対応できないライト。ライトもジャブを当てて前に出てタフネスを見せたもののポイントを取るには至らず、若手に大差判定負けとなります。
多くのファンがこれでライトは年齢的にも引退と思われました。しけしライトは3年後、カリフォルニアのカーソンにてまたリングに上がります。41歳となって迎えた相手は無敗のコンテンダーのピーター・キーリンでした。
キーリンはキューバ系移民の息子で鋭い右ストレートを武器とするファイター。打たれ弱いものの切れ味鋭いカウンターパンチと勝った後にチョコレートをばら撒くパフォーマンスで知られてますな。
そして試合はキーリンが年老いたライトを圧倒!5ラウンドに尻餅をつかせるダウンを奪われたライトはキーリンの動きについていけないままポイントを失って10ラウンド判定負け。3連敗となり、キャリア初の12回戦以外の試合での敗退となり、現役引退を決意します。
ライトは現役を引退後名誉の殿堂入りを果たしております。スキルに優れた技巧派チャンピオンとして派手さはなかったものの長きにわたって活躍してくれましたな。
ライトさんホールドの名手に屈す…バーナード・ホプキンスvs.ウィンキー・ライト
ライトのファイトスタイル
ライトのスタイルはサウスポースタンスでガードを固めてジャブをついてくるアウトボクサー。このジャブでほとんど相手を制圧してしまい、動き出し、打ち終わりに当ててくるタイミングの良さが抜群で精度が高いですね!
このジャブだけでほとんど相手を圧倒して相手が出られなくなるとプレッシャーをかけてくる心理的な面も優れています。また、負けている試合でも打ち合いに応じて必ず何とかしようとしてくる気概もありますね。
ライトの特徴はどの距離でも強いこと。ロングレンジではジャブを主体として、接近戦では頭をつけてのフックとボディを決めてきます。ボディブローはライトの得意なパンチで少ないノックアウト勝ちの中でもボディでのKOが多いですな。
また、この人の最も恐ろしいところはとにかく打たれ強いこと。バスケスとの試合では5度もダウンさせられましたが打たれて止まらずにノックアウトされたことはないです。顔面もボディも打たれ強いので相手からしたら嫌になってくるタイプですね!
まとめ
いかがでしたでしょうか?多くのレジェンドと拳を交えてキャリアの中で主要4団体のタイトルを獲得する素晴らしい功績を残しているウィンキー・ライト。玄人好みのスタイルではありますがボクシングが好きな人ほど惹かれるスタイルを持ちます。
多くのスターが存在した2000年代初頭に特に活躍したライトはミドル級でのタイトル獲得はなりませんでしたが、このようなスタイルのファイターがPPVのファイトでメインを飾るのは極めて珍しいです。地道なボクシングスタイルだからこそ認められたわけですね。
とにかく打たれ強くてどんな時でもコツコツとやれることをやるライトのボクシングはまさにいぶし銀。派手さはなくてもコツコツとパンチを当ててくるので相手からしたらとてもやりにくく、ガードもすごく硬くて抜け目のないファイターです。
デラホーヤやモズリー、トリニダードなどの華やかなタイプとは少し違うものの安定感のあるライトのボクシングは私は大好きです。渋さも相まってボクシングが好きな人なら必ず見てほしいボクサーですね!
ちなみにそんなライトの試合をテレビで見るにはWOWOWのエキサイトマッチが最適です。過去の試合もリピート放送でされていますし、ぜひこれを機にWOWOWと契約してはいかがでしょうか?