現代を代表する重量級ボクサーの1人で日本でも村田諒太と2度も対戦して日本のファンにもよく知られているハッサン・ヌダン・ヌジカム。
カメルーン出身のアウトボクサーとして2度のオリンピックに出ており、2度目のオリンピックではプロになって世界チャンピオンになってから出ていることでも話題になりましたよね。
ヌジカムはミドル級スリータイムチャンピオン。WBA暫定タイトルとWBOタイトル、WBAタイトルを獲得しておりフランスを主戦場としながらも日本やアメリカ、イングランド、カナダ、ロシアなどを転戦としてきております。
そんなヌジカムの最大の特徴はその回復力。試合の中でダウンすることが多いヌジカムですが彼は必ず立ち上がって打ち返してきます。ピーター・キーリンとデビッド・レミューとの試合では何度もダウンさせられても諦めずに立ち向かう大きなハートを見せてくれましたな。
キャリアの中ではコンテンダーのマックス・バーサク、元WBA暫定チャンピオンのマーティン・マレー、ロンドンオリンピック金メダリストの村田諒太に勝っており、22秒で失神KOを世界タイトルマッチで飾ったこともあります。
敗れたのはピーター・キーリンに6度のダウンを奪われた試合とデビッド・レミューに4度のダウンを奪われた試合。村田諒太に初のノックアウト負けを食らった試合とスーパーミドル級最強のカラム・スミスにノックアウトされた試合、元WBAチャンピオンのフェドール・チュディノフに敵地で敗れた試合のみですね!
今はスーパーミドル級を主戦場としておりますがチュディノフに敗れたとはいえ実績のあるヌジカムにはまだまだチャンスがくると思われます。
ということで、彼の試合をより楽しむためにヌジカムの来歴をまとめてみました!!
偉大なる父の名を背負うネクスト・ジェネレーション!クリス・ユーバンク・ジュニア!!
Contents
ヌジカムの戦歴
ヌジカムのプロフィール
ハッサン・ヌダン・ヌジカムは1984年生まれ。カメルーンの出身であり、主戦場にしているのはフランスですね。
ちなみに今住んでいるのはモナコのモンテカルロであり、トレーニングはアメリカのフロリダでやるというかなりややこしいことをしてますな。
ヌジカムはアマチュアの頃から活躍しており2003年にオールアフリカゲームで銀メダルを獲得しております。
2004年のアテネオリンピックに出たヌジカムは後にWBOミドル級チャンピオンになるアンディ・リーを撃破。しかしベスト8で姿を消しております。
ちなみにヌジカムは2016年のリオデジャネイロオリンピックにも出ており、この時はプロの選手として出場。しかしこの時はブラジルの選手に初回でノックアウト負けしてますな。
ヌジカムさんはやはりAクラスのようだ…デビッド・レミューvs.ハッサン・ヌダム・ヌジカム
これまでの実績
ヌジカムはアテネオリンピック後の2004年12月にプロデビュー。フランスにてプロデビューをしており、6回戦で3ラウンドノックアウト勝ちを収めます。
次戦では8回戦で判定勝ちを収めており六戦連続でノックアウト勝ちを収めて2008年にはテレビのトーナメントに出ており10回戦デビューをしております。
2008年からは10回戦をこなし始めて元ロシアチャンピオンのゲンナジー・マーティロスヤンをノックアウト。多くのコンテンダーを倒していきます。
2010年の6月には元アルゼンチンチャンピオンのオマール・ウェイスをノックアウトしてWBAインターナショナルタイトルを獲得。次戦で初の世界タイトルマッチを行います。
ヌジカムさんのワンパンチKO ハッサン・ヌジカムvs.アルフォンソ・ブランコ
WBA.WBOチャンピオン時代
ヌジカムは2010年フランスにて初の世界タイトルマッチを行います。WBAミドル級暫定王座決定戦となったこの試合の相手はアブタンジル・カーティスサイド。ジョージアのパンチャーでWBAインターコンチネンタルチャンピオンでございますね。
そして試合はウサギのように跳ねるヌジカムがダウンを奪われてしまいますが全体的にはジャブとワンツーでカーティスサイドをアウトボクシング。判定勝ちで暫定タイトルを獲得します。
そして初防衛戦はフランスでジョバンニ・ロレンソと行います。ロレンソはドミニカ共和国のパワーパンチャーでセバスチャン・シルベスターと元チャンピオンのラウル・マルケス、WBAチャンピオンのフェリックス・シュトルムに判定負けしているコンテンダー。2度の世界タイトルマッチを経験してますな。
そして試合はヌジカムがロレンソをフットワークとスピードで圧倒します。ヒットアンドアウェイでロレンソをアウトポイントして5ラウンドにダウンしますが大差判定勝ちで防衛に成功します!
しかしヌジカムはこの試合の後WBAチャンピオンのゲンナジー・ゴロフキンとの試合が決まらないことでWBAに不信感を得ます。ヌジカムはWBA王座を返上して別の方向に進むことになりますな。
そして一年後、ヌジカムはWBOの暫定王座決定戦に出場します。フランスにてドイツのコンテンダーのマックス・バーサクとの対戦を行います。
バーサクは典型的なヨーロピアンファイター。WBOインターコンチネンタルタイトルを持っておりブライアン・ベラを下しておりますな。
そして試合は典型的な攻防分離のバーサクに対してヌジカムが徹底的に間合いを取りヒットアンドアウェイ。バーサクは足の速いヌジカムにほとんどついていけないままポイントをロスしてヌジカムが判定勝ちを収めます!!
そして正規チャンピオンのドミトリー・ビボルの引退に伴ってヌジカムはWBO正規チャンピオンとなります。
ヌジカムは初防衛戦でついにアメリカデビュー。相手は無敗のピーター・キーリン。キューバ系のカウンターパンチャーでレジェンドのウィンキー・ライトを下しております。
そしてこの試合はニューヨークで行われますが、大変な試合となります。開始からヌジカムは敵地であることを意識して攻め込んでポイントをリード。しかしキーリンは間合いが詰まったところに4ラウンドカウンターを決めてヌジカムは2度もダウン!しかし立ち上がり打ち返す6ラウンドも同じ展開となります!
しかしヌジカムは4度のダウンをしているのに驚異的な回復を見せて驚異的な追い上げを見せます。しかし12ラウンドほとんどイーブンになったポイント差でキーリンのカウンターでまたもにどのダウンを喫してしまい大激闘の末判定負け。しかし6度のダウンを奪われながらも立ち上がり最後まで諦めずに戦い抜いたヌジカムには大きな称賛が集まります!
初黒星となったヌジカムはダメージを抜いて1年後に再起戦。3試合を行なってまたもアメリカで試合を行います。
カリフォルニアでIBFミドル級指名挑戦者決定戦に出ることになったヌジカムの相手はカーティス・スティーブンス。ニューヨークを主戦場としており、ゲンナジー・ゴロフキンに肉薄したことで知られるハードパンチャーです。
そしてこの試合はスキルに勝るヌジカムがスティーブンスをアウトボクシングします。8ラウンドにはジャブのカウンターでダウンさせて指名挑戦者の権利を獲得します!
そして空位となっていたIBFをかけてヌジカムはハードパンチャーとして知られるデビッド・レミューと敵地のカナダで激突することになります!
レミューはカナダ期待のハードパンチャーで間合いを詰めての左右フックで多くの相手をノックアウトしてきたパンチャー。後にWBC暫定チャンピオンのマルコ・アントニオ・ルビオにはスタミナ切れでノックアウト負け。元WBAスーパーウェルター級チャンピオンのヨアキム・アルシンにも判定負けを喫しておりますな。
しかしフェルナンド・ゲレーロやガブリエル・ロサドらのワールドタイトルチャレンジャーを撃破。勢いをつけてこの試合に臨んできましたな。
そしてこの試合も大変な試合となります。ヌジカムは開始から襲いかかってレミューに肉薄。しかし2ラウンド、5ラウンドに2度、7ラウンドにダウンしてしまいます。それでも立ち上がるヌジカムは何度もふらつきながらもレミューを追い詰めて12ラウンドを戦い抜いて判定負け。敗れはしましたがヌジカムの回復力の高さが多くの人の度肝を抜きましたな。
そして9ヶ月後にヌジカムは再起。3試合をこなしてまたまた世界ランキングを上げてきますな。
ヌジカムさんゾンビ並みの回復力…ハッサン・ヌダム・ヌジカムvs.ピーター・キーリン
村田との対戦と初めてのKO負け
再起戦をクリアしたヌジカムはフランスでWBA暫定チャンピオンのアルフォンソ・ブランコと対戦します。
ブランコはベネズエラのアマチュアボクサーで、前回の試合で世界タイトルを獲得している技巧派ですな。
そしてこの試合は世界の度肝を抜く試合となります。ヌジカムは開始から前に出てきて初回開始22秒で右ストレートを動き出しにカウンターするとブランコは前のめりに失神してダウン!痙攣してそのままノックアウトとなりました!
かくして3度目の世界王座獲得を果たしたヌジカムさん。暫定チャンピオンとして、レギュラーチャンピオンだったダニエル・ジェイコブスがゴロフキンに負けたので正規王座決定戦を村田諒太と行うため初来日することが決まります!
村田はロンドンオリンピック金メダリストの馬力満点のパンチャー。ここまで無敗でプロデビューからトップランクと契約、マカオなどでも試合をしているスター候補ですね!
そしてこの試合は村田がそのパワーでヌジカムを圧倒する展開になります。村田は遠い間合いからワンツーを伸ばしてヌジカムが右ストレートを出すところに合わせて右のカウンターでダウンさせております。しかしヌジカムも粘ってジャブとフットワークで対抗する接戦となり、ヌジカムの判定勝ちとなります!
しかしこの試合は判定に関して試合終了後から大きな批判を浴びます。WBA会長も村田諒太の勝ちを支持する異例の展開となりダイレクトリマッチを発令。ヌジカムはまたまた来日することになります。
そしてヌジカムはリマッチでこれまでのフットワークを使ったボクシングを封印。ノックアウトを狙って前に出てきます。判定では勝てないと判断しての戦い方でしたが村田が右ショートと左ボディでヌジカムを削りヌジカムは7ラウンドに棄権!村田がノックアウトでタイトルを獲得します!
ヌジカムはこの試合の後の記者会見で高熱を押しての出場だったことを明かしており、トレーニングキャンプでも体調を崩していたとのことですな。
エンダムって誰やねんパート2…ハッサン・ヌダム・ヌジカムvs.村田諒太2
スーパーミドル級への転向と現在
村田に敗れてしまったヌジカムは14ヶ月間もの間リングを離れることになります。そしてヌジカムは敵地となるイングランドで再起戦を迎えます。
2018年にイングランドでヌジカムは元WBAミドル級暫定チャンピオンのマーティン・マレーと対戦。マレーの持つWBCスーパーミドル級シルバー王座がかけられます。
マレーはかつてフェリックス・シュトルムに挑んで引き分けている実力者でディフェンシブなファイター。ゲンナジー・ゴロフキンとの試合でも11ラウンドまで粘っており、アルツール・アブラハムやジョージ・グローブスと対戦しておりますな。
そしてこの試合はヌジカムの身体能力と運動量がモノをいう試合となります。ダウンを奪われたヌジカムでしたがフットワークとガードの上からのパンチで間合いを取り判定勝ち。タイトルを獲得します。
そしてヌジカムにはビッグチャンスが訪れます。アメリカのニューヨークでのWBAスーパーチャンピオンであるカラム・スミスとの試合が決まります。
スミスはWBSSトーナメントで優勝した無敗のチャンピオン。ジョージ・グローブスをノックアウトしており、エリック・スコッグランドや後にWBAチャンピオンになるロッキー・フィールディングにも勝利しておりますな。
そしてこの試合はヌジカムにとってとても苦しい試合となります。トーナメントから1年ほど期間をおいてリフレッシュしたスミスはヌジカムの入り際にことごとくカウンターを合わせて初回から3ラウンドまでダウンを奪って3ラウンドヌジカムは立ち上がったもののレフェリーがストップ!スミスの強さが際立つ試合となりましたね。
そしてヌジカムはこの半年後にコンテンダーとの試合を迎えます。相手は元WBA暫定チャンピオンのフェドール・チュディノフ。世界ランキングに入っている選手と敵地であるロシアで試合を行います。
チュディノフはかつてフェリックス・シュトルムに黒星をつけて疑惑の判定負けをリマッチで喫した選手。ジョージ・グローブスにはノックアウトされたもののそれまでは勝ってましたね。
そして試合はチュディノフが間合いを取るヌジカムに手数で追いかけ回す試合となります。ヌジカムはパンチの効果の差で負けてしまって大差判定負け。残念な形となりましたが彼のネームバリューならまだチャンスが巡ってくると思われます!
こーれはスーパーミドル級最強やわ…カラム・スミスvs.ハッサン・ヌダン・ヌジカム 試合後のコメントもあり!
今後期待される試合
オリンピックに出場して無敗のまま世界王者となったヌジカムに期待される試合はやはり世界タイトルマッチです。
ヌジカムはすでにアラフォーとなっています。正直先は長くないと思われており、これから目指すべき試合は世界タイトルマッチであることは間違いありません。ここまでも3度も世界タイトルを獲得しているなど素晴らしい実績がありますが、4度目のタイトル獲得をぜひ目指してほしいです。
スミスには完敗を喫しましたが、スーパーミドル級はあまりスターが多くないので試合を決めることは比較的簡単です。まずは元WBA暫定チャンピオンのジョン・ライダーやキーリンを下したアルフレド・アングロ、元IBFチャンピオンのカレブ・トゥルーアックスなどと試合をしてチャンスをつかんでほしいですね!
やっぱイギリス熱いわ…クリス・ユーバンク・ジュニアvs.ジェームス・デゲール 試合後のコメントもあり!
ヌジカムのファイトスタイル
ヌジカムのボクシングはけっこう幅広いです。足を使ったボクシングが基本なのですが、キーリンのようなスペースが必要なカウンターパンチャーには自ら間合いを詰めるなどかなり勇気もあるパンチャーです。
しかもこの人はウサギのように飛び跳ねるフットワークだけではなく、思い切り振りぬく右クロスのカウンターも武器としてあります。このパンチはブランコを一発でノックアウトしてるほどのパワーがありますね。
また、最大の武器は何度倒されても立ち上がるタフさとガッツです。おそらくこの人の回復力とメンタルの強さはボクシング界でもトップクラス。スタミナも優れておりますのでこの選手を相手に楽勝することはとても難しいAクラスのファイターですね!!
エンダムって誰やねん…ハッサン・ヌダム・ヌジカムvs.村田諒太1
まとめヌジカムの今後
いかがでしたでしょうか?その高い身体能力を活かしたピョンピョン跳ねるフットワークとここぞという時に出す痛烈な右カウンターを駆使して世界王座を3度も獲得したヌジカム。多くの場所で試合をしてきた彼は経験もとても豊富です。
さらにみんなが知っている通りとても高い回復力を誇り、おそらく彼のタフさはボクシング界でもトップ5には入るほど。ストップされてもおかしくない状況でも必ず打ち返して相手を追い込み返すなど勝つためになんでもしてくる怖さがありますね!
スーパーミドル級近辺のウェイトには元WBAチャンピオンのロッキー・フィールディング、元IBOチャンピオンのクリス・ユーバンク・ジュニアやWBOチャンピオンのビリー・ジョー・サンダースなどの英国人が多い状態です。
WBCチャンピオンにはツータイムチャンピオンのデビッド・ベナビデス、IBFにはディフェンスマスターのカレブ・プラントがおり全員無敗。ヌジカムはまず再起戦をクリアして元WBA暫定チャンピオンのジョン・ライダーやピーター・キーリンを下したアルフレド・アングロなどとの試合をして世界にまた近づきたいところですね!
ちなみに今後のビッグマッチが期待されるヌジカムの試合をテレビで見るにはWOWOWのエキサイトマッチが最適です。過去の試合もリピート放送でされていますし、以下のリンクからWOWOWを是非試してみてはいかがでしょうか?