メキシカンファイターながら英国プロモーターのエディ・ハーンに見出させれたフリオ・セサール・マルティネス。WBC世界フライ級タイトルを保持しており、とても期待されるファイターです。
マルティネスはメキシコでアンドリュー・セルビーをボディブローでノックアウトして指名挑戦者としての権利を獲得。WBCチャンピオンだったチャーリー・エドワーズに挑んでほとんどノックアウト勝ちしてましたがダウンした後にパンチを出してしまいノーコンテストとなりましたね。
しかしこの時ほとんどエドワーズをノックアウトしていたことからイギリスの大物プロモーターのエディ・ハーンが契約。契約してから初戦で見事にクリストファー・ロサレスをノックアウトしてタイトルを獲得しております。
そんな彼のスタイルはとにかく前に出てくるメキシカンスタイル。しかもそれだけではなく相手の動き出しにジャブを当てたりカウンターの右クロスや左フックを当てるなどスキルもとても高いです。パワーもかなりあるので今後長い間チャンピオンとして君臨しそうな雰囲気ですね!
フライ級には日本の田中恒成がWBOチャンピオンとして君臨。IBFにはツータイムチャンピオンで最近よく来日しているモルティ・ムザラネ、WBAにはウクライナに引きこもりがちなアーテム・ダラキアンがおります。フライ級での統一戦は難しいかもしれませんがスーパーフライ級に上げたらファン・フランシスコ・エストラーダやカリッド・ヤファイとの試合もあり得ますね!
ということで、軽量級きっての実力者として今後にも大きな期待がかかるマルティネスの試合をより楽しむためにマルティネスのこれまでの来歴をまとめてみました!!
ウクライナに生息する自適チャンピオン!アーテム・ダラキアン!
マルティネスの戦歴
マルティネスのプロフィール
マルティネスは1995年生まれでメキシコの出身。メキシコの首都であるメキシコシティでトレーニングをしておりますな。
マルティネスはプロの叩き上げの選手であり、多くの選手のようにアマチュアでの経験の記録は残っておりません。少なくとも国際大会での記録はないですね。
しかし2015年の21歳でプロデビューしていることを見ると、他のメキシカンファイターよりも遅くデビューしてますのでアマチュアの経験はしてるけど目立った成績は残してないだけかもしれませんね。
これまでの実績
マルティネスは2015年にメキシコでプロデビュー。当時5戦無敗だったヨアキン・クルスと対戦して4ラウンドスプリットディシジョンで負けておりますな。
この扱いを見れば分かるようにマルティネスは決して期待されてプロデビューしたわけではないです。しかし2戦目では無敗の相手をノックアウトして3戦目は7戦無敗の相手を6回戦でノックアウトしております。
さらに5戦目ではヨアキン・クルスとリマッチ。9戦無敗となっていたクルスにマジョリティディシジョンで勝利してリベンジしておりますな。
次戦では9戦無敗の相手に判定勝ち。8ラウンドの試合をこなして経験を積むことになります。
そして間隔を8カ月間置いた次戦ではビッグネームとの試合を行います。元WBCライトフライ級チャンピオンのエドガー・ソーサとの試合です。
ソーサはライトフライ級チャンピオンとして10度もの防衛に成功した名チャンピオン。後にフライ級チャンピオンになるソニー・ボーイ・ハロや國重隆、イーグル京和に挑戦したロレンソ・トレホにもノックアウト勝ち。後に4団体のタイトルをコレクションするブライアン・ビロリアにも判定勝ちしておりますな。
敗れた相手もフライ級のレジェンドのポンサクレック・ウォンジョンカム、フィリピンのラフパンチャーのロデル・マヨール、後にIBFチャンピオンになるウリセス・ソリス、日本で八重樫東にも敗れております。後に4階級制覇チャンピオンとなるローマン・ゴンサレス、ドニー・ニエテスにも敗退してますな。
この試合はマルティネスが経験に勝るソーサに運動量で圧倒する試合となります。豊富な手数とカウンター、ボディアタックで押し込んで判定勝ち。ソーサはこの試合を最後にリングには上がってませんね。
次戦は10回戦を2ラウンドノックアウトでクリアしてさらにIBFライトフライ級チャンピオンの八重樫東に善戦したマーティン・テクアペトラにノックアウト勝ちを収めます。
そしてその後は5試合連続でノックアウト勝ちを収めて世界ランキングを上げていき大きなチャンスを得ます。
2019年に地元のメキシコでマルティネスは無敗のアンドリュー・セルビーとのWBCフライ級指名挑戦者決定戦を行います。
セルビーは元IBFフェザー級チャンピオンのリー・セルビーの弟として有名なアウトボクサー。WBCフライ級タイトルを獲得しており、後にWBCチャンピオンとなるクリストファー・ロサレスにも判定勝ちしております。英国タイトルやIBFインターコンチネンタルタイトルも持つ文字通りの強豪ですね。
そしてこの試合はマルティネスがグレートな試合を見せてくれます。開始から間合いを取るセルビーにマルティネスはボディアタックを敢行。セルビーはプレッシャーをかわせなくなり5ラウンドにダウンした末にストップ!マルティネスが文字通り圧勝で指名挑戦者としての権利を得ます!
エドワーズ戦と世界王座獲得
マルティネスは指名挑戦者として敵地となるイングランドのロンドンでWBCチャンピオンのチャーリー・エドワーズに挑戦することになります。
エドワーズはオーソドックスのアウトボクサーで何十年かぶりのイギリスのフライ級チャンピオン。典型的な線の細いアウトボクサーでイギリスタイトルやWBCインターナショナルタイトルを獲得。WBAコンチネンタルタイトルも獲得してますな。
プロ9戦目でIBFチャンピオンだったジョン・リル・カシメロに挑んだもののこの時はカシメロのパワーに押し込まれて10ラウンドノックアウト負け。スーパーフライ級に上げてましたがクリストファー・ロサレスをアウトポイントしてWBCタイトルをフライ級で獲得しましたな。
そしてこの試合はマルティネスにとってとてももったいない試合となります。マルティネスは開始からプレッシャーをかけて間合いを潰してボディアタックを敢行。エドワーズはプレッシャーをかわせずに3ラウンドにダウンしますがマルティネスはダウンしたエドワーズにボディを出してしまい、ノーコンテスト…
エドワーズをほとんどノックアウトしていたのにとてももったいない試合となりましたね。しかしこの試合でプロモーターのエディ・ハーンの目に止まったマルティネスはハーンと契約。エドワーズが返上したタイトルの決定戦に出ることになります。
マルティネスの2度目の世界アタックとなった決定戦の相手はクリストファー・ロサレス。ニカラグアのハードパンチャーで日本で減量失敗してしまった比嘉大吾をまさかのノックアウトで下したパンチャーです。
防衛戦でもイングランドでオリンピック銅メダリストのパディ・バーンズをボディ一撃でノックアウト。エドワーズには減量苦が響いてまともに動けず判定負けしてましたな。
アメリカのアリゾナ州で行われたこの試合は素晴らしい試合となります。開始からプレッシャーをかけるマルティネスに対してロサレスもリターン必ず返して2ラウンドには2人がふらつく激闘に!しかし徐々に的確性で勝るマルティネスが抜け出してきます。ボディアタックと的確なカウンター、ジャブでダメージを蓄積させたマルティネスは9ラウンドでロサレスをストップ!見事にタイトルを獲得します!
そして決まった初防衛戦はわずか2カ月のスパンで行われることになります。相手はイングランドのジェイ・ハリス。アマチュアとしての活躍していた選手ですね。試合はアメリカのテキサス州で2月に行われます。
ハリスはボディ打ちを得意としている選手でコモンウェルスタイトルやヨーロピアンタイトル、IBFインターコンチネンタルを獲得しているコンテンダーです。
キャリアの中ではチャーリー・エドワーズに挑戦したスペインのアンヘル・モレノを判定で下しております。さらに前回の試合でオリンピック銅メダリストのパディ・バーンズをボディ打ちでノックアウト。バーンズを引退させておりますな。マルティネスが優位の予想となると思いますが無敗のファイター相手なので良い試合となりそうですね!
そして試合はやはり良い試合になります。開始からマルティネスが痛烈なパワーで鼻血を出させるなどパワーで圧倒するもののハリスも長いワンツーとフットワークを駆使して食い下がる展開に!!10ラウンドに左ボディでダウンさせたもののハリスは何とか粘って判定勝ち!!激戦をマルティネスが制しました!!
マルティネスさんタフガイを下す…フリオ・セサール・マルティネスvs.ジェイ・ハリス
そしてコロナウイルスの影響で次戦は半年後にアメリカのオクラホマ州にて指名挑戦者のマクウィリアムス・アローヨと試合をすることが決定。アローヨは兄弟が元IBFスーパーフライ級チャンピオンのマックジョーでプエルトリコのハードパンチャーですね。
かつてタイでIBFチャンピオンだったアムナット・ルエンロンに挑んで判定負け、WBCチャンピオンだったローマン・ゴンサレスに挑んで粘ったものの大差判定負けしています。3階級制覇チャンピオンの井岡一翔にも負けていますが、元WBCスーパーフライ級チャンピオンのカルロス・クアドラスに判定勝ちしていますね。
しかしこの試合はマルティネスがコロナウイルス以外のウイルスに感染したことでキャンセル。マルティネスは数か月後にIBOチャンピオンのマキシミノ・フローレスとの試合をメキシコで行うことになります。
フローレスは後にIBFチャンピオンとなるミラン・メリンドに負傷判定負け。後に八重樫に挑むマーティン・テクアペトラとも引き分けて、マルティネスがノックアウトするアンドリュー・セルビーにも判定負けしてますがフィリピンでIBOタイトルを獲得してきましたな。
が、フローレスはコロナウイルス陽性となり脱落。ミニマム級にて2度世界タイトルマッチを経験しているベテランのモイセス・カジェロスとの試合を行うことになります。カジェロスは日本で山中竜也と福原辰弥と対戦して敗退。3度目の世界タイトルマッチとなりますね。
そして試合はパワーに勝るマルティネスの一方的な試合に!初回から左フックでダウンさせるとカジェロスは力の差を感じてたじたじに。2ラウンドにマルティネスが右クロスを浴びせてコンビネーションを打ち込んでストップし持ち込みました!!
やはり力の差があった…フリオ・セサール・マルティネスvs.モイセス・カジェロス
そして次戦はメキシコでコンテンダーのホエル・コルドバと対戦。コルドバは1994年生まれの26歳。メキシコのメキシコシティ出身のコンテンダーで身長157センチながらリーチは168センチあるファイターですな。
ここまでのレコードは12勝3KO4敗2引き分け。ノックアウト率はあまり高くなく、マルティネスと比べてしまうとデンジャラスさは低いと見えるな。
キャリアの中では2018年から無敗。マウリシオ・ララやデウェイン・ビーモンらに敗退しておりコンテンダーのホセ・キリノを下しておりますな。
そしてこの試合は開始からコルドバがアグレッシブに前に出てきて2ラウンドにはクロスで動きを止めるなど健闘!しかしマルティネスはより重いパンチを返して追い込んでいくと6ラウンドにダウンさせてコンビネーションでストップに持ち込みました!
explodeなフライ級…フリオ・セサール・マルティネスvs.ホエル・コルドバ
今後期待される試合
マルティネスに今後期待される試合は強敵との防衛戦、もしくは他団体のチャンピオンとの統一戦です!
マルティネスはこれから強いチャンピオンとして対戦を避けられる可能性もあります。ロサレス戦とエドワーズ戦はそれくらいのインパクトを残してますし、正直並のコンテンダーでは歯が立たないかなと思います。
マルティネスの強いところは試合の中で流れを変えられること。前に出て手数を出してくる試合もできれば相手が出てくるところにパンチをカウンターするスキルもある嫌な相手です。
なのでこの人に勝つには何か飛び抜けたものを持っている選手が手っ取り早い。元WBOライトフライ級チャンピオンのアンヘル・アコスタなどなら飛び抜けたパワーを持っているので面白くなりそうですね!
もちろん他のチャンピオンもいますが正直今すぐに実現はしそうにない雰囲気。WBAのダラキアンはウクライナに引きこもってるしWBOの田中恒成は日本でようやく岐阜から東京に来たばかり笑笑。IBFのムザラネなら条件さえ合えばあり得そうかもしれませんね!
これは長期政権になりそうやぞ…クリストファー・ロサレスvs.フリオ・セサール・マルティネス
マルティネスのファイトスタイル
マルティネスのファイトスタイルは典型的なメキシカンスタイル。ガードを固めて前に出てくると左右ボディ、ワンツー、フックを駆使して相手を押し込んでくるスタイルです。
ただ、この選手がチャンピオンになっているのはそれだけではなく、相手と間合いができればカウンターのジャブ、左フックなど多くの攻め手を持っています。ロサレスに対しても的確なパンチで徐々に削りましたからね。
パンチの切れ味と単純なパワーもとてもあります。相手が効いたと見ると被弾を気にせず前に出てコンビネーションを出してくるなど詰めの鋭さもあるのでクレバーさもありますよね。
馬力もかなりあって意外と崩しづらいタイプです。マルティネスの勢いとパンチの的確性から逃れるには12ラウンド動き回れるフットワークかマルティネスを止められるパワーが必要なのでチャンピオンクラスではないと太刀打ちは難しいかな。
マルティネスさんもったいないノーコンテスト…チャーリー・エドワーズvs.フリオ・セサール・マルティネス
まとめとマルティネスの今後
いかがでしたでしょうか?メキシカンとしてとても珍しいエディ・ハーンの秘蔵っ子であるフリオ・セサール・マルティネス。前に出ると止まらないプレッシャーと間合いをとると鋭いカウンターを出すという穴のないパンチャーです。
マルティネスは今後も長期政権を築くのではないかと思われます。チャーリー・エドワーズには実質的にノックアウト勝ちしてましたし、元チャンピオンのクリストファー・ロサレスも圧倒していましたからね。
さらにこの人はとても手数が多く、打ち合いに強いのでアメリカでも大人気。ロサレスとの試合も多くのファンがエールを送っていたので今後軽量級でスターになる可能性を秘めたファイターの1人ですね!
フライ級のチャンピオン達はみんな強いです。WBAチャンピオンのアーテム・ダラキアンもウクライナ人で無敗。ウクライナで悠々自適に試合をこなしています。WBOタイトルは日本の田中恒星が保持しており、彼は無敗の3階級制覇チャンピオン。フライ級では最強とされており日本の岐阜に引きこもってますな。IBFのムザラネは世界のどこででも試合をするので彼となら統一戦のチャンスもありそうです!
マルティネスのチャンピオンロードはまだ始まったばかりですが、これからも多くのアリーナでのアンダーカードを経てメインイベントに昇格していくものと思われます。スーパーフライ級にいつかあげるようならエストラーダとの試合も期待したいですね!
ちなみにマルティネスの試合を含めた海外ボクシングを見るにはWOWOWがおすすめです。興味がおありの方は詳細を下記のリンクからご確認ください!!