元WBCスーパーライト級統一王者で現代を代表するスーパーライト級トップボクサーの1人として脚光を集めるベテランのビクトール・ポストルさん。ウクライナが産んだチャンピオンとして有名であり、多くの強敵を意外性のある勝利で破っています。
チャンピオンとして輝いた時間は短かったものの陥落してからも多くのトップコンテンダーと試合を重ねてとてもタフな試合を強いております。アラフォーとなった今でも無敗のチャンピオンに苦戦を味わせてますな。
そんな彼はカリフォルニアのフレディ・ローチの門下生。ノックアウト率は高くないものの精度の高いジャブを得意としており、硬質な右につなげてきて右はかなりのパワーを秘めるノックアウトパンチですな。
キャリアの中では元WBOチャンピオンのデマーカス・コーリーやコンテンダーのセルチュク・アイディンを撃破して、王座決定戦にてハードパンチャーのルーカス・マティセーをノックアウト。特にマティセーに初のノックアウト負けを与えた試合が印象的ですな。
負けた試合はWBOチャンピオンだったテレンス・クロフォードとの統一戦と後にWBA.IBFチャンピオンとなるジョシュ・テイラーとの試合、WBC.WBOチャンピオンのホセ・ラミレスに挑んで僅差判定負けした試合のみ。フィジカルは弱いもののテクニックに優れており、世界のトップ10には間違い無く入りますな。
ということで、今後のビッグマッチにも大きな期待がかかるウクライナの誇るポストルの試合より楽しむためにポストルのこれまでの来歴をまとめてみました!!
ポストルの戦歴
ポストルのプロフィール
ポストルは1984年生まれ。ウクライナがまだソ連の一部だった頃に生まれており、ウクライナ自治区で生まれておりますな。現在はアメリカのカリフォルニアに在住しております。
身長180センチのポストルはこのクラスではかなり長身。リーチも187センチとかなり長く、この長さを生かした試合運びを得意としておりますな。
ポストルはアマチュアの頃から活躍しており多くの国際大会にウクライナ代表として出ております。リトアニアなどでヨーロッパを中心に大会に出ておりましたな。
これまでの実績
ポストルは2007年にボスニアヘルツェゴビナで4回戦にてプロデビュー。2ラウンドノックアウト勝ちを収めてプロになっていますな。
2戦目もボスニアヘルツェゴビナで行い、3戦目はウクライナ。4戦目からは6回戦を行っていてスペインでの試合も経験。8戦目には8回戦を行いロシアでの試合も経験しています。
2010年には10回戦を行って判定勝ち。元ロシアスーパーフェザー級チャンピオンのジャコンジール・アブドゥラエフと対戦して4ラウンドノックアウト勝ちを収めます。
次戦ではジョージアまで赴いてサム・ルクンドと対戦。苦戦したものの的確なジャブを当てて2-0の判定勝ちを収めます。
そしてウクライナにてタリク・マドニ、元WBAインターコンチネンタルチャンピオンのフェリックス・ローラを下してロシアのカレン・テボジアンと対戦して10ランドにダウンさせて12ラウンド判定勝ち。WBCインターナショナルシルバータイトルを獲得します。
そして8回戦を挟んだ後元WBCカリブチャンピオンのホセ・ロドリゲスに判定勝ち。フランスのイボン・メンディーを下してタイトルを防衛します。
さらに2012年には元WBOチャンピオンでかつてザブ・ジュダーやフロイド・メイウェザー・ジュニアを追い詰めてランドール・ベイリーやホエル・フリオを下しているデマーカス・コーリーに判定勝ち。ビッグネームを下します。
さらに元NABFチャンピオンでかつて元WBCライト級チャンピオンのデビッド・ディアスを下しているヘンリー・ランディと対戦。アグレッシブなランディに苦戦したものの判定勝ちでWBCインターナショナル王座を獲得します。
そして8回戦を挟んで元WBAフェデラテンチャンピオンのイグナシオ・メンドサをアウトボクシングして大差判定勝ちで下します。バクロム・ナビエフを3度ダウンさせての判定で下して世界ランキングを上げます。
そして2014年にポストルはアメリカに参戦。コンテンダーでハードパンチャーのセルチュク・アイディンとのWBC指名挑戦者決定戦を行います。
アイディンはトルコのパンチャーでオリンピアン。アマチュアの頃にはレフェリーをノックアウトしたこともある乱暴者でウェルター級にてロバート・ゲレーロとWBC暫定王座を争ったものの判定負け。ヘスス・ソト・カラスにも僅差判定負けしてウェイトを下げてきましたな。
そして試合は予想不利のポストルがアイディンを圧倒!コツコツとジャブを当てていくとアイディンは前に出て来れなくなり、ポストルは逆にダメージを与えてプレッシャーをかける展開に!11ラウンドに痛烈な右ショートを喰らわして仰向けにダウンさせるとストップとなりました!
この勝利により指名挑戦者となったポストルは一年に8回戦を消化して世界タイトルマッチを迎えます。
アウトボクサーのくせに攻めはGAP…ビクトール・ポストルvs.セルチュク・アイディン
王座の獲得、統一戦
ポストルは2015年に初めての世界タイトルマッチを無敗のままカリフォルニアにて迎えます。WBC王座決定戦となり、相手はアルゼンチンのハードパンチャーであるルーカス・マティセーになります。
マティセーは破壊的な右ストレートを持つパンチャーで元暫定チャンピオン。元2階級制覇チャンピオンのザブ・ジュダーとデボン・アレクサンダーには負けてますがどちらにもダウンを奪っており、ダニー・ガルシアにはダウンさせられて完敗しておりますな。
しかし陥落した後もジョン・モリナを大激戦の末に逆転ノックアウト。元WBOチャンピオンのルスラン・プロボドニコフにも激戦の末に判定勝ちしてまたカムバックしてきておりますな。
知名度的に圧倒的に不利予想だったポストルですが試合はポストルが輝きを放ちます。開始から冷徹に出てくるマティセーの顔をジャブで弾くとクリンチを繰り返して中盤からは右を打ち込む展開に!マティセーは有効打をほとんど当てられずに10ラウンドに右をもらうと目を抑えてダウン!そのまま10カウントとなり、ポストルが大番狂わせでの王座獲得となりました!
この試合はかなり驚きをもって迎えられてアイディンとマティセーを立て続けに下したことでポストルはスーパーライト級のトップの仲間入りとなりましたな。
そして10ヶ月後、ポストルの初防衛戦はいきなりビッグファイトとなります。WBOチャンピオンのテレンス・クロフォードとの統一戦です。
クロフォードは元ライト級チャンピオンである2階級制覇チャンピオン。オマハのスイッチヒッターで2階級制覇チャンピオンのリッキー・バーンズを敵地で下して、3階級制覇チャンピオンのユリオルキス・ガンボア、後にライト級チャンピオンとなるレイムンド・ベルトランを下して圧倒的な強さを見せておりましたね。
ラスベガスで行われた無敗同士のこの試合は序盤こそポストルがジャブを打ち込んでポイントを取り合いましたがクロフォードはフットワークを駆使して突き放すと5ラウンドにいきなりのフックで2度ダウンさせ、ポストルは焦ってラビットパンチで減点…終わってみればクロフォードが大差判定勝ちしてポストルは残念ながら初黒星で陥落となります。
アイスマンがマティセーを冷酷に刺す!ビクトール・ポストルvs.ルーカス・マティセー
再起と現在
クロフォードに敗れたポストルは一年後に再起。地元のウクライナにてウズベキスタンのハードパンチャーである無敗のジャムシュベク・ナジミディノフと対戦します。
ナジミディノフはウズベキスタンチャンピオンでこれが初めてのワールドクラスでの試合でしたが、ポストルはジャブでリード。しかし5ラウンドにダウンさせられてストップ寸前まで追い込まれる展開となり、辛くも判定勝ちで再起を果たしましたな。
この後ポストルはWBC暫定王座決定戦として無敗のハードパンチャーであるレジス・プログとの試合がオーダーされますが指を骨折してアウト。ブランクが空きますな。
そして9ヶ月後にポストルは大きなチャンスを迎えます。無敗のスコットランド人でWBCシルバーチャンピオンのジョシュ・テイラーとの試合です。
テイラーはオハラ・デービーズと元IBFライト級チャンピオンのミゲール・バスケスをノックアウトしたスイッチヒッター。ロンドンオリンピック代表でもあり、多くの国際大会で結果を残してきているチャンピオン候補ですな。
そして試合は前に出てくるテイラーにポストルが的確なジャブを合わせるとても良い試合に!しかしポストルは目をカットして10ラウンドにダウン!肉薄してテイラーを苦戦させたものの明白なラウンドを取れないまま判定負けとなりました。しかしこの試合でまだまだポストルが上位の実力者であることを示しましたね!
この試合の5ヶ月後に再起したポストルはトルコのコンテンダーであるシアー・オズグルと対戦。スコットランドのグラスゴーに来て淡々と10ラウンド判定勝ちを収めます。
そして次戦ではアメリカのラスベガスに見参。モハメド・ミモーンとのWBC指名挑戦者決定戦をコスモポリタンで行うことになります。
ミモーンはフランスのコンテンダーでテクニシャン。IBOチャンピオンでありヨーロッパチャンピオンも獲得。コンテンダーのサム・エギントンを下しておりますな。
そして試合はより正確なジャブとポジショニングを駆使するポストルがミモーンを圧倒!ワンツーとジャブを次々と当ててポイントで圧倒して判定勝ち。王座返り咲きのチャンスを得ます。
そしてついにポストルはWBC.WBOチャンピオンのホセ・ラミレスとの試合を迎えます。しかしこの試合はコロナウイルスの影響で2度も延期。ポストルは試合までに1年半ほど待たされますな。
ラミレスはカリフォルニアのファイターで前に出てきて左右フックを放つインファイター。オリンピアンであり、アミール・イマムを下して王座獲得。ホセ・セペダに苦戦したものの昨年に敵地のテキサスでWBOチャンピオンのモーリス・フッカーをノックアウトしてタイトルを無敗のまま統一しておりますな。
そして試合はポストルが前半ジャブを駆使してサイドに回ってポイントを大幅リード!ラミレスはついていけなくなりますが中盤にラミレスがショートの右を当てるとポストルはふらつき、形勢逆転!ラミレスのプレッシャーに押し込まれてしまい、判定は僅差でラミレス!惜しくも返り咲きとはなりませんでしたがトップとして評価を高めた試合となりました!
やはりせめぎ合いになったね…ホセ・ラミレスvs.ビクトール・ポストル
今後期待される試合
ポストルに期待される試合は世界タイトルマッチです。既にアラフォーを迎えているベテランですが、まだまだ世界でやれる力は持ってますからね。
ポストルは元チャンピオンの肩書もありますし、今でもスーパーライト級トップ10には間違いなく入る実力を持ちます。ジャブの精度に関してはナンバーワンではないかと思いますね。
ラミレスとテイラーの両トップには負けているものの一方的に負けたのはクロフォードのみ。まだまだ若い相手にやれますし、ラミレスとテイラーがスーパーライト級を去って王座を返上すれば決定戦に名を連ねると思います。
スーパーライト級にはWBAレギュラーチャンピオンのマリオ・バリオスや2階級制覇チャンピオンのホセ・ペドラサ、コンテンダーのホセ・セペダ、元IBFチャンピオンのイバン・バランチュクなどが虎視眈々とトップの座を狙ってるので彼らとの潰し合いが期待されますね!
クロフォードが王座統一!! テレンス・クロフォードvs.ビクター・ポストル
ポストルのファイトスタイル
ポストルのスタイルはロングレンジに構えて相手が出てくるところに冷静にジャブをついてサイドへと回っていく典型的なアウトボクサー。テクニックとタイミングの良い選手ですね。
基本的にポストルは一撃のパワーというものはあまりないです。その代わりに相手を崩すテクニックにとても長けており、動き出しや入り際にジャブを当ててくるのがうまいです。このパンチで崩して得意の右につなげてきますね。
右ストレートに関しては破壊力はないものの貫通力がとても高いです。相手を効かせたと思ったら一気に出てくるなどメンタル的な駆け引きもうまく、右は硬質なのでアイディンとの試合などのように強烈なノックアウトシーンを作る時もありますね。
弱点はフィジカルの弱さ。基本的に線が細く、もみ合いにはめっぽう弱いです。テイラーやラミレスのようなフィジカルの強い相手にはテクニックを無視されてパワーで押し込まれちゃいましたね。
テイラーはやはり地力がすごいな…ジョシュ・テイラーvs.ビクトール・ポストル
まとめと今後
いかがでしたでしょうか?世界的にも層が厚いのスーパーライト級でトップの1人として数えられるベテランのポストル。彼の場合は派手さはないもののコツコツと着実に相手からポイントを取ることを得意とする典型的なアウトボクサーですね。
今後はスーパーライト級での王座返り咲きを目指すことになります。ラミレスとの試合でまだまだトップとしてやれることを示しているので空位となるであろうタイトルをかけての試合をすることも予想されますね。
ポストルの恐ろしいところはテクニックもさることながら右の貫通力。彼の右はとても痛みを与えるような右で硬質。同じ箇所を狙い撃ちするクレバーさもある目に見えない強さがあるタイプですね。
そんなスーパーライト級トップのポストルの試合をテレビで見るにはWOWOWのエキサイトマッチが最適です。過去の試合もリピート放送でされていますし、ぜひこれを機にWOWOWと契約してはいかがでしょうか?