現代を代表する重量級ボクサーの1人でプロの世界でもイングランドでIBFタイトルを獲得したカレブ・トゥルーアックス。ハードパンチャーでとてもタフなベテランファイターとして存在感を持っております。
トゥルーアックスは基本的にはインファイターあるもののアウトサイドでも打ち合えるボクサーで不器用な点はあるものの強烈なパンチ力とタフネスさを武器に粘り強いボクシングをしてくる選手ですね。
地元のミネソタでは高い人気を誇っており、ニューヨークやラスベガス、イングランドでも試合をしております。どんな相手でも自分の力を出し切れる点ではかなり優れているファイターですな。
そのキャリアの中ではオリンピック金メダリストのIBFチャンピオンだったジェームス・デゲールを敵地のイングランドで下してタイトルを獲得。リマッチでは敗れたものの多くのファンと関係者を驚ろかせましたね。
敗れたのは元ミドル級4団体チャンピオンのジャーメイン・テイラーに2度ダウンさせたものの負けた試合と初の世界タイトルマッチとなったWBAミドル級チャンピオンのダニエル・ジェイコブスとの試合、元WBCスーパーミドル級チャンピオンのアンソニー・ディレル、ジェームス・デゲールとのリマッチのみですな。
ということで、彼の試合をより楽しむためにトゥルーアックスの来歴をまとめてみました!!
トゥルーアックスについて
トゥルーアックスのプロフィール
トゥルーアックスは1983年生まれでアメリカのミネソタ州のオッセオ生まれ。現在はミネアポリスに住んでおりますな。双子のお姉さんと弟さんがいるようですね。
トゥルーアックスはオッセオのフットボールの野球の選手として高校の時に活躍。バージニア大学でもフットボールをやってましたが膝の怪我で引退したそうですな。
バージニア大学を中退するとミネソタ大学に編入。19歳の時に地元のタフマンコンテストに出たらしく、そこからボクシングのキャリアを始めておりますな。ちなみに大学では政治学と社会学を専攻したそうです。
決定力はなかなか…カレブ・トゥルーアックスvs.セレッソ・フォート
これまでの実績
トゥルーアックスは2007年にミネアポリスでプロデビュー。4回戦で2ラウンドノックアウト勝ちを収めます。
5戦目からは6回戦を戦っており多くの試合でノックアウト勝ち。2009年には8回戦に昇格して年末にWBFのインターナショナル王座を獲得します。
さらにミネソタ州のタイトルをかけてハードパンチャーのフィル・ウィリアムスと対戦しますがこの試合はドロー。
次戦ではかつてバーナード・ホプキンスに2度挑んでアンソニー・ムンディンとの試合も含めて3度の世界タイトルマッチを経験しているアントウン・エコールズと対戦して判定勝ち。
さらにかつてウィリアム・ジョッピーに挑んだジョナサン・レイドと対戦してダウンさせた末に9ラウンドノックアウト勝ち。ウィリアムスとのリマッチを行って判定勝ちでケリをつけます。
そしてミネソタ州チャンピオンでかつてポール・ウィリアムスやアンドレ・ウォードと対戦しているアンディ・コールと対戦して僅差判定勝ち。タイトルを獲得します。
そしてトゥルーアックスは2012年にビッグファイト。元ミドル級4団体統一チャンピオンでオリンピック銅メダリストのジャーメイン・テイラーとの試合を行います。
テイラーは切れ味のあるパンチが武器のアウトボクサーでバーナード・ホプキンスを2度下してタイトルを獲得。ケリー・パブリックに敗れたものの2階級制覇チャンピオンのコーリー・スピンクス、元スーパーウェルター級統一チャンピオンのウィンキー・ライト、元IBFスーパーウェルター級チャンピオンのカシム・オウマを退けておりますな。
スーパーミドル級にウェイトを上げてからはカール・フロッチに逆転ノックアウト負け。スーパー6でアルツール・アブラハムに吹き飛ばされて脳出血を起こして世界的なクリニックで診断を受けてのカムバックとなりましたね。
そして試合はスピードに勝るテイラーがジャブをコツコツ伸ばして試合をリード!しかしトゥルーアックスはプレッシャーを強めてきて9ラウンドに右でテイラーをダウンさせる展開に!テイラーはフラフラだったもののクリンチして逃げ切り、トゥルーアックスは初黒星となりましたが爪痕を残しました!
邪悪なる意思は蓄積ダメージありあり…ジャーメイン・テイラーvs.カレブ・トゥルーアックス
ミドル級と敗退
トゥルーアックスはテイラーに敗れた後5ヶ月後にミネソタ州でカムバック。8回戦に初回ノックアウト勝ちを収めます。
そして次戦ではリカルド・マヨルガとも対戦したマイケル・ウォーカーと対戦して4ラウンドノックアウト勝ち。さらにフリオ・セサール・チャベス・ジュニアなどとの試合をしているマット・バンダを判定で下します。
そして次戦はESPNで放送されるチャンス。ハードパンチャーでアドニス・スティーブンソンとも対戦したドノバン・ジョージと対戦します。
そして試合はトゥルーアックスがどんどん的確なジャブを当ててリード!ジョージにダメージを与えて6ラウンドに強烈な右打おろしを当てるとジョージは前のめりにダウン!ノックアウト勝ちを収めます!
そして次戦ではミネソタのタイトルをかけてハードパンチャーでアマチュアエリートのセレッソ・フォートと対戦。4ラウンドに左フックのカウンターを当ててコンビネーションでストップに持ち込んでタイトルを獲得します!
さらに次戦ではガーナのベテランで元コモンウェルスチャンピオンのオジー・デュランと対戦します。
試合はデュランの硬いブロックの前に苦戦!手数を出して後半巻き返してなんとかドローとなりましたが判定は議論を呼び、デュランはこの試合を最後に引退してますね。
それでも切り抜けたトゥルーアックスは元USBAチャンピオンでガブリエル・ロサドに勝利しているデレク・エニスと対戦して判定勝ち。さらにかつてケリー・パブリックと対戦したスコット・シグモンと対戦して8ラウンドノックアウト勝ちを収めます。
そして迎えて次戦は世界タイトルマッチ。WBAミドル級チャンピオンでハードパンチャーのダニエル・ジェイコブスにニューヨークにてチャレンジすることになります。
ジェイコブスはスイッチヒッターのハードパンチャーで2006年のナショナル大会覇者。WBOタイトルをかけてドミトリー・ピログに敗れ、そこから骨肉腫となり生死を彷徨ったものの生還。ジャロッド・フレッチャーをノックアウトしてタイトルを獲得しましたな。
そして試合はジリジリ前にくるトゥルーアックスにジェイコブスがジャブと強い右を当ててくる展開に!ダメージを蓄積させられたトゥルーアックスは12ラウンドにロープに吹き飛ばされるとダウンを取られてさらに追撃を受けてストップ!残念ながらタイトル獲得はなりませんでしたな。
トゥルーアックスさん粘る…ダニエル・ジェイコブスvs.カレブ・トゥルーアックス
デゲール戦と世界王座獲得
トゥルーアックスはジェイコブスに敗れた後10ヵ月後に再起。ミネソタにて元ドミニカスーパーウェルター級チャンピオンのメルビン・ベタンコートと対戦して4ラウンドノックアウト勝ちを収めます。
そして2ヶ月後にトゥルーアックスはチャンスを掴みます。元WBCチャンピオンのアンソニー・ディレルとの対戦です。
ディレルはキレのあるコンビネーションを武器とするパンチャーで兄のアンドレも元IBF暫定チャンピオン。サキオ・ビカに判定勝ちしてタイトルを獲得しましたがバドゥ・ジャックとの熱戦に敗退してタイトルを失いましたな。
そして試合は開始からトゥルーアックスが前に出るもののスピードの差を見せつけられて右クロスを浴びるとトゥルーアックスは痛烈にダウン!さらにコンビネーションでまたもやダウンするとストップ!ノックアウトされてしまいます。
痛い敗北をしてしまいましたがトゥルーアックスは4ヶ月後にウィスコンシンでカムバック。8回戦で2ラウンドノックアウト勝ちを収めてさらに一年後2005年のジュニアオリンピック覇者のデアンドレ・レザーウッドと対戦して10ラウンドノックアウト勝ち。チャンスを掴みます。
そして迎えた試合はIBFチャンピオンのジェームス・デゲールとの対戦でイングランドに乗り込むことになります。
デゲールは北京オリンピック金メダリストのサウスポーでエリート。ジョージ・グローブスには敗れたもののオリンピック銅メダリストアンドレ・ディレル、元IBFスーパーミドル級チャンピオンのルシアン・ブーテを下しており、WBCチャンピオンのバドゥ・ジャックと激戦の末引き分け。しかし前歯を折られて1年ぶりの試合となりますな。しかしながらデゲールにとっては楽勝と見られる試合でした。
しかし蓋を開けてみるとデゲールはまさかの絶不調!前に出てくるトゥルーアックス相手にいつものフットワークが使えずに至近距離で何度もアッパーを浴びてダメージを負うなど怪我が癒えてない様子と衰えを見せて僅差判定負け!まさかの判定負けで王座陥落となり、トゥルーアックスは大番狂わせでタイトルを獲得します!
そして次戦はラスベガスにてデゲールとリマッチ。デゲールはトゥルーアックスに負けたことを恥ずかしいと発言しており、エリートではないと話してましたな。
そして試合はデゲールとトゥルーアックスが開始から押し合いになりどちらも目の上をカットする流血戦に!しかしデゲールが間合いを取るとジャブを的確に当てて肩を使ったことで減点されたもののトゥルーアックスを振り切ります。
トゥルーアックスは残念ながら王座陥落となりましたが2人の間に差はなく、スーパーミドル級のトップの1人であることを見せましたね。
デゲールさんもはや別人…ジェームス・デゲールvs.カレブ・トゥルーアックス1
陥落後と現在
トゥルーアックスはデゲールとのリマッチに敗れた後4ヶ月後に早くも再起。ブラジルのハードパンチャーのファビアノ・ペナを3ラウンドノックアウトで下します。
そして迎えた次戦はビッグファイト。元WBO世界ミドル級チャンピオンのピーター・キーリンとのIBF指名挑戦者決定戦を行います。
キーリンはキューバ系のカウンターパンチャーでキレのあるパンチが得意なパンチャー。ミドル級ツータイムチャンピオンだったハッサン・ヌダン・ヌジカムを下しており、ベテランコンテンダーのガブリエル・ロサド、元WBOスーパーウェルター級暫定チャンピオンのルーカス・コネチを下しておりますがダニエル・ジェイコブスにノックアウト負けしておりますな。
そして試合は開始から前に来るトゥルーアックスにキーリンがカウンターで迎え撃ってキーリンがリード!しかし2ラウンドに偶然のバッティングでトゥルーアックスが負傷してしまい、ノーコンテストとなります!
この2人はその後もニューヨークでの試合が決まりましたがトゥルーアックスが負傷してキャンセル。2020年になってからウガンダのコンテンダーでライトヘビー級を主戦場としているデビッド・バサジャミブレに体格差で手を焼いたものの僅差判定勝ちを収めます。
そして次戦は元WBO世界スーパーウェルター級暫定チャンピオンのアルフレド・アングロと指名挑戦者決定戦となりますが試合前に体調を崩してキャンセル!チャンスを逃します。
しかしトゥルーアックスはまたまたチャンスを掴みます。IBFチャンピオンで無敗のカレブ・プラントとの対戦です。
プラントはディフェンスに優れるアウトボクサーでホセ・ウスカテギを下してタイトルを獲得。マイク・リーと元WBA暫定チャンピオンのビンセント・フェイジェンバッツをノックアウトして防衛に成功しておりますな。
そしてこの試合は開始からプラントがスピードとスキルでトゥルーアックスにどんどんヒットを重ねる展開に!トゥルーアックスは鼻血を出しても耐えて前に出てきたもののジャッジはフルマークでプラントを支持しました!
まぁそうなるよね…カレブ・プラントvs.カレブ・トゥルーアックス
今後期待される試合
トゥルーアックスに今後期待される試合は王座返り咲きをかけた試合です!
トゥルーアックスはすでにアラフォーであり、残された時間はほとんどありません。引退後にはミネソタで釣りをしたいと語るなどその時はかなり近いですね。
彼は世界チャンピオンになる事を運命つけられた選手ではなく、IBFチャンピオンになったことは奇跡として迎えられています。しかし一度トップに立つとまた立ちたいですよね。
スーパーミドル級にはIBFチャンピオンにカレブ・プラント、WBC.WBAチャンピオンのカネロ・アルバレスがおり、WBOチャンピオンにはビリー・ジョー・サンダース、元WBCチャンピオンのデビッド・ベナビデスも健在です。
トゥルーアックスの場合は元チャンピオンの肩書きがあるので彼らとの試合は比較的実現しやすいと思います。ラストチャンスをかけた試合を是非やってもらいたいですね!
デゲールさんエリート(笑)かよ…カレブ・トゥルーアックスvs.ジェームス・デゲール2
トゥルーアックスのファイトスタイル
トゥルーアックスのファイトスタイルは愚直なスタイル。ガードを固めて前にくるとワンツーを打ち込んできて押し込むとアッパーを突き上げるスタイルです。
トゥルーアックスには特別なスキルの高さや身体能力、パワーやスピードがあるわけでもないです。ただしつこい。後半になっても諦めずに前にくるのでとかも怖いですね。
とてもタフなことで知られており、ディレルには初回でノックアウトされたもののジェイコブスとの試合では12ラウンドまで粘っています。メンタル的にもタフで敵地で力を出し切れますね。
決して器用なタイプではないのですが試合は見ていて面白いものが多いです。攻撃力の高さはなかなかのものでまともにパンチを当てるとダメージを与えられますね。
抜け出せなかったな…カレブ・トゥルーアックスvs.オジー・デュラン
まとめ
いかがでしたでしょうか?ガードを固めて前に出てくると愚直にパンチを出してくるトゥルーアックス。彼のスタイルは器用ではないものの粘り強く、後半にとても強いです。
トゥルーアックスはスーパーミドル級で最強という評価を得たことは一度もありません。しかしどんな苦境に立たされたとしても諦めずに立ち上がる姿は多くのファンの心を打つものがあり、多くのファンにもガッツのある選手として記憶されています。
特にイングランドの敵地のど真ん中でデゲールを下した試合はキャリアハイですね。チャンピオンとしての時間は短いものでしたが彼のキャリアのハイライトは間違いなくこの試合と言えます。
トゥルーアックスの試合をテレビで見るにはWOWOWのエキサイトマッチが最適です。過去の試合もリピート放送でされていますし、以下のリンクからWOWOWを是非試してみてはいかがでしょうか?