クラシックファイターでレーザーのようなワンツーを武器に1970年代後半から1980年代前半にかけて敵なしの状態を作ったラリー・ホームズ。ポスト・アリの天才パンチャーとして実に8年間もの間チャンピオンとして在位したボクサーです。
ヘビー級チャンピオンとして計20度もの防衛に成功しているホームズはロングレンジから中間距離での打ち合いにとにかく強いパンチャー。当時大人気だったホームズの一世代前のチャンピオンのモハメド・アリにあやかったフットワークを見せておりましたが、実際には足を止めての打ち合いがめちゃくちゃ強かったですね。
彼のストレート系のパンチはもはやヘビー級のスピードではなく、そのスピードに乗ったパンチはめちゃくちゃ強烈。貫通力がとても高くてコンビネーションで打ち込むため捕まるとそのままストップに持ち込んできますね。
さらになんでもできるのも特徴的でアリのようなフットワーク駆使した試合も可能です。何と言ってもジャブがめちゃくちゃ速く、このパンチで相手を崩してリズムを掴んで痛烈な右につなげるパターンと、入り際に強烈な右アッパー、ショートを打ち込むのが得意でしたね。
そんな彼に唯一かけていたものは人気。モハメド・アリの引退以降ボクシングの人気はシュガー・レイ・レナードやトーマス・ハーンズらロベルト・デュラン、マービン・ハグラーがいた中量級へ行きます。これといって強力なライバルにも恵まれなかったホームズは史上最も過小評価されているヘビー級チャンピオンとも言えますね。
そんな彼のプロモーターであるドン・キングも彼のスター性の欠如を見抜いていたようで彼の試合は他の選手のアンダーカードになることもままありました。ファイトマネーも少なかったことが知られており、その強さと反比例する人気の持ち主といえますね。
キャリアの中ではWBCチャンピオンだったケン・ノートン、ハードパンチャーのアーニー・シェーバース、後にクルーザー級チャンピオンとなるオジー・オカシオ、後にWBAチャンピオンとなるマイク・ウィーバー、元絶対チャンピオンのモハメド・アリ、アリを下した元チャンピオンのレオン・スピンクス、後にWBCチャンピオンとなるトレバー・バービック、白人ホープのゲリー・クーニー、後にWBAチャンピオンとなるティム・ウィザースプーン、後にWBAチャンピオンとなるジェームス・スミス、元WBOチャンピオンのレイ・マーサーらを下しております。
負けた試合は元ライトヘビー級チャンピオンのマイケル・スピンクスとの2連戦と新世代のセンセーションであるマイク・タイソン、ヘビー級最強チャンピオンとなったイベンダー・ホリフィールド、WBCチャンピオンとなったオリバー・マッコールなどでノックアウトされたのはタイソンのみです。
彼の試合は今見ても鮮烈。鮮やかなコンビネーション、カウンターで相手をノックアウトしていく様はまさしく独壇場で全盛期の強さはタイソンと同じく手のつけられない強さを誇りました。
ということで、レジェンドの彼の古き良き試合を楽しむために彼の来歴をまとめました!
Contents
ホームズの戦歴
ホームズのプロフィール
ホームズは1949年ジョージア州のカスバート生まれ。身長191センチでリーチは206センチ。彼のジャブはボクシングの歴史の中でも最高のジャブの一つとして語り継がれておりますな。
ホームズは12人兄弟の4人目として生まれて彼が小さな頃にペンシルベニア州のイーストンへと一家は引っ越しておりますな。かなり家は貧しくてお父様は出稼ぎにコネチカット州に行き、庭師として働いていたそうです。
そして家族をヘルプするためにホームズは7年生で学校をドロップアウト。車磨きの仕事をして1時間で1ドルの給与を得たそうです。ダンプカーを運転して仕事もしてたそうですな。
ホームズは19歳でボクシングを開始。21試合してボクシングのセンスの高かったホームズはオリンピックの選考会にも呼ばれております。しかしニューヨークのナショナルオリンピック大会でホールディングによる減点をされて失格負け。19勝3敗の戦績を残してプロへと転向します。
雷鳴轟くホームズの右フック…ラリー・ホームズvs.アルフレド・エバンゲリスタ
これまでの実績
ホームズは1973年にプロデビュー。4ラウンド判定勝ちを収めて3戦目には6回戦を行っております。1974年には8回戦を行って1975年には10回戦と順調にステップアップします。
更にカナダでの試合も経験して197年にはフィリピンに遠征。モハメド・アリVSジョー・フレージャーの3戦目のアンダーカードに出ます。
この頃からホームズはありのスパークリングパートナーとなり、アリの試合の前座によく出るようになりましたね。
そしてホームズはプエルトリコでの試合などの経験を積み重ねて1978年にはラスベガスでついに指名挑戦者決定戦を行います。
相手はコンテンダーで破壊的なハードパンチャーのアーニー・シェーバース。ロン・ライルやジェリー・クウォーリーにはノックアウト負けしているもののアリに挑んで判定まで粘ってますな。
そして試合はホームズが危険な爆弾パンチを放り込んでくるシェーバースをジャブでかわしてアウトボクシング。危険を回避するクレバーなボクシングを披露してほぼフルマークの判定勝ちを収め、WBC王座への挑戦権を得ます。
起死回生の暗殺者…ラリー・ホームズvs.アーニー・シェーバース2
王座獲得とチャンピオン時代初期
ホームズは1978年についに世界タイトルマッチを迎えます。相手はWBCチャンピオンでボクシング史上唯一の世界タイトルマッチに勝ったことがない認定チャンピオンのケン・ノートン。レオン・スピンクスがモハメド・アリとの試合を優先したのでノートンが王座につきましたな。
ノートンはかつてモハメド・アリの顎を割って判定勝ちして再起ロードを脱線させたハードパンチャー。実力は折り紙付きでアリとは三度試合をしておりますがすべて僅差でノートンが勝っていたとする声も多く聞こえます。特に3度目の試合のアリの王座に挑んだ試合は判定後にアリにブーイングが注がれるほどでしたな。
ジョージ・フォアマンには蹴散らされたもののアリに負けた後コンテンダーのジミー・ヤングとの指名挑戦者決定戦に判定勝ち。認定チャンピオンとなりましたな。
そしてこの試合は試合前からアリvs.スピンクスに注目が行き、偽物の世界タイトルマッチとされましたが大変な試合となります。開始から一歩も引かずに打ち合う両者は互いにピンチを迎えてフラフラになりながらも打ち合う大激戦!接戦となりましたが15ラウンドにホームズが打ち勝ってノートンをふらつかせて僅差判定勝ち!ホームズのベストバウトとする声も上がるほどの熱戦となりましたな!
ノートンとの激戦をクリアしたホームズは5ヶ月後にコンテンダーのアルフレド・エバンゲリスタを初防衛戦の相手に迎えることになります。試合はラスベガスで行われることになりましたな。
エバンゲリスタはウルグアイのコンテンダーでスペインを主戦場としているラテン系のハードパンチャー。ヨーロッパタイトルを獲得した実績があり、かつてモハメドのアリにもチャレンジ。クリンチワークに翻弄されて判定負けしてますな。
そしてこの試合はホームズのレーザーのようなジャブと右がエバンゲリスタの顔面を再三捉えるエグい試合に!それでもエバンゲリスタは絶えず前に来てかなり頑張り、タフさを見せたものの7ラウンドに右フックをまともにもらうと痛烈にダウン!そのまま10カウントとなり、ホームズが快勝しました!
そして4ヶ月後にホームズは2度目の防衛戦をラスベガスで行います。相手は無敗のコンテンダーのオジー・オカシオ。プエルトリコのコンテンダーでジミー・ヤングを2度下しておりますな。
そして試合はヘビー級としては小さなオカシオをホームズが開始から体格とパワーで圧倒!ワンツーをガードの上からでも当ててゴリ押しすると7ラウンドにジャブでオカシオはひっくり返るダウン!オカシオは食い下がってきたものの4度ダウンしてストップとなりました!
さらに次戦はニューヨークでハードパンチャーで元アマチュアトップでもあるマイク・ウィーバーとマディソン・スクエア・ガーデンにて対戦。負け数も多いもののタフで危険なパンチャーとして知られております。
そしてこの試合はホームズがジャブとスピードでリードするもののウィーバーも食い下がってホームズを効かせるシーンを作るなど健闘!しかしホームズは右アッパーを決めて11ラウンドにダウンさせると12ラウンドにもウィーバーをダウンさせてストップ!チャンピオンの貫禄を見せました!
そして次戦は指名戦。かつて指名挑戦者決定戦で下しているハードパンチャーのアーニー・シェーバースを迎え撃つことになります。シェーバースはホームズに負けた後5連勝して元チャンピオンのケン・ノートンを初回ノックアウトで下して指名挑戦者の権利を得ましたな。
そして試合は開始からスピードに勝るホームズがジャブを当ててリード。しかしシェーバースは右クロスを振り抜いてきて7ラウンドにホームズは痛烈なダウン!万事休すかと思われましたがシェーバースは打ち疲れて追いきれず、ホームズは起死回生の右アッパー!ふらふらのシェーバースはロープ伝いに逃げ惑い、11ラウンドでホームズがストップしました!
アリvs.スピンクスの裏ですげ〜試合してんな…ケン・ノートンvs.ラリー・ホームズ
チャンピオン時代初期②とアリとの試合
そして5ヶ月後にホームズは次戦。イタリア人のロレンソ・ザノンを迎えます。ザノンはヨーロッパチャンピオンでケン・ノートンやジェリー・クウォーリーとの試合の経験がありますがどちらもノックアウト負けしてますな。
そして試合はホームズがザノンを圧倒!アリを模したフットワークを使うなど余裕を見せて切れ味の鋭いパンチでダメージを負わせると6ラウンドにストップ!楽に防衛戦をこなします。
そしてノーダメージのホームズはなんと1ヶ月後にまた防衛戦。無敗のレロイ・ジョーンズとの試合をラスベガスで行います。ジョーンズは長身のファイターで元アマチュアトップ。マイク・ウィーバーに判定勝ちしてNABFタイトルを獲得しておりますな。
そして試合はホームズが期待されていたジョーンズを寄せ付けない展開に!顔面に鋭いジャブをどんどんついて右でダメージを負わせると8ラウンドにストップ!ジョーンズは網膜剥離を負い、次の試合を行った後に引退してますな。
ホームズは4ヶ月後に敵地となるミネアポリスの出陣。元アマチュアトップのスコット・レドークスとの試合を行います。レドークスはノートンと引き分けてますがウィーバーやロン・ライルに判定負け。レオン・スピンクスとも引き分けてますな。
そして試合はセミファイナルで行われるホームズにとっては屈辱的なものになりましたが、レーザーのようなジャブでフルマークでリード。ダメージを着々と負わせて7ラウンドにストップしております。
そしてホームズは不人気王者として扱われていたものの、ついにチャンスを迎えます。グレーテストと呼ばれる元チャンピオンで当時唯一のスリータイムヘビー級チャンピオンのモハメド・アリとの対戦です。
アリはまさしくレジェンドでヘビー級に軽快なフットワークを持ち込んで刺すようなジャブを駆使してアウトボクシングを持ち込み、ヘビー級のイメージを覆したボクサー。ライトヘビー級でオリンピックを制してプロではヘビー級として活躍しましたな。
そのキャリアはもはや伝説の領域で1964年にソニー・リストンを下してタイトルを獲得。元チャンピオンのフロイド・パターソンやオスカー・ボナベナ、ジェリー・クウォーリーなどのコンテンダーを撃破したもののベトナム戦争の徴兵を拒否して3年間リングから遠ざかります。
そしてジョー・フレージャーに挑んで返り咲きならず初黒星。再起ロードではケン・ノートンに顎を割られて判定負けしておりますがジミー・エリスやボブ・フォスター、ジョー・バグナーを撃破。敗れたケン・ノートンとジョー・フレージャーにも借りを返してジョージ・フォアマンに挑みます。
今後のキンシャサで行われたこの試合は伝説的で当時最強のハードパンチャーだったフォアマンを打ち疲れさせたアリは8ラウンドに右ストレートでノックアウト!見事に返り咲きを果たします。
その後はロン・ライル、ケン・ノートン、ジミー・ヤング、アーニー・シェーバース、などを撃破。中でもジョー・フレージャーとの3戦目はものすごい試合となり、14ラウンド棄権勝ちで蹴りをつけております。
しかしオリンピック金メダリストのレオン・スピンクスにまさかの敗退。リマッチで借りを返して判定勝ちしてスリータイムチャンピオンとなると王座を返上して引退しましたが2年ぶりにカムバック。復帰戦がホームズへのチャレンジとなりましたな。
そして試合はホームズが旧世代のアリを圧倒!開始からジャブとワンツーを当ててダメージを与えるとアリはほとんど動けない展開に!一方的にホームズが打ち込んでアリはローパやコーナーで耐える試合となり10ラウンド終了後に棄権!ホームズが注目を集めた試合で勝利してアリにキャリア唯一のノックアウト負けを与えます。
しかしホームズを待っていたのは人気チャンピオンを倒してしまったヒールの役割でした。実力の高さに反して人気のないホームズはアリを倒しても正当な評価を得られませんでしたね。
輝きを失ったグレーテスト…ラリー・ホームズvs.モハメド・アリ
チャンピオン時代中期
アリを倒したホームズは半年後に防衛戦。ジャマイカ系でカナダのハードパンチャーのトレバー・バービックを迎えることになります。不覚のノックアウト負けを喫した以外は無敗のコンテンダーです。
そして試合はホームズがタフなバービック相手にコツコツとジャブを当ててリード!バービックは食い下がって何度ジャブを受けても前に出てきたものの逆転には及ばずに判定負け。1人のジャッジがフルマークをつける内容で勝ち抜きます。
そして次戦は2ヶ月後にビッグファイト。かつてモハメド・アリを下して世界タイトルを獲得している元オリンピック金メダリストのレオン・スピンクスとの試合となります。
スピンクスは若さでアリに迫って初戦でまさかの判定勝ち!しかしリマッチでほとんどトレーニングせずにトレーナーが試合途中で帰る醜態を見せての判定負け。その後はゲリー・コーツィーにノックアウトされてしまい、エバンゲリスタをノックアウトして引き分けを挟んで3連勝中ですな。
そして試合はがむしゃらに前に出てきて雑なボクシングをするスピンクスにホームズがジャブを合わせる展開に!3ラウンドにカウンターを叩き込んでダウンさせるとコーナーに追い込みコンビネーション!スピンクスは崩れ落ちてストップとなりました!
そして次戦は5ヶ月後に無敗のコンテンダーのレナルド・スナイプスと。スナイプスはゴールデングローブにも出ている元アマチュアトップでゲリー・コーツィーやエディ・ムスタファ・ムハンマドを僅差判定で下しておりますな。
そして試合は開始からホームズがジャブでリードしますがスナイプスも間合いを詰めてインサイドでワイルドなパンチを振る好試合に!ホームズは7ラウンドに右を被弾して痛烈なダウン!しかし起き上がってジャブと右を駆使して目の上と口から流血させると11ラウンドにコンビネーションをまとめてストップ!メンタル面での強さを見せました!!
そしてホームズは半年後にアリをノックアウトして以来の注目される試合を迎えます。ホワイトホープで無敗のゲリー・クーニーとの試合です。
クーニーは白人のハードパンチャーで人気者。ニューヨークのゴールデングローブの覇者でありジミー・ヤング、ケン・ノートン、ロン・ライルをことごとくノックアウトしてきてホームズの牙城に挑みにきましたな。
そして試合は開始からホームズのスピードに乗ったジャブがクーニーの顔面を繰り返し弾く展開に!クーニーは2ラウンドにはダウンしてしまい、かなり苦しい展開となります。その後もホームズが一切の希望を与えない試合運びでクーニーの目の傷を狙い撃ちして13ラウンドに右を通打しまくるとクーニーのセコンドが乱入して試合を止めました!
そして次戦はまたまたホワイトホープのハードパンチャーであるランドール・コブとの対戦。コブはテキサス州出身でこの試合はコブのホームで行われます。アーニー・シェーバースにノックアウト勝ちしたもののケン・ノートンやマイケル・ドークスに僅差判定負けしておりますな。
そして試合はホームズが開始から優れたジャブで一方的にヒットを重ねる試合に!コブはかなりタフで前に出てきたものの一方的にジャブをもらってダメージを蓄積。ほぼフルマークの判定でホームズが勝利しました!
そして4ヶ月後には地元のペンシルベニア州にて凱旋試合。フランスのコンテンダーでヨーロッパチャンピオンのルシアン・ロドリゲスを迎え撃ちます。彼はアルフレド・エバンゲリスタに2度ノックアウトされてますが判定勝ちでリベンジしておりますな。
そして試合はホームズが開始からジャブをつきまくってアウトボクシングしながらロドリゲスを下がらせる理想的な展開。ロドリゲスはほとんど打つ手がなく、一方的にポイントを集められてホームズが大差判定勝ちしましたな。
そして楽勝を飾ってホームズは2ヶ月後にまた防衛戦。ラスベガスでなんと3番手として無敗のコンテンダーであるティム・ウィザースプーンとの試合を迎えます。ウィザースプーンはホームズをダウンさせたスナイプスを判定で破っており一年ぶりの試合となりますな。
そしてこの試合はホームズがアグレッシブに出てくるウィザースプーンの前に少し苦戦!しかしジャブで巻き返しておりましたが9ラウンドに効かされてストップ寸前まで追い込まれるピンチを迎えます!しかしホームズは優れた回復力で乗り越えて僅差判定勝ち!危ない防衛戦となりましたがしっかりとやるべきことをやりましたな。
そしてホームズは4ヶ月後に無敗のコンテンダーであるスコット・フランクとアトランティック・シティで対戦。フランクはハードパンチャーとして知られており、ゴールデングローブにも出た実績があります。ホームズをダウンさせたスナイプスと引き分けておりますな。
そして試合はホームズが開始からいつも通り誰もついていけないジャブでリード!右の大砲を打ち込んでシャープなパンチで切り刻み、5ラウンドでスコットをストップしましたな。
そしてホームズは次戦でWBCから指名挑戦者のグレグ・ペイジとの試合をオーダーされましたがファイトマネーに不満を明示。元ヘビー級チャンピオンでモハメド・アリのライバルとして知られるジョー・フレージャーの息子のマービス・フレージャーとのノンタイトルマッチを行います。
フレージャーはここまで無敗で10戦全勝。アマチュアとしてはオリンピックの選考会まで進んでおり、なかなかの実績を持ちます。古豪であるジョー・バグナーを判定で下しておりますがまだまだ経験不足でしたな。
そして試合はホームズが大方の予想通りフレージャーを圧倒!痛烈な右を当ててフレージャーは大きくふらつくと何もせずにガードを固めてコーナーに詰まるだけ。ホームズはカメラ目線でニタニタ笑いながら右を打ち込んで見かねたレフェリーが初回ストップ!ホームズが注目の試合で楽勝してヒールの役割を果たしました!
そしてこの試合の後ホームズはWBCのタイトルを返上!新しく作られたIBFのチャンピオンに認定されることになり、IBFの赤のベルトを守ることになります。
チャンピオン時代後期
ホームズはフレージャーをノックアウトした後1年間のブランクが開きます。そして迎えた試合はIBFチャンピオンとして初防衛となるジェームズ・スミスとの試合。
スミスはボーン・クラッシャーのニックネームを持つハードパンチャーでリーチが208センチもあるパンチャー。無敗だったフランク・ブルーノをノックアウトしてこのチャンスを掴みましたな。
そしてこの試合はホームズが開始から優れたジャブでリードしたもののスミスも長いリーチからの右でホームズを効かせる健闘!しかしホームズの右を浴びて大きく左目上をカットして12ラウンドにドクターストップ!ホームズがしたたかに負傷TKO勝ちを収めました!
さらに次戦は4ヶ月後に無敗のコンテンダーのデビッド・ベイと対戦。ベイはフィラデルフィアのコンテンダーでグレグ・ペイジを下してNABFタイトルを獲得してきましたな。
ホームズはこの試合でベイのロングのパンチに少し苦戦。右と左フックをもらってふらついてしまうシーンもありました。しかし7ラウンドに痛烈な入り際に合わせる右カウンターを当てるとベイはダウン!10ラウンドに右を連打してストップに追い込み、カウンターの切れ味を見せつけました!
そして2ヶ月後にホームズはまたも防衛戦。ニューヨークのコンテンダーで身長196センチ、リーチは216センチもあるカール・ウィリアムスをチャレンジャーに迎えます。彼はここまで無敗できておりますな。
そしてこの試合はホームズがウィリアムスの長いジャブに苦戦!かなりホームズも被弾を重ねてしまいますがホームズはパンチの効果の差で勝って後半に巻き返し。かなり微妙な試合となりましたがホームズが15ラウンド判定で勝利しております。
入り際には気をつけないとな…ラリー・ホームズvs.デビッド・ベイ
スピンクスとの試合と王座陥落
そしてホームズはまたまたビッグファイトを迎えることになります。元ライトヘビー級統一チャンピオンでオリンピックミドル級金メダリストのマイケル・スピンクスとの試合です。
スピンクスは元ヘビー級チャンピオンのレオン・スピンクスの弟。ライトヘビー級として最強を極めてエディ・ムスタファ・ムハンマドをダウンさせて判定勝ち。WBAタイトルを獲得してWBCチャンピオンのドワイト・ムハンマド・カウィに判定勝ちして統一。エディ・デービスにも判定勝ちでIBFタイトルも吸収。10度の防衛を果たして史上初のライトヘビー級チャンピオンからのヘビー級チャンピオンを目指しますな。
そして試合は大きな注目を集めてスピンクスが運動量で勝り、ハンドスピードでも互角に渡り合う好勝負に!しかしホームズも後半バテてきたスピンクスにジャブをコネクトして一進一退の試合となった末に判定はスピンクス!ホームズは初黒星で王座陥落となり、スピンクスが史上初のライトヘビー級チャンピオンからのヘビー級チャンピオンとなりました!
しかしこの試合の判定はかなり議論を呼んだ個人的にはホームズの判定勝ちと採点。2人は半年後にリマッチを行うことになります。
そしてリマックではホームズがアグレッシブに手数を出してくる展開に!スピンクスはフットワークと飛び込んでのジャブとフックを打ち込みまたもや接戦となりましたが今度はより僅差でスピンクスが判定勝ち!ホームズはまさかの2連敗となりホームズの時代は終わりを告げます。
スピンクス・ジンクス巻き起こる!ラリー・ホームズvs.マイケル・スピンクス1
復帰とタイソン、ホリフィールドとの対戦
そしてスピンクスに負けた後ホームズは2年間ほどリングを遠ざかります。そして迎えた試合はWBC.WBA.IBFチャンピオンでボクシング界の顔となっていたマイク・タイソンとの試合。モンスターと新旧対決を行うこととなりますな。
タイソンはトレバー・バービックをノックアウトしてタイトルを獲得。IBFチャンピオンのトニー・タッカー、WBAチャンピオンのジェームス・スミスを判定で下してタイトルを獲得して元チャンピオンのピンクロン・トーマスなどを下しております。
彼は身長178センチながら筋骨隆々のファイターで前に出てきては左右フックを振り回すスタイルで肉薄。対戦相手を豪快にノックアウトさせることで超人気のファイターでヘビー級センセーションでしたね。
そして試合はホームズがジャブをついて下がり、往年のうまさを立ち上がりに見せます。しかしタイソンは一切止まらずに4ラウンドにフックとアッパーでホームズを2度ダウンさせると最後は痛烈なフックでホームズは失神!強烈なノックアウト負けを食らって3連敗。キャリア初のノックアウト負けを喰らいます。
この試合の後ホームズは3年間リングから遠ざかります。誰もがそのまま引退すると思っていたホームズはまさかの現役復帰。42歳にして復活して再起戦をノックアウトでクリアします。
そこからは1ヶ月に2度試合をするなど精力的に試合をこなして5連勝。43歳にして元WBOチャンピオンで無敗。さらにオリンピック金メダリストのレイ・マーサーとのビッグファイトを迎えます。
マーサーは身長185センチながらとても重い右を振る前半逃げ切り型のファイター。逆転ノックアウトでタイトルを獲得するとホワイトホープとしてめちゃくちゃ期待されていたトミー・モリソンをノックアウト!タイトルを返上してホームズとの試合に進みましたな。
そしてこの試合はすごい試合となります。若さで勝るマーサーは開始からガンガン出てきて押し込む作戦。しかしホームズは往年のジャブとストレートを駆使して迎撃すると打ち疲れたマーサーに後半巻き返し!激戦の末に衰えぬシャープなパンチを見せて判定勝ちし、大きな番狂わせを起こします!
そしてこの試合に勝利したホームズは4ヶ月後にスーパーなチャンスが訪れます。WBC.IBF.WBAチャンピオンのイベンダー・ホリフィールドへのチャレンジです。
ホリフィールドはオリンピック銅メダリストでクルーザー級でもタイトルを統一した無敗の2階級制覇チャンピオン。硬いコンビネーションを武器とする身体能力の高いファイターでホームズにも引けを取らないハンドスピートを持ちますな。
キャリアの中ではドワイト・ムハンマド・カウィを2度下してWBAクルーザー級タイトルを獲得しており、リッキー・パーキーをノックアウトしてIBFタイトルを獲得。元WBAチャンピオンのオジー・オカシオをノックアウトしてWBCチャンピオンのカルロス・デ・レオンもノックアウトしてヘビー級にきましたな。
ヘビー級でも元WBAチャンピオンのマイケル・ドークスをノックアウト。元WBCチャンピオンのピンクロン・トーマスもノックアウトしてマイク・タイソンをノックアウトしたジェームス・ダグラスをノックアウトしてタイトルを獲得。元統一チャンピオンのジョージ・フォアマンと激闘王のバート・クーパーを下しておりますな。体格的に小さいため頭を当ててくることもありますがヘビー級でも相手をノックアウトする力があります。
そして試合はホリフィールドが若さと勢いで開始からホームズを押し込む展開に!しかしホームズはロープに下がりながらも危険なパンチを打ち返して中判ポイントを巻き返します!しかしホリフィールドはアウトボクシングして盛り返すと判定勝ち。ホームズも実力を示しましたが後一歩届きませんでしたね。
絶対王者が崩れ落ちる…マイク・タイソンvs.ラリー・ホームズ
マッコールとの試合と晩年、引退
まだまだトップレベルでやれることを示しているホームズは半年後に再起戦を判定勝ちでクリア。1ヶ月に一度のペースで試合をこなしていきます。
そして1993年にはかつてマイク・タイソンと試合をしているキューバの強豪のジョン・リバルタと対戦して判定勝ち。さらにコンテンダーでマイク・タイソンやリディック・ボウとも対戦しているベテランのジェシー・ファーガソンを判定で下してまたまたタイトルへのチャレンジをします。
相手はWBCチャンピオンのオリバー・マッコール。この時すでに46歳だったホームズは試合前から大きく不利な予想で試合を迎えることとなります。
マッコールはとてもタフなファイターで身長188センチに対してリーチは208センチの体格を持つファイター。ジェームス・ダグラスやオーリン・ノリス、トニー・タッカーらの後にチャンピオンになる相手たちには敗れたものの敵地イギリスのど真ん中にて当時無敗だったレノックス・ルイスをまさかの2ラウンドノックアウト勝ちで下して戴冠しましたな。
そしてこの試合は凄まじい試合となります。マッコールは馬力を生かして押し込みにきてホームズはジャブとアッパーで対抗。激しいペース争いが続いてホームズもアラフィフにして王者を大苦戦させましたが最後はマッコールが馬力でなんとか押し切って僅差判定勝ち!ホームズはまた惜しくも返り咲きとはなりませんでした。
マッコールに負けたホームズはそこから5ヶ月後に健気に再起。判定勝ちしてそこからアクティブに試合をしていたものの4連勝した後敵地デンマークにて無敗のIBOチャンピオンのブライアン・ニールセンと対戦して僅差判定負け。世界タイトルマッチ以外で初の黒星となります。
それでもまた半年後に再起して1999年には元WBAチャンピオンでかつて下したジェームス・スミスと再戦。8ラウンドノックアウトで下して2000年にもかつて下した元WBAチャンピオンのマイク・ウィーバーをノックアウトします。
そしてホームズは現役最後の試合としてますバタービーンと対戦。キックボクサーや総合格闘技にも進出し、4回戦ボーイとしてめちゃくちゃ有名だったバタービーンとの試合では10ラウンド判定勝ちを収めて52歳にして現役最後の試合を終えます。
ホームズはそのあといろんな投資をしていろんなビジネスを成功させて大金を得ます。主にホームタウンのイーストンでホテルやナイトクラブ、レストランなどを経営して人気を博しましたな。
2014年になると自宅なども全て売却して資産を売却。今は家族と共に落ち着いて暮らしており、今でも自分はヘビー級でオールタイムグラートのファイターと渡り合えると話しております。彼をノックアウトしたのはタイソンだけですな。
マッコールさんオールドマンに苦戦…オリバー・マッコールvs.ラリー・ホームズ
ホームズのファイトスタイル
ホームズのスタイルはガードをだらりと下げてシャープなワンツーとフックを打ち込むスタイル。まるでレーザーのような鋭いパンチを打ち込んで切れ味で相手を倒していくスタイルですね。
ホームズが強いのは何と言ってもロングレンジから中間距離での打ち合い。ジャブのスピードと精度はかなり高く、めちゃくちゃ速いストレートのパンチとガードの外からのフック、入り際に合わせるカウンターのショートパンチで相手をノックアウトしてしまいますね。
ただ、プロモーターのドン・キングの意向でこのスタイルではなく、モハメド・アリを模したフットワークを駆使するスタイルを強要されたのでイメージが違う人もいるかもしれませんね。華麗なステップを踏むこともできますが、強いところはそこではなかったな。
ただこのファイターは少し試合の中で相手を舐めて集中力を失うところがある。シェーバースとのリマッチて思いっきりダウンしてるところもあり、少しルーズな性格が見え隠れするボクサーですね!
打ち合いには強いホームズ様…ラリー・ホームズvs.マイク・ウィーバー
まとめ
いかがでしたでしょうか?その圧倒的なまでの力強さとヘビー級とは思えないシャープなパンチで1980年代のヘビー級ボクシングを牽引したホームズ。彼のパンチはまさしくレーザービームのようでヘビー級らしからぬハンドスピードでした。
モハメド・アリの模倣品としていることを強要されたため、彼の真の戦い方を知る方は少ないかもしれません。出来たら自分のスタイルで試合をして欲しかったとは思いますが、それでも強さは半端ではなく、全力を出しきれる戦い方ならどんな試合をしてくれたのか気になりますね。
やはりホームズにとって惜しかったのは強力なライバルの不在。マイク・タイソンとモハメド・アリの時代のちょうど間に出てきたため相手に恵まれませんでした。その頃のヘビー級コンテンダー達はあまり人気のないファイターばかりでしたしね。
ホームズ自身の性格もかなり落ち着いた性格をしているため人気が出辛かったのもあるかなと思います。プロとしての強さはさることながらマネジメントに恵まれなかった悲運のファイターですね。
もちろん今ではグローブを吊るしてますが、投資の成功現役を引退してもなお多くの注目を集める彼に注目ですね!
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