現代を代表する日本の軽量級ボクサーの1人でIBF世界スーパーバンタム級タイトルを統一していた岩佐亮佑。アメリカでも最近試合をしており、ワンパンチノックアウトを決めるなどかなりの衝撃を残しております。
彼の特徴はとてもシャープな左ストレート。かなりの切れ味を誇るこの左はボクシング界でも伝家の宝刀とされており、タイミングの良さは群を抜いております。
さらに相手のパンチを見きる目の良さも持ち合わせており、ニックネームは"イーグル・アイ"。相手のパンチをかわしてカウンターの右フック、左ショートを打ち込むスタイルです。
キャリアの中では小國以載をノックアウトしてIBF世界スーパーバンタム級タイトルを獲得。初防衛には成功したものの2度目の防衛戦で指名挑戦者のTJ・ドヘニーに敗れて王座を失います。
しかしこの後アメリカに乗り込んだ岩佐は指名挑戦者決定戦でセサール・フアレスとの激闘を演じて判定勝ち。正規チャンピオンのダニエル・ローマンの負傷により暫定王座を元WBOバンタム級チャンピオンのマーロン・タパレスと争ってワンパンチでノックアウトしております。
バンタム級時代には後にWBCチャンピオンとして長期政権を築くことになる山中慎介との伝説的な死闘の末に敗れており、敵地でのIBFバンタム級暫定王座決定戦でもリー・ハスキンスに敗れておりますね。
彼は日本にいた頃は少し攻め手を欠き、間合いが詰まると手が出せなくなることが多かったのですが、アメリカでのフアレス戦では自分から攻めてボディを軸に前に出るなどスタイルを一新。タパレスとの試合でもプレッシャーをかけてボディを効かせて最後は顔面にパンチを返す素晴らしいノックアウトで王座に返り咲きましたね!
これからはローマンとの統一戦や他のコンテンダーとの防衛戦、または敗れているドヘニーとのリマッチなども期待されております!
最近ではスーパーバンタム級はスターの少なさからあまり人気のない階級になってますがその中でも多くの実績を持つ彼の戦歴をまとめてみました!!
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Contents
岩佐の戦歴
岩佐のプロフィール
岩佐亮佑は1989年生まれ。日本の千葉県柏市の出身であり、現在も千葉県を拠点として元世界チャンピオンのセレス小林と師弟関係を続けています。
岩佐は中学2年の時にボクシングをセレスジムで始めたそうです。そして中学卒業後にプロになるつもりだったそうですが、セレス小林にアマチュアで経験を積むように説得されて高校に進学。高校3年の時に高校3冠を達成しています。
岩佐は世界王座獲得後にスポンサーからフェラーリをもらうなどかなり優遇されている選手です。そのセンスはアマチュアの頃から高く、鳴り物入りでプロデビューしましたな。
地獄のような試合やったな…エマヌエル・ナバレッテvs.アイザック・ドグボエ2 試合後のコメントもあり!
これまでの実績
岩佐は2008年に18歳でプロデビュー。いきなり6回戦でデビューして5ラウンドノックアウト勝ち。次戦では6ラウンド判定まで進んでいますね。
4戦目からは8回戦を戦って5戦目では30戦ほどのキャリアのある相手にノックアウト勝ち。そのセンスの高いボクシングで多くの観客を魅了します。
そして7試合目、8試合目では日本ランカーとの試合でノックアウト勝ちして日本ランキングを獲得。勢いのまま日本タイトルに挑戦することになります。
岩佐ってやっぱりそうなのよね…岩佐亮佑vs.エルネスト・サウロン
山中との激戦とイギリスでの世界挑戦失敗
岩佐は2011年に勢いそのままに日本バンタム級チャンピオンで無敗の山中慎介に挑むことになります。
山中はサウスポーのハードパンチャーで左ストレートの破壊力が凄まじい世界ランカー。どちらも試合しなくても世界戦できるのに試合を決めた2人には大きな拍手が送られましたね。
そして試合は大変な試合になります。開始は岩佐がシャープな左ストレートを当てて山中がクリンチするなど優勢。山中のエンジンがかかる前に襲いかかります。しかし山中は中盤から強烈な左ボディからの顔面への左ストレートでお返し。岩佐はダメージを蓄積して大興奮の中10ラウンドに連打を浴びてストップ!敗れましたが素晴らしい激闘になり2人には惜しみのない拍手が贈られました!
岩佐はこの後再起戦を挟んでジェロッピとの日本王座決定戦に判定勝ちしてタイトルを獲得。指名挑戦者の村井を初回でノックアウトしてその強さを見せます。さらに2度目の防衛戦では後にチャンピオンになる益田もノックアウトしてますね。
2012年にはかつてWBAチャンピオンだった亀田興毅に挑んで肉薄したデビッド・デラ・モラに挑戦してシャットアウトの判定勝ち。現在でもコンテンダーであるマーク・ジョン・ヤップと対戦して判定勝ちなど経験を積んでいきます。
2013年には椎野に5ラウンドノックアウト勝ちしてOPBFタイトルを獲得。初防衛戦はリチャード・パミクピックに苦戦するなどこの頃から間合いを詰められた時の対応に難が出てきております。
その後は10回戦を2ラウンドノックアウトで2度クリアしてイギリスでの世界初挑戦を迎えます。相手はリー・ハスキンス。サウスポーの技巧派でヨーロッパチャンピオンであるハスキンスは後に山中に挑戦するシャティファーヌ・ジャモエにノックアウト負けしておりますね。
そしてこの試合は岩佐にとってかなり苦しい試合となります。アウェーであることを意識して前に出る岩佐でしたがジャブの差し合いでペースを取られて6ラウンドに左ストレートをカウンターで浴びてダウン!目をカットしてしまい、連打を浴びるとストップ!ハスキンスに敗れてウェイトを上げることを決意します。
そのあと岩佐は半年に一回のペースで試合をしてスーパーバンタム級にウェイトをあげます。4つの試合をクリアして、指名挑戦者決定戦をアメリカで迎えますが相手がなんとウェイトオーバー…岩佐は試合を拒否して指名挑戦者としての権利を戦わずして得ることになります。
日本でのスーパーバンタム級タイトル獲得と日本での防衛、陥落
岩佐は2017年に指名挑戦者としてIBF世界スーパーバンタム級チャンピオンの小國以載に敵地となる大阪府立体育館で挑みます。
小國は元日本、OPBFチャンピオンの技巧派ボクサーで当時オールノックアウト勝利を続けてきていたジョナサン・グズマンをボディでダウンさせて判定勝ち。世界王座を番狂わせで獲得しておりますね。アマチュア時代には岩佐に負けている経緯があります。
そしてこの試合は岩佐がロングレンジを得意とする小國との相性の良さを見せます!岩佐がシャープな左でダウンさせると小國は唇から激しく出血。レフェリーが6ラウンドに試合を止めて岩佐は傷ひとつない顔で王座を獲得します!
そして迎えた初防衛戦は日本でフィリピンのコンテンダー、アーネスト・サウロンを迎えて行います。サウロンは元WBCインターナショナルのバンタム級チャンピオンですね。
しかしこの試合は物足りない試合となります。岩佐はジャブと左ストレートを駆使して的確なパンチを当てるのですが間合いを詰められるとクリンチして後半は少し手数も少なくなる歯痒い展開に。平坦なラウンドを重ねて岩佐が判定勝ちとなり、試合後には最弱のチャンピオンと自虐しておりましたね…
そして2度目の防衛戦は指名挑戦者のオーストラリア人であるTJ・ドヘニーを迎えます。ドヘニーはアマチュアのキャリアのある選手でサウスボーのパワーパンチャーですね!
敵地タイで指名挑戦者決定戦に勝ち抜いてきており、PABAのスーパーバンタム級タイトルを獲得。とても重い左ストレートを持つ選手で危険な相手となりましたね。
そして試合はまたまた歯痒い展開に…ドヘニーが前に出てきてアグレッシブに来るものの岩佐からはなかなか手が出ない試合になります。試合後の顔はドヘニーの方がボロボロでしたが、アグレッシブさで勝ったドヘニーが判定勝ち。岩佐は本領を発揮できないまま残念な王座陥落となります…
アメリカでの進化と現在
ドヘニーに敗れた岩佐は2019年に入って世界王座返り咲きのチャンスを得ます。コンテンダーのセサール・フアレスとのIBF世界スーパーバンタム級指名挑戦者決定戦がアメリカで決まります。
フアレスはかつて5階級制覇チャンピオンのノニト・ドネアとWBO王座を争って2度ダウンしながらもドネアを追い詰めたコンテンダー。WBO暫定王座決定戦でアイザック・ドグボエとも対戦しており、前に出てコンビネーションと左右フックを振り回してくるファイターですね!
そしてこの試合は敵地とも言えるアメリカで行われること、前に出てくるフアレス相手なので岩佐には厳しい試合が予想されます。しかし試合での岩佐はとても強かった。真正面からフアレスのプレッシャーを受け止めると鋭い左ボディを打ち込んで動きを止めてまさかの打ち合いに。負傷判定となりましたが岩佐が打ち勝って指名挑戦者としての権利を手にします!
そしてこの後IBFスーパーバンタム級王座は王者のTJ・ドヘニーとWBAチャンピオンのダニエル・ローマンがロサンゼルスにて王座統一戦をしてローマンが判定勝ち。岩佐のターゲットはローマンになります!
しかしローマンはWBA指名挑戦者のムロジョン・アクマダリエフとの防衛戦を前に肩を負傷。1月に試合はスライドされており、IBFは暫定王座決定戦をオーダーします。
そして岩佐には暫定王座決定戦として、アメリカのニューヨークで元WBOバンタム級チャンピオンのマーロン・タパレスとの試合が決まります。
タパレスはかつて日本で大森将平を2度ノックアウトしたパンチャー。サウスポーで思いっきり左右フックを振り回してくる危険なパンチャーで敵地タイでタイトルを獲得してきた選手ですね。しかしバンタム級王座は大森との防衛戦を前にウェイトオーバーで失っています。
そしてこの試合は岩佐がタパレスを体格とテクニックで勝る試合に。序盤にバッティングではあるもののダウンを奪うと、岩佐が左ボディを当ててタパレスを削ります。そして迎えた11ラウンドに一瞬の隙をついて痛烈な左クロスを当てるとタパレスはロープ下に落下するダウン!立ち上がったもののふらついてストップとなり、岩佐が暫定ではあるものの2度目の世界タイトルを獲得しました!
そして岩佐の次戦はWBA、IBF統一チャンピオンのムロジョン・アフマダリエフとの試合に。アウェイとなるウズベキスタンで行われることになり、アフマダリエフはダニエル・ローマンを破っている強豪ですね。
そしてこの試合はアフマダリエフが開始から前に来て岩佐が間合いを取る展開に!アフマダリエフは手数を出してきて岩佐は4ラウンドにカウンターのタイミングを合わせたものの5ラウンドに左アッパーをもらってふらつき、コンビネーションをまとめられると早めのストップをかけられてしまいました!
今後期待される試合
岩佐に今後期待される試合は王者たちとのタイトルマッチですね!
岩佐はチャンピオンに返り咲いており、タイトルを持つ1人です。ターゲットのローマンはまずはWBA指名戦をしないといけないので岩佐は防衛戦を2020年の上半期にして、クリアすればIBF.WBA統一チャンピオンとの統一戦に臨むと思われます!
スーパーバンタム級ではWBA.IBF統一王者であるローマンと並ぶ長期政権を誇るWBC王者のレイ・バルガスがおります。彼は試合内容がつまらないことでメディアに酷評されておりますが亀田和毅との試合の後にローマンとの試合を求めておりますね。
さらにWBO王者にエマヌエル・ナバレッテがおり彼は階級最強とされてきたアイザック・ドグボエに2連勝してきたメキシカン。他にもWBA暫定王者にはイケメンで自身と引けを取らない体格を持つブランドン・フィゲロアもおりますね。そしてWBC指名挑戦者には元WBA.WBO統一王者としてそのつまらない試合ぶりから世界を落胆させてきたギレルモ・リゴンドーがおり、ローマンの指名挑戦者にはムロジョン・アクマダリエフがおりますね。
さらに1つ下の階級のバンタム級にはWBA.IBFバンタム級統一王者でパウンド・フォー・パウンドのランキングにも入る井上尚弥がおります。元5階級制覇チャンピオンのノニト・ドネアなどもおり彼らのスーパーバンタム級参戦は時間の問題かなと思います。2つのベルトを保持しているローマンは格好のターゲットになりますので今後のパフォーマンスがビッグファイトを引き当てるために大切になりますね!
岩佐のファイトスタイル
岩佐のスタイルは相手と間合いを取り出てきたところにカウンターを合わせる美しいスタイル。芸術的なタイミングで放つカウンターは一撃で相手を切って落とす切れ味があります。
そのため基本的には間合いを詰めてくる相手は苦手。振り回してくる相手も苦手なので、日本にいた頃は近づかれるとクリンチして試合後揉み合いの多い展開になることも多かったですね。
しかしアメリカにてセサール・フアレスを下してからは打ち合うところでインサイドでのアッパーや左ボディを習得。危険な間合いでも打ち合うことを辞さないスタイルに変貌しておりカウンターだけではなくなっております。
特に最近では的確に射抜く左ボディが大きな武器となっており、このパンチで相手の意識を逸らして、顔面にパンチを当てるパターンを増やしています。敵地とも言えるアメリカで試合を乗り越えていることも自信につながっており、メンタルも強くなってますね!
まとめと岩佐亮佑の今後
いかがでしたでしょうか?スペシャルなタイミングの良さと切れ味鋭いカウンターを持つ岩佐亮佑。彼に足りないとされていたメンタルの強さと勇気もアメリカで身につけて、スーパーバンタム級のトッププレーヤーとして活躍しています。
今後はスーパーバンタム級にてさらなる高みを望んでおりますし、一番の希望はWBA.IBF王者のダニエル・ローマン。岩佐亮佑は指名挑戦者になるのでローマンとの試合はいずれ行われることになるかと思います。
日本人としては珍しく、アメリカでの試合をワールドクラスで行ってしかも2連勝している岩佐亮佑。敵地で勝ち抜くメンタルの強さとフアレス戦で身につけた左ボディはタパレス戦でも機能しており、さらに強くなっております。
これからの相手はますます強くなりますし、油断ならない相手ばかりになりますが、岩佐の強さはまだ発展途上。個人的には敗れているドヘニーへの借りを返してもらいたいですね!
そんな岩佐の試合を含めた海外ボクシングの試合をテレビで見るにはWOWOWのエキサイトマッチが最適です。過去の試合もリピート放送でされていますし、以下のリンクからWOWOWを是非試してみてはいかがでしょうか?