多くの試合で活躍しており現代のチャンピオンクラスで最もアクティブに試合をしているといっても過言ではない元IBF世界スーパーフェザー級王者のテビン・ファーマー。空間把握能力にとても長けておりサウスポーのアウトボクサーとして非常にやりにくいテクニック溢れる選手です!
ファーマーは世界的に層の厚いスーパーフェザー級でタイトルを保持していた強豪。ディフェンススキルに優れた選手でありダメージの少なさからか3ヶ月に1回程度のスパンで防衛戦をこなしており半年に1回しか基本的に試合をしない現在のチャンピオン達とは一線を画す存在になってますね。
キャリアの中では元IBFフェザー級王者のビリー・ディブを敵地オーストラリアにて撃破、英国のテニーソン、指名挑戦者のジョノ・キャロル、コンテンダーのフランシスコ・フォンセカ、指名挑戦者のギレルモ・フレノイスをことごとく下しており世界タイトルマッチは危なげなく切り抜けてますな。
しかし5度目の防衛戦となったジョセフ・ディアスとの遺恨マッチでは拳を痛めてしまい本来の力を出し切れないまま判定負け。王座陥落となりましたが、リマッチが予想されております。
そんなファーマーはデビューから将来を期待されたようなファイターではありません。デビューしてから10数試合で4回負けて2引き分け。しかしながら後に2階級制覇王者となるホセ・ペドラサに負けてからは全ての試合で勝利してきてこの立ち位置まで来た苦労人なんですね!
尾川堅一との王座決定戦では僅差判定負けとなりましたが試合後に尾川がドーピング検査で陽性となったのでノーコンテストに。そのうちリマッチするのではないかとの噂もありますよね!
さらにかねてからWBAスーパー王者のガーボンタ・デービスとの対戦を望んでおり敗れた相手のジョセフ・ディアスとも言い合いを続け、試合が決まるなどいろんな意味で引く手数多のファーマーはチャンピオンクラスの中でも目立つ存在になりつつあります。
そこでファーマーの試合を楽しむためにファーマーの経歴をまとめてみました!!
メイウェザーさんお抱えのスーパーバッドなタンク!!ガーボンタ・デービス!!
Contents
テビン・ファーマーの戦歴
テビン・ファーマーのプロフィール
ファーマーは1990年生まれの28歳。アメリカのペンシルベニア州フィラデルフィアの出身で現在もフィラデルフィアをホームとして試合をしておりバーナード・ホプキンスや現WBA、IBFスーパーウェルター級王者のジュリアン・ウィリアムス、2階級制覇王者のダニー・ガルシアと同郷ですね。
身長168センチに対してリーチは170センチのファーマーは体格的に他のスーパーフェザー級の選手と比べると少し小さいほうに入るかな。しかし出入りの速さとディフェンステクニックを駆使して相手と真正面から戦うことはないですね。
ファーマーはアマチュアとしてのキャリアはなくプロになってから経験を積んで世界王座を獲得したいわゆるたたき上げの選手です。しかし彼の親類にはかつてライト級チャンピオンとして君臨しオールタイムグレートとされるジョー・ガンがいるんですね笑。
フォンセカはおもちゃ…テビン・ファーマーvs.フランシスコ・フォンセカ
デビューと雑草のようなキャリア
ファーマーは2011年に21歳の時にプロデビュー。しかしボルチモアで行われたこの試合は同じくデビュー戦の相手に4ラウンドTKO負け。このことからわかる通りファーマーは全く期待されたようなファイターではなかったんですね。
その後は2試合続けて判定勝ちしたものの4試合目で無敗の相手に判定負け。その次の試合でもドロー・・・7戦目には初めての6回戦でティム・ウィザースプーン・ジュニアに僅差判定勝ちを収めましたが8戦目ではWBOユースタイトルをかけた試合でアトランティックシティにて無敗のカミル・ラシュカジクに判定負けで3敗目を喫します。
この後ファーマーは3試合連続で判定勝ちして8ラウンドの試合でも判定勝ちを収めますがここでファーマーのキャリアを今まで振り返ってもベストな相手と対戦します。元オリンピアンのプエルトリカンであるホセ・ペドラサ戦ですね。
ペドラサは10勝無敗のサウスポーのテクニシャン。この後にIBF世界スーパーフェザー級タイトルを獲得してガーボンタ・デービスと激闘の末に敗れますがライト級に上げてWBO王者のレイムンド・ベルトランをダウンさせて2階級制覇。初防衛戦でパウンド・フォー・パウンドの一人とされるワシル・ロマチェンコと対戦して2度ダウンしたものの判定まで踏ん張り評価を高めているファイターです。ちなみに今はスーパーライト級で3階級制覇を狙ってますね。
この試合はファーマーが勝てるはずもない試合でした。ファーマーは間合いを取るもののペドラサに圧力をかけられて7ラウンドにホールディングで減点。8ラウンドにストップされてしまいTKO負け。ここまでのキャリアの戦績は12試合して7勝4敗1引き分け。ジャーニーマンになるしかないんじゃね?と誰もが思うキャリアですな。
連勝街道とプレスコット戦
ペドラサに敗れたファーマーはここから何かをつかんだのか別人のように再起します。再起後3連勝したファーマーは4試合目でUBCなる団体のインターナショナルタイトルを獲得。キャリアで初めてのタイトルを獲得します。
その2試合後には当時無敗のカミロ・ペレスと対戦して判定勝ち。咬ませ犬ながら番狂わせを起こして初めての10回戦では無敗のエマヌエル・ゴンサレスに判定勝ち。無敗のアンヘル・ルナにも判定勝ちして連勝街道を続けます。
そしてファーマーはビッグチャンスを手にします。元世界タイトルチャレンジャーのダウリス・プレスコットとの対戦です。プレスコットは驚異的な強打を誇るコロンビア人でWBAフェザー級王者だったニコラス・ウォータースに7ラウンドKO負けしているもののそこから4連勝しているコンテンダーですね。
ファーマーはこの試合で当然ながらパワー差があるため不利とみられます。しかしファーマーはテクニックと的確なパンチで上回って7ラウンドにダウンしたプレスコットにパンチを当てて減点されたものの4ラウンド。6ラウンド、8ラウンドにダウンを奪ってまさかのKO。キャリアハイの勝利を手にして世界ランカーとなります!!
そして8日月後に迎えた次戦は元WBC王者のガマリエル・ディアスと対戦。ディアスは後に4階級制覇王者となるロバート・ゲレーロに初黒星を与えており粟生隆寛から日本でタイトルを奪ったメキシカンファイター。打たれ弱い点があり3階級制覇王者となるウンベルト・ソト、3階級制覇王者のホルヘ・リナレス、強打者の三浦隆司やダンテ・ハルドンにはKO負けしてますな。
そしてこの試合はファーマーがベテランのディアスを若さとスピードで圧倒!ニューヨークでディアスを3回もダウンさせる内容となる半手勝ちを収めています。ちなみにディアスは一度引退しましたがまだ試合をしてますな。
そして次戦ではウクライナの強打者であるイバン・レッドカクとライト級にて対戦。レッドカクはモンテネグロのデヤン・ツラティカニンにノックアウトされているものの後に2階級制覇王者であるデボン・アレクサンダーをウェルター級にてノックアウトする強打者でしたがファーマーはレッドカクを全く問題とせず悠々とアウトボックス。ローブローで2回減点された以外はポイントを失うことなく判定勝ちしてその後はNABFタイトルをアック得して3連勝。世界タイトルへの道をこじ開けます。
ファーマーさんがテニーソンに快勝!!テビン・ファーマーvs.ジェームス・テニーソン
尾川との試合とオーストラリアでの王座獲得
ファーマーは2017年についに世界挑戦を実現させます。相手は日本の尾川堅一で日本憲法をベースとする強打者。この試合はガーボンタ・デービスがウェイトオーバーによりはく奪されたIBF王座決定戦となりラスベガスで行われます。
そしてこの試合ではファーマーがスルスルと逃げて小川の圧力をかわす展開となります。尾川は一撃の破壊力で勝りファーマーを効かせる場面もありましたがファーマーが判定勝ちしたと多くの客は思いました。しかしジャッジは小川のアグレッシブさを支持。ファーマーは僅差判定負けとなります。
しかしこの試合はこの後にひと悶着ありました。試合後のドーピング検査で尾川はステロイドの陽性反応が出てしまいます。本人によるとアトピー性皮膚炎の治療によるものだそうですが申告しておらず試合はノーコンテストに。。。尾川は残念ながらサスペンドとなります。
そしてファーマーには次戦となる8か月後の試合でまたまた世界挑戦のチャンス。相手は元IBFフェザー級王者のビリー・ディブでディブの地元のオーストラリアに赴いての試合を行うこととなりこの試合もIBF王座決定戦となります。
ディブはキャリアの中でIBFタイトルを獲得しましたがエフゲニー・グラドビッチにまさかの判定負けで陥落。リマッチではKOされてしまいます。その後の勢いはあるとはいえず日本で三浦隆司の持つWBCタイトルに挑みましたが3ラウンドで粉砕されましたな。
そしてこの試合はファーマーがディブをテクニックで圧倒します。ディブはファーマーの動きについていけず近づいたらクリンチされるのでイライラ・・・ファーマーはフックでダウンを奪って大差判定勝ち。ファーマーがついに雑草から世界王座に到達します!!
ちなみにディブはこの後現役を引退。しかーし再起しており何とウェルター級に上げてアミール・カーンとサウジアラビアでWBCインターナショナル王座を争いましたがあえなく4ラウンドTKOで負けちゃいましたな。
殊勲の王座獲得と思ったのになぁ…尾川堅一vs.テビン・ファーマー
アクティブな現役王者として
王座を獲得したファーマーは2か月後のボストンで行われたデメトリアス・アンドラーデVSウォルター・カウトンドクワのWBOミドル級王座決定戦の前座でジェームス・テニーソンと対戦することをアナウンスします。
テニーソンは英国のファイターで強打者。ボディが打たれ弱いもののWBAのインターナショナル王座やヨーロピアン王座、コモンウェルス王座を保持する世界ランカーでファーマー相手に有利の予想が出ていました。
しかし試合ではファーマーがテニーソンに全く付け入る隙を与えない素晴らしい試合を見せます。テニーソンの弱点であるボディを狙い撃ちして4ラウンドにダウンさせると続く5ラウンドにもダウン!テニーソンはストップされてファーマーが実力を証明します。
そしてアクティブなファーマーはまたも2月後に防衛戦。相手はフランシスコ・フォンセカでフォンセカはガーボンタ・デービスに挑んで善戦したコスタリカのファイター。強打者の攻防分離型でデービスにKOされちゃいましたがかなり肉薄してましたな。
しかしこの試合はファーマーが多くのことを見せる試合になります。ファーマーはくっついてもインサイドでアッパーやフックをねじ込んで離れるとヒットアンドアウェイを繰り返します。結果的にフォンセカはついていけずファーマーが判定勝ちで防衛に成功。スキルの高さを見せましたな。
そしてファーマーは2020年の初戦で指名挑戦者のジョノ・キャロルを地元のフィラデルフィアに呼んでの試合を行います。キャロルはパワーのないサウスポーのアイルランド人。前回の試合でフランスのギレルモ・フレノイスとの指名挑戦者決定戦に引き分けてますがここまで無敗でIBFのヨーロピアンタイトルやIBFインターコンチネンタルタイトル王座を保持してましたな。
試合前からやたらと罵りあっていた二人ですがキャロルは意外な頑張りを見せます。地元のファーマーを追いかけまわして意外と苦戦させましたがファーマーは見栄えのいいパンチとディフェンススキルでまともにもらわずポイントアウト。試合後には和解してましたな。
そして4か月後にファーマーはテキサス州でホセ・ラミレスとモーリス・フッカーのWBC.WBOスーパーライト級王座統一戦のビッグカードの前座に出場します。対戦相手はもう一人の指名挑戦者であるフランスのギレルモ・フレノイス。サウスポーのヨーロッパ王者でスキルの高い技巧派ですな。
そして試合は前に出るフレノイスに対してファーマーは間合いを保ちながら左ボディを軸に攻撃。フレノイスはアグレッシブに出るもののファーマーは全く打ち合わず場内からは割れんばかりのブーイング・・・ファーマーはローブローで減点されながらも判定勝ちしましたが試合後にはフレノイスが観客に投げキッスして沸いていたのに対してファーマーはインタビュー中にブーイングが鳴るなど少しエンターテイメント性がないのが浮き彫りになってしまいましたね・・・
ファーマーさん悠々の防衛…テビン・ファーマーvs.ギローメ・フレノイス 試合後のコメントもあり!
ディアスとの対戦
ファーマーは次戦でかねてから言い合いを続けているジョセフ・ディアスとの試合がついに決定!!試合は2020年1月30日のフロリダ州マイアミで行われることになり、スーパーボウルの週末に行われますね!
ディアスはゴールデンボーイプロモーション期待のコンテンダー。派手な髪形とビッグマウスで知られており、フェザー級時代にWBCチャンピオンのゲーリー・ラッセル・ジュニアに挑戦してボディを効かせるなど肉薄しておりましたな。その後はWBA暫定チャンピオンのヘスス・ロハスと対戦してウェイトオーバーをやらかしながらも判定勝ち。スーパーフェザー級に上げてきましたな。
2人はディアスがカネロ・アルバレスの試合の前座で試合をした時に記者会見でファーマーが乱入した時からやたらと言い合いを続けています。お互いにいがみ合っているので試合的にもかなり注目されそうですね!
しかし試合ではファーマーが初回に拳を痛めてしまう展開に。ジャブを出せなくなりディアスは左目上をカットするものの徐々にディアスのプレッシャーを外せなくなります。ボディとフックを駆使してくるディアスに押し込まれたファーマーは判定負け。5年振りの黒星となります。
試合後には言い訳をせずに男らしく完敗を認めています。しかしリマッチ条項があることを明かしており、春先か夏にまた二人は拳を交えそうですね!!
ファーマーさんダメダメ…テビン・ファーマーvs.ジョセフ・ディアス
ファーマーのファイトスタイル
ファーマーのファイトスタイルは典型的なアウトボクシングです。相手と一定の間合いを保ち相手が出てきたところにカウンターの左やジャブを合わせて出てこなくなると長い間合いから左ボディやストレートを飛ばしてくるKOではなくポイントアウトを狙ってくるいわゆるやりにくい相手ですね!
彼の最大の持ち味は空間把握能力の高さ。ロングレンジからインサイドまで相手のパンチをもらわずに自分のパンチを当てる距離感に優れており見えないところでのスキルが光るタイプですね!
テニーソン戦で見せたように左ボディのアッパーはなかなか強力。ディブ戦でダウンさせた左フックなども強振の時は自分のパンチがあまりないと見て出てきた相手にしっぺ返しを食らわせるだけのパワーはあります。
しかしそれでもKOを狙わないのがファーマー。つまりは勝利を最優先しており相手に合わせずに自分のペースで試合をするので試合は単調になることが多いことが知られております。
しかもこの人はディフェンスの勘がいい。ブロックではなく見切ってヘッドスリップしてくるのでパンチを当てづらくインサイドでも細やかなボディ打ちと左右アッパーを当ててくるので穴がないタイプです。
なのでトータル的にエキサイティングさとは無縁のマイペースなタイプ。そのため人気があるとは言えないのですが実力は確かなものがあり、オールラウンダーなのでとても崩しづらい事でも知られてますな。
ペドラサさんよく頑張ったな…ワシル・ロマチェンコvs.ホセ・ペドラサ
今後期待される試合
ファーマーに期待される試合はジョセフ・ディアスとのリマッチ、ガーボンタ・デービスとのライバル対決の実現ですね!
危なげなく防衛をし続けていたファーマーのスタイルはKOを狙いに行くようなスタイルではないので正直これからも人気が出るのは難しいと思います。最近では試合の最中にその代わり映えのない展開からブーイングがなることも多くなってきました。
しかし大きな注目を集める試合であれば話は別です。ファーマーをマイペースのロングレンジから引き出せる相手はやはりデービスやディアスのようにどんどん前に出てくるアグレッシブな相手。そう考えると忘れ去られる前にも彼らとの試合は急務であるとも言えますね!
体格的にそこまで大きくはないファーマーはおそらくスーパーフェザー級で試合を今後もすると思います。マイナーな相手ばかりではなくビッグネームとの試合をすることでより多くの注目を集めますしより大きな金を稼げますので今後のマッチメイクに注目ですね!
デービスさんスターとなる…ガーボンタ・デービスvs.ホセ・ペドラサ
まとめ
いかがでしたでしょうか?止まらない動きと決して自分のペースを乱さないマイペースな試合運びから最も安定してると言っても過言ではないファーマーさん。彼の試合は見ていて安心感がありますな笑。
スーパーフェザー級にいることもあり彼の対戦相手には日本人が絡む可能性も大いにあります。スーパーフェザー級の中心人物ですので彼の試合は試合のたびに大きなカードとして注目されています。
さらに今後はWBA世界スーパーフェザー級スーパー王者のガーボンタ・デービスとの統一戦、ずっと言い合いしている敗れた相手のジョセフ・ディアスとのリマッチが実現しそうな雰囲気が出てきております。
他にもWBC王者でデービスと並んで階級最強とされるミゲール・ベルチェット、WBAレギュラー王者でディアスをかつて苦戦させてアルベルト・マチャドを2度KOしたアンドリュー・カンシオ、伊藤雅雪を破った元オリンピアンのジャメル・ヘリングがWBO王座を保持しておりかつて僅差判定負けを喫したのちノーコンテストになった尾川堅一もおります。誰と当たってもファーマーなら好勝負となりそうですな。
ちなみにそんなファーマーの試合をテレビで見るならばWOWOWがおすすめです。WOWOWではファーマー以外にもデオンテイ・ワイルダーやワシル・ロマチェンコ、ノニト・ドネアなど多くの世界の強豪ボクサーの試合が放送されてますので是非ご覧ください!