マニー・パッキャオがを輩出したフィリピンボクシングのスターで長期政権を築いているIBF世界スーパーフライ級王者のヘルウィン・アンカハス。パッキャオを彷彿とさせる鋭い踏み込みからの左ストレートが主武器です。
これまでスーパーフライ級のタイトルを8度も防衛しておりかつてマニー・パッキャオが長年契約していたボブ・アラムのトップランク社と契約。マニー・パッキャオのMPプロモーションの所属でもあり大きな期待を受けている選手です。
現在IBFのスーパーフライ級タイトルを保持しているアンカハスは当時WBOスーパーフライ級タイトルを保持していた井上尚弥との対戦を希望していたものの実現には至らず自身もパフォーマンスの低下によるスランプを迎えます。しかし今年に指名挑戦者の船井を負傷TKOで下してまた井上とやりたいと話してますね!!
そしてアンカハスは試合地を選ばない姿勢が大いに評価されています。トップランクと契約してからは地元のフィリピンだけではなく中国のマカオやアメリカ合衆国、オーストラリアやイギリスで試合を行っており敗れたのは世界王者になる間に判定負けを喫したもののみです。
アンカハスはスタイルもパッキャオとすごく似ています。サウスポーの構えからジリジリ間合いを取りながら一瞬で踏み込んで放つ左ストレートと返しの右フックは振りぬくことに一切のためらいがありません。しかも左ストレートは顔面でもボディでも十分なダメージを相手に与えられます。
これまでマックジョー・アローヨからフィリピンでIBFタイトルを奪い元WBAライトフライ級暫定王者のホセ・アルフレド・ロドリゲスをマカオでKO、日本の帝里木下をオーストラリアでKOしてマイケル・コンランの兄のジェイミーも敵地イギリスにてKO。後にカル・ヤファイを苦戦させるイスラエル・ゴンサレスも10ラウンドで圧勝のKOで下したもののその後は指名挑戦者のスルタンに凡戦の判定勝ち、アレハンドロ・バリオスには大苦戦の末ドローと精彩を欠きましたが今年カリフォルニアにて指名挑戦者の船井龍一を目の負傷でドクターストップに追い込んで復活しましたな。
アメリカのプロモーターに見いだされたアンカハスの試合は同じアジア人の日本人とやることも多いです。日本人が多い階級でもあるので今後も場所を問わず日本人との対戦は多いのではないかと思います。
ということで、アジア人の軽量級きっての実力者として今後にも大きな期待がかかるヘルウィン・アンカハスの試合をより楽しむためにアンカハスのこれまでの来歴をまとめてみました!!
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目次
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アンカハスの戦歴
アンカハスのプロフィール
ヘルウィン・アンカハスは1992年フィリピン生まれの27歳。プロデビューは2009年の18歳の時でアマチュアでの経験は不明ですが、いずれにしても国際大会での記録は残っておりません。
身長168センチの彼はリーチ169センチとこのクラスでは長身で体格も大きいほう。しかしその最大の武器は踏み込んで放つ左ストレートの貫通力と高い身体能力から生まれる鋭いステップイン。基本的にはワンツーと返しの右フックしか放たないのですがこれだけで勝ち切ってるところがすごいですね!!
ここまでの戦績は31勝21KO1敗2引き分け。戦績が示す通り強打者でもあり、特に躊躇なく放つ左ストレートとぶん回す右フックで多くの相手を沈めており左ボディもかなり強烈で相手の戦意を削いでいきますね!!
思ったより良い試合ではなかったな…カル・ヤファイvs.ノルベルト・ヒメネス試合後のコメントもあり!
これまでの実績
アンカハスはフィリピンで2009年18歳にしてデビュー。初回KO勝ちを収めてデビューするとプロ4戦目で負傷ドローを経験するものの5戦目で6回戦、8戦目で8回戦と順調にキャリアを進めてまいります。
さらに10戦目で10回戦に進出したアンカハスは持ち前のスタミナで判定勝ち。11戦目で判定勝ちを収めてWBOアジア・パシフィックユースタイトルを獲得するなど非凡な才能を発揮します。
その後は中国で判定勝ちを収めるなど経験を積むアンカハスでしたが2012年にマーク・ジェラルドに初黒星の判定負けを喫します。ジェラルドは現在もコンテンダーでWBCバンタム級王者のノルディ・ウーバーリや暫定王者の井上拓真と後に対戦する強敵でしたね!!
5か月後に再起したアンカハスはここから11連続KO勝ち!!敗戦を糧に強くなった典型的なタイプでIBFパン・パシフィックタイトルを獲得。この頃から期待され始めたアンカハスはパッキャオの前座でマカオで試合をするなど経験を積みます。
こいつなんでパウンド・フォーパウンドじゃねぇんだよ…井上尚弥vs.エマヌエル・ロドリゲス試合後のコメント、ドネアのコメントもあり!
世界挑戦と初期の防衛戦
連戦連勝で世界ランキング入りしたアンカハスは2016年に初めての世界挑戦。マックジョー・アローヨの持つIBFスーパーフライ級タイトルにフィリピンにて指名挑戦者として挑戦することが決まります。
アローヨはプエルトリコのテクニシャンでこれまでのキャリアで元WBAフライ級王者のエルナン・マルケス、フィリピンのアーサー・ビジャヌエバ、マーク・ジェラルドを破ってきた強豪で弟で強打のマクウィリアムスと双子ですな。
この試合は敵地での試合に不満を漏らしたアローヨが試合前に拳を骨折してキャンセルなど紆余曲折がありアンカハスは1年振りの試合となりました。しかし試合では地元のアンカハスがアローヨを運動量で圧倒します。アローヨも動き出しを狙ったジャブで対抗したものの8ラウンドにアンカハスがダウンを奪って判定勝ち。見事に世界タイトルを獲得しましたな。
そして王者として迎えた2017年にはマニー・パッキャオの前座で中国のマカオに登場。元WBAライトフライ級暫定王者で日本でも井岡一翔と拳を交えたホセ・アルフレド・ロドリゲスと対戦します。
この試合はアンカハスが完勝。接近して打ち合いたいロドリゲスに何度もワンツーを当てて文字通り一方的に試合を進めます。そしてロドリゲスは7ラウンド終了後に肩の負傷を理由に棄権!アンカハスが初防衛に成功しました!!
そして次戦はマニー・パッキャオVSジェフ・ホーンのオーストラリアのサンコープ・スタジアムで行われた試合のアンダーカードに登場。かつてゾラニ・テテとこの王座を争った帝里木下と対戦します。
そしてこの試合ではアンカハスがパワーで木下を圧倒!!アンカハスのスピードとワンツーに対抗できない木下はダメージを重ねて7ラウンドに左ボディでダウン!!そのままストップとなりアンカハスが大きなカードで圧勝を飾りました!!
さらに次戦は敵地イギリスのアイルランドのベルファストに登場。リオデジャネイロオリンピックでひと悶着起こしたマイケル・コンランのお兄さんのジェイミー・コンランの地元で挑戦を受けます。
この試合はコンランの弱点であるボディを攻撃しまくって何度もボディブローでダウンさせます。コンランは最初のダウンで足をくじきながらもカウンターを全力で振り回してきたもののレフェリーは6ラウンドでストップ!!この試合の後トップランクと契約を交わします。
アメリカデビューとスランプ
トップランクと契約したアンカハスはアメリカで試合を行うようになります。アンカハスのアメリカデビューの相手はコーパスクリスティでイスラエル・ゴンサレス。接近戦が得意な相手ですがパワーがないためあまり怖さはない相手ですな。
アンカハスはゴンサレスを圧倒。開始からロングレンジから踏み込んでの左ストレートを何発も当ててゴンサレスは初回からダウン!!その後もダメージを蓄積させて10ラウンドに2度ダウンを奪いストップ!!上々のアメリカデビューを飾ります。
そして5度目の防衛戦は指名試合。同国人のジョナス・スルタンとアメリカのカリフォルニア州フレスノで対戦します。スルタンは南アフリカで勝ってきたり2階級制覇王者のジョン・リル・カシメロにも勝利した経験のある強敵ですね。
そしてこの試合はアンカハスが大差判定で圧勝します。しかし試合自体はめちゃくちゃつまらない試合でした。アウトサイドからワンツーを出して間合いを取り続けるアンカハスが手数で勝ちましたがヒットは少なく面白くない試合でしたね・・・
そして次回の試合ではメキシコの若手のアレハンドロ・バリオスとカリフォルニア州のオークランドで6度目の防衛戦。バリオスはここまで地域タイトルを獲得したこともなく楽な相手とみられてました。
しかしアンカハスは体調でも崩したのかまさかの大苦戦。何度もインサイドへの侵入を許してしまい左ストレートを振るスペースがなく正直個人的には負けたと思いましたがジャッジは三者三様のドロー。この2試合で評価を落としたアンカハスはブランクを迎えます。
船井戦と復活
8か月ブランクを開けたアンカハスは7度目の防衛戦としてカリフォルニア州のストックトンにてIBFライトヘビー級タイトルマッチのアルトゥール・べテルビエフVSラディボジェ・カラジックの前座で指名挑戦者の船井を迎えます。
そして試合前に栄養士をチームに迎えたというアンカハスは船井を圧倒!!船井は何度もアンカハスの左ストレートを被弾し大きくふらつき目をはらしながらも前の出てくる驚異的なタフさを見せたものの7ラウンド開始で目の腫れによりドクターストップ!!快勝で復活を遂げました!!
試合後にアンカハスはWBA,IBFバンタム級王者でスーパーフライ級時代に対戦が期待された井上尚弥との対戦を希望!!階級を上げるようなら試合の実現は十分にあり得そうです!!
アンカハスやっぱまっすぐ来る奴には強いよな…ヘルウィン・アンカハスvs.船井龍一試合後のコメントもあり!
そして次戦は12月7日にメキシコにてチリ人のミゲール・ゴンサレスと対戦。11月に試合が決まっていたものの相手のVISAの関係でなくなっておりまた新たに試合が組まれましたな。ゴンサレスはかつてアンドリュー・モロニーとWBAスーパーフライ級指名挑戦者決定戦をして敗れておりますね。また、後にIBFバンタム級チャンピオンになるポール・バトラーにも敗れている選手ですな。
そして試合はアンカハスの独壇場になります。開始からアンカハスの速い踏み込みについていけないゴンサレスはワンツーとボディを被弾してダメージを蓄積。6ラウンドにアンカハスはフィニッシュに来て左アッパーを当てて効かせるとコンビネーションでストップ!!アンカハスが強さを見せつけました!!
アンカハスさんストロングにストップ…ヘルウィン・アンカハスvs.ミゲール・ゴンサレス
そして次戦は4月10日ジョナサン・ロドリゲスとの試合が決定。ロドリゲスはハードパンチャーで11月に試合をする予定だった相手。かのオマール・ナルバエスを二度苦戦させているフェリペ・オルクタをノックアウトしているメキシコのパンチャーですが、アンカハスの爆発に期待ですね!!
VISAは取れたのかな…ヘルウィン・アンカハスvs.ジョナサン・ロドリゲス予想
今後期待される試合
ヘルウィン・アンカハスに今後期待されている試合はノニト・ドネア、井上尚弥、ファン・フランシスコ・エストラーダを始めとするスーパーフライ級周辺の階級のトップたちとの試合です。
アンカハスはスーパーフライ級で長期政権を築いてきましたが正直キャリアハイの勝利はアローヨかなと思います。ファンとしてはそれ以上の試合を見たいですし将来的なバンタム級参戦もあるかもしれませんので見逃せない選手です。
特に井上尚弥との試合は井上がWBOスーパーフライ級タイトルを保持していた時に対戦したいという発言があったものの自身のパフォーマンスの低下や井上の階級アップなどがあって実現していません。ファンとしてはアジア人同士のワールドクラスの試合としてぜひ実現してほしい試合ですね!!
日本人選手史上最高のビッグマッチになる予感…井上尚弥vs.ノニト・ドネア予想
アンカハスのファイトスタイル
アンカハスのファイトスタイルはとにかく長い間合いのアウトサイドに常に陣取りそこからめちゃくちゃ速い踏み込みでワンツーを上下に散らしてくるスタイルです。彼のステップインはパッキャオを彷彿させるほどのスピードがあり運動量もパッキャオを参考にしてると思われますな。
アンカハスの左ストレートは顔面でもボディでもかなり貫通力がありダメージングブローとなります。さらに返しの右フックもかなり強烈で振り回してくるため彼に近づくのは困難ですね!!
基本的にアンカハスがやることは長い間合いからワンツーを出して返しの右フックを放ちまくりそれを12ラウンド続ける。これだけです。しかし彼はそれだけで世界のトップまで上り詰めておりサイドへのステップもかなり上達しています。心配されるコンディションも整えばかなり強く穴がないですね!!
アジアのヒーローにしてボクシング界のヒーロー!!マニー・パッキャオ!
まとめとアンカハスの今後
いかがでしたでしょうか?フィリピンからIBFというメジャータイトル獲得を成し遂げ、IBFスーパーフライ級王者として7度もの防衛を果たしたヘルウィン・アンカハス。これからも試合はアメリカで行われる見られ大きな注目を集めそうです!!
しかもアンカハスがいるスーパーフライ級はWBC王者に2階級制覇王者のファン・フランシスコ・エストラーダ、WBOは井岡一翔とアストン・パリクテで決定戦、WBAにはカル・ヤファイがおりコンテンダーには4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス、4階級制覇王者のドニー・ニエテス、元WBC王者のシーサケット。ソールンビサイがおります。
しかも1つ上のバンタム級ではWBSSトーナメントが開催されておりWBA、IBF統一王者で井上尚弥、WBO王者のゾラニ・テテ、5階級制覇王者でWBAスーパー王者のノニト・ドネア、3階級制覇王者でWBO暫定王者のフィリピン人ジョン・リル・カシメロ、WBC王者のノルディ・ウーバーリ、WBC暫定王者の井上拓真、元WBC王者で無敗のルイス・ネリらが首をそろえておりボクシングで最も盛り上がっている階級です!!
スーパーフライ級では体格の大きなアンカハスは有力選手としてバンタム級に上げた場合、即世界戦線に絡むことは間違いないとみられ誰と対戦することになっても今後に注目ですね!!
ちなみにアンカハスの試合を含めた海外ボクシングを見るにはWOWOWがおすすめです。興味がおありの方は詳細を下記のリンクからご確認ください!!
ノニト・ドネアの試合をテレビで見る方法は?これまでの経歴も紹介!