ワシル・ロマチェンコの対抗馬としてよく知られている元IBF王者のリチャード・コミー。コミーはガーナ出身の強打者でそのパワーは恐らくワンパンチならライト級最強。多くの対戦相手がコミーを避けているとされており打倒ロマチェンコの最右翼の一人です。
コミーはかつてロバート・イースター・ジュニアとIBF王座決定戦で対戦してダウンを奪ったものの2-1の判定負けで惜しくも王座獲得ならず。その後指名挑戦者決定戦にも惜敗しましたが、2019年2月にマイキー・ガルシアが返上したタイトルをアイサ・チャニエフを2ラウンドKOで秒殺して獲得。ロマチェンコの対戦相手候補に躍り出ました!
その後の初防衛戦では敵地とも言えるカリフォルニアにて元WBO王者でとてもキャリアの長さを誇るベテランのレイ・ベルトランと対戦してウェイトオーバーしてきたベルトランを4度もダウンさせてKO勝ち。相打ちで自身もふらつくシーンもありましたが驚異的なパンチ力でパワーで押し切りましたな。
2度目の防衛戦でテオフィモ・ロペスと対戦し、出合い頭の右クロスでノックアウトされてしまったものの、ライト級でトップ10に入る実力者であることは間違いないです。まだまだ王座返り咲きのチャンスはありますね!
コミーは右のオーバーハンドを中心とした一撃の威力では恐らくライト級最強。体格的にも大きくそのパワーを生かしたファイトで多くの相手を蹴散らしておりライト級でのKO率は破格です。
ということで、コミーの試合をより楽しむためにコミーの来歴をまとめてみました!!
ウクライナの最高傑作にして超精密なハイテク!!ワシル・ロマチェンコ!
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リチャード・コミーについて
コミーのプロフィール
リチャード・コミーは1987年ガーナのアクラ生まれの32歳。ボクシングの土壌がないアフリカの出身ながら持ち前の強打でガーナ、南アフリカ、イギリス、デンマーク、ドイツ、ロシア、アメリカと世界各地を転戦。判定ではなくKOを積み重ねることでランキングを上げてきた骨太の選手です。
コミーは現在アメリカの大手プロモーターであるルー・ディベラに見いだされて契約。現在はアメリカを主戦場としていますね。
また、アフリカ人の世界王者はとても珍しいです。ボクシングの土壌がなく、どうしても世界で戦うにはアフリカだけではなく他の国で試合をする必要がある彼らはかつてはアズマー・ネルソン、ブヤニ・ブング、現代ではゾラニ・テテ、アイザック・ドグボエらを輩出してきましたが、ほとんどの選手が敵地で勝ち切ってきた選手でコミーも例外ではありません。
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これまでの経歴、タイトル戦まで
コミーは2011年25歳の時にプロデビュー。デビュー戦から6回戦を戦っており3戦目からは8回戦。驚異的なペースで試合をこなして2011年の12月には全勝全KOでガーナタイトルを獲得します。
2012年にはイギリスにも進出して2KO。2013年にはビラル・モハメドとのIBFアフリカ大陸王座を7ラウンドKOで制してタイトルを獲得しています。さらにイギリスでポール・トラスコットを8ラウンドでKOしてコモンウェルス王座への指名挑戦権を獲得。手の付けられない強さを示します。
さらに空位のABU王座も獲得すると2014年にはイギリスで空位のコモンウェルス王座をゲイリー・バックランドと争ってキャリア初となる判定勝ち。12ラウンド戦えるスタミナも証明しています。
さらにデンマークでコンテンダーのサミール・ジアニと対戦して苦闘の末敵地で勝ち切る10ラウンド判定勝ち。無敗を継続します。
2015年にはアメリカに進出してバオジール・ママジョノフと対戦。空位のIBFインターコンチネンタル王座を争って8ラウンドKOで下しています。その後もドイツ、デンマークでKO勝ちを収めたコミーは2016年に世界戦を引き当てます。
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初の世界戦とリベンジまで
コミーは2016年9月にアメリカで初めての世界戦。キューバの強豪であるランセス・バルテレミーが返上したIBFタイトルを無敗のロングマンロバート・イースター・ジュニアと争うことになります。
イースターはこのクラスにしては破格の180センチの身長、193センチのリーチを誇る文字通りの難敵。元スーパーフェザー級王者のアルへニス・メンデスを5ラウンドKOした経験もある強打者でもあります。
めっちゃちなみにイースターは今まで逮捕などのトラブルは聞かれていないものの超問題児のエイドリアン・ブローナー、ガーボンタ・デービスと仲良し。夜の街では出くわしたくないバッドボーイ軍団の一員です・・・
この試合は開始から前に出てオーバーハンドの右を振り回すコミーとイースターのロングレンジからのジャブが交錯する緊迫感のあり試合に。甲乙つけがたい試合となりましたがコミーが8ラウンドに右クロスでダウンを奪います。しかしジャッジはイースターの正確なジャブを評価して2-1の僅差判定はイースターへ!コミーは惜しくも初黒星となりました!!
しかしこの試合で無名から大きく評価を高めたコミーはルー・ディベラと契約。アメリカを主戦場とするようになります。
そしてコミーはランキングを落とすことなく敵地であるロシアのモスクワでデニス・シャフィコフとのイースターへの指名挑戦者決定戦に臨みます。シャフィコフはかつてミゲール・バスケス、ランセス・バルテレミーと2度IBFライト級王座に挑んで敗れているインファイターです。
しかしながらコミーにとってシャフィコフとの相性は最悪でした。シャフィコフは序盤から体ごとコミーをロープに押し込んで連打。コミーは腕を振り回すスペースを与えてもらえず時折強打を返すものの押し込まれるシーンが目立ちます。そして判定は2-1でシャフィコフへ。コミーはまさかの連敗を喫してしまいます。
しかしコミーはへこたれずに2017年3月に復帰。ヘディー・スリマニとのWBCインターナショナルシルバータイトル決定戦を判定で制してまたもタイトルを獲得してきます。
そして迎えた次戦は強打のアレハンドロ・ルナとのIBFライト級指名挑戦者決定戦に臨みます。ルナは強打者として有名でここまで全勝の勢いのある選手です。
しかしこの試合はコミーの独壇場に。序盤から長いリーチでルナをはたき落とすような右を何度も決めてその強打の破壊力を感じたルナは踏み込めず。6ラウンドに2度のダウンを奪ったコミーがTKO勝ちで指名挑戦者となりました!!
そしてチューンアップバウトをクリアしたコミーは2度目の世界挑戦へと臨みます。
ウォータースさんノーマスされてしまう…ワシル・ロマチェンコvs.ニコラス・ウォータース
世界王座獲得とロマチェンコ戦の延期
指名挑戦者としての権利を得たコミーでしたが王者だったイースターはWBC王者のマイキー・ガルシアと統一戦へ。この試合で勝利したマイキーがコミーのターゲットとなりますがマイキーは2階級あげてウェルター級でIBF王者のエロール・スペンスとのビッグマッチへ。コミーとの対戦を回避して王座を返上します。
そして王座挑戦のチャンスが回ってきたコミーはランキング上位のロシアのコンテンダー、アイサ・チャニエフと対戦します。チャニエフは元WBA暫定王者であるイスマエル・バロッソに勝利しておりIBFインターコンチネンタル王座を保持する出入りの激しいボクサーです。
そしてセルゲイ・コバレフVSエレイデル・アルバレス2の前座で行われたこの試合はコミーが大爆発!!はたき落とすような右でチャニエフの出入りを制限すると右のオーバーハンドで初回ダウンを奪い、2ラウンドに一気にフィニッシュ!!3度のダウンを奪う圧巻のパフォーマンスでついに世界王座を獲得しました!!
この試合直後からロマチェンコ擁するトップランクのボブ・アラムはコミーとのWBA,WBO、IBF王座の統一戦を画策します。そして両者の試合の機運が一気に高まりますがコミーは強打者ゆえに初回で右拳を負傷。戦線離脱しロマチェンコはいったんWBA指名挑戦者のアンソニー・クローラと試合をすることになりました。
ロマチェンコはクローラ戦を難なくクリアしてその後もWBCタイトルをルーク・キャンベルと争って判定勝ちして3団体を統一。残るはコミーの持つIBFのみとなりましたね。
チャニエフさん粉砕!!リチャード・コミーvs.アイサ・チャニエフ
ベルトラン戦とテオフィモとの指名試合
チャニエフを粉砕したコミーは負傷で戦線離脱。しかし6月にリング復帰することになり4か月という王者としては普通のペースで試合を行うことになります。対戦相手は元WBO王者でタフなベテランのレイムンド・ベルトランと対戦します。
ベルトランはメキシコのファイターですがアリゾナ州で家族と共に暮らしておりグリーンカードを得るために世界王者になろうとしていたことで有名ですね。かつてはテレンス・クロフォードに挑んで圧倒されながらもダウンとストップを拒否するタフさを見せており、リッキー・バーンズには敵地のイギリスでホームタウンディシジョンによる判定負け、元2階級制覇王者の粟生隆寛と決定戦で対戦してKO勝ちしたものの試合後のドーピング検査で陽性。。。その後元WBAスーパーフェザー級暫定王者のブライアン・バスケスを僅差で下して元WBA王者のパウルス・モーゼスと対戦して激闘の末判定勝ち。王者となりましたが元IBFスーパーフェザー級王者のホセ・ペドラサに左アッパーでダウンを奪われての判定負け。王座を追われておりましたな。
そしてカリフォルニア州で行われたこの試合はアウェーともいえるコミーが爆発的なパフォーマンスを見せてくれます。初回からベルトランをダウンさせるとベルトランの相打ち覚悟のカウンターをもらいながらもパワーで圧倒。ウェイトオーバーしてきたベルトランをものともせずに圧倒的なパワーで中盤TKO...パワーはライト級最強であると示しましたな。
そしてコミーの次戦は12月14日にまたまたアウェーのニューヨークにて指名挑戦者のテオフィモ・ロペスと。テオフィモはリオデジャネイロオリンピック代表のホンジュラス系アメリカ人でニューヨーカー。打倒ロマチェンコの最右翼とされてましたが指名挑戦者決定戦となった中谷正義戦では長い間合いに苦戦。判定勝ちしたもののまだこのクラスには早いのではないかとみられます。
唯一の対抗王者であるWBC.WBO.IBF王者のワシル・ロマチェンコもこの時期に防衛戦を行うと見られておりこの試合に勝てばロマチェンコとの4団体統一戦に進めることになりますね!
パワーだけならライト級最強かな…リチャード・コミーvs.レイムンド・ベルトラン試合後のコメントもあり!
そして迎えた試合は物凄い試合になります。開始からコミーが右クロスを当てて、タイミングの良いジャブでテオフィモの顔をはじくなど優位に立ちます。しかしテオフィモは2ラウンドに入り際に合わせる左フックを当てて、さらに右クロスを合わせるとコミーはダウン!!立ち上がろうとしたもののキャンバスに身体を投げ出されるほどのダメージを負って続く左右フックの連打でコミーはストップ!!テオフィモがロマチェンコへの挑戦権を手に入れています!!
コミーはこの試合で敗れたことでロマチェンコとの試合は実現しそうにないです。しかしライト級トップとしてまだまだチャンスはあるはずなので頑張ってほしいですね!
テオフィモ。スター誕生…リチャード・コミーvs.テオフィモ・ロペス
そしてテオフィモに敗れたコミーは1年3か月後にカムバック戦が決定。ドミニカ共和国のコンテンダーでローランド・ロメロとWBA暫定王座を争って大苦戦させたジャクソン・マリネスとの試合となります。マリネスはディフェンスに長けたやりにくい相手ですがコミーの爆発力に期待ですね!
そしてこの試合は開始からパワーに勝るコミーがどんどん出てきて右ストレートを軸に攻めまくる展開に!マリネスはアウトボクシングしていたもののプレッシャーをかわせず、6ラウンドに打ち下ろしを被弾してダウン!立ち上がったものの右をもらってダウンしてストップになりました!
問答無用の振り抜き…リチャード・コミーvs.ジャクソン・マリネス
コミーのファイトスタイル
コミーのファイトスタイルはとても豪快です。身長175センチ、リーチ180センチとライト級では比較的大柄なコミーは大振りの右フック、オーバーハンドをぶち込んでくるめっちゃ怖いボクサー。
接近戦は腕を振り回せるスペースがなくなるため苦手なようですが、腕力に優れているため打ち下ろしの右を放つなど気が抜けない相手です。多少被弾したとしてもぐいぐい前に来て強打を振ってくる彼のスタイルは相手からすると恐怖ですね・・・
当たると一撃で終わらせれるパワー持つ彼ですが距離の詰め方はかなり繊細。まっすぐではなくジグザグに間合いを詰めてサイドに動くとフックを出してくるのでロープに詰まると極めて危険ですね。
キャンベルさんペドラサ並みの頑張り・・・ワシル・ロマチェンコvs.ルーク・キャンベル
まとめ
いかがでしたでしょうか?圧倒的なパワーで相手を圧倒して叩き潰すリチャード・コミー。彼の爆発力は驚異的で対戦相手は12ラウンドずっとコミーのパンチを警戒しないとならない非常に怖いボクサーです。
コミーはライト級に属していてライト級にはWBA.WBC.WBO王座を統一しているワシル・ロマチェンコが群を抜いて強いです。そしてこのロマチェンコに対抗できるのはコミーとテオフィモ、もしくはデビン・ヘイニーぐらいしかいないと思います。
そしてコミーもテオフィモ・ロペスとの指名試合を行ったもののテオフィモ・ロペスの前に2ラウンドで敗退。しかしいずれ空位になるであろうライト級タイトルを狙うのはコミーの名前も必ず出てきます!!
ちなみにコミーの試合をテレビで見るにはWOWOWのエキサイトマッチが最適です。過去の試合もリピート放送でされていますし、WOWOWを是非試してみてはいかがでしょうか?