日本ボクシング界で最も嫌われているメキシコ人ファイターといっても過言ではないこの男。かつていわく付きの2戦で日本でWBC世界バンタム級王座を山中慎介からKOで奪った超絶ヒールのルイス・ネリについて紹介したいと思います!!
現在バンタム級でもトップの一人と目されるネリは日本で試合ができません。なぜなら山中との2試合で1度目は試合後にドーピング検査陽性反応となったのにメキシコの牛肉のせいにして無罪放免・・・さらにリマッチでは意図的なウェイトオーバーをやらかしてきてタイトルを剥奪されてどちらの試合でも山中をKO。山中のキャリアの敗北はこの2敗のみで真剣勝負をしなかった彼の態度には大きな批判が集まり日本のコミッションはネリが日本で試合を行うことを認めていません。
亀田大毅との試合でウェイトオーバーをやらかしてしかも開き直ってコーラをがぶ飲みしたリボリオ・ソリスよりも質が悪く、ソリスは山中に挑んで2度ダウンを奪うなど日本のファンにも親しまれていますがネリの場合は心底嫌われており日本のニュースでも大きく報じられましたね・・・
しかしながら実力は折り紙付きでWBCは山中との試合の後プロフェッショナルさに欠ける行為として半年間出場停止を命じる異例の事態となりながらもその復帰戦で空位のWBCシルバータイトルを獲得するなどその実力は高く評価されており最近ではPBCと契約し、WBCスーパーバンタム級チャンピオンとなって注目を集めています。
いわく付きとは言え山中からWBCタイトルを奪ったその剛腕はかなりのものでバンタム級とは思えないほどパワフル。ロープに詰めて放つ嵐のような左右フックの連打は対戦相手を追い詰めてKOしてしまえるパワーを誇ります。
ということで、日本人のファンにはめちゃくちゃ嫌われながらも(僕も嫌いです)軽量級きっての実力者として今後にも大きな期待がかかるルイス・ネリの試合をより楽しむためにネリのこれまでの来歴をまとめてみました!!
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ネリの戦歴
ネリのプロフィール
ルイス・ネリは1994年メキシコのバハカリフォルニア州ティファナ生まれの24歳。プロデビューは2012年の17歳の時でアマチュアでの経験は不明ですが、いずれにしても国際大会での記録は残っておりません。
同じティファナの出身の選手としては史上屈指の打たれ強さを持つといわれるアントニオ・マルガリートや元4階級制覇王者でマニー・パッキャオ、マルコ・アントニオ・バレラと3度ずつ激闘を繰り広げたエリック・モラレスがおりますね。
身長168センチの彼はリーチ169センチとこのクラスでは平凡ないでたちですが思い切り振り回すコンビネーションの回転力はクラス随一。左右フックに関しては接近戦に持ち込まれると逃げ場がないといわれるほどですね!!
ここまでの戦績は29勝23KO無敗。戦績が示す通りサウスポーの強打者でもあり、特に踏み込んで放つ左フックや相手の打ち終わりに振り回してくる左右フックを駆使して無遠慮に頭を振って間合いを詰めてくるためプレッシャーが半端ではないです。
世界戦は山中との2戦のみですが前回の試合ではエロール・スペンスVSマイキー・ガルシアの前座にて元IBFスーパーフライ級王者のマックジョー・アローヨを4度ダウンさせてKO.解説者たちからそのパフォーマンスを絶賛されていましたね!
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これまでの実績
ネリは地元メキシコのティファナで2012年にプロデビュー。同じくデビュー戦の相手を初回KOで下しておりそこからは3試合連続で4ラウンド判定勝ちを積み重ねます。
2013年に6回戦、8回戦とステップアップしたネリは2014年に10回戦までたどり着くなど多くの試合を積み重ねて勝利を重ねます。
そして中堅どころを相手に試合を積み重ねたネリは2016年にWBCアメリカ大陸王座を獲得。初のタイトルを獲得してメキシコにゆかりのあるWBCのランキングを上げていきます。
そして初防衛戦では元WBAスーパーフライ級暫定王者のデビッド・サンチェスと対戦します。サンチェスはファン・アルベルト・ロサスをKOした強打者でルイス・コンセプシオンに敗れて王座を失っていましたね。
この試合ではネリがサンチェスを圧倒!初回からけちょんけちょんにされてしまったサンチェスはネリの猛攻を受け続けて5ラウンド開始のベルに応じませんでしたね・・・
そして2016年末にレイモンド・タブゴンと空位のWBCシルバータイトルを争ったネリはこの試合でダウンを喫したもののすぐに巻き返して4ラウンドKO勝ち。WBC指名挑戦者の権利を得ます。
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山中との2連戦と物議
ネリは指名挑戦者としてWBCバンタム級タイトルを持つ山中慎介に2017年の8月に京都にて挑戦が決まり初来日します。山中はここまで無敗のサウスポー。ボクサースタイルで長い間合いから神の左と呼ばれる威力抜群の左ストレートを伸ばしてくる強打者でここまで12度もの防衛に成功していました。
ここまでのキャリアでは2階級制覇王者のビック・ダルチニャン、元WBAスーパー王者のアンセルモ・モレノを二度、元WBCスーパーフライ級王者のスリヤン・ソールンビサイ、元WBCフライ級王者のマルコム・ツニャカオ、元WBAスーパーフライ級王者のリボリオ・ソリス、元WBCスーパーフライ級王者のトマス・ロハスをことごとくKOしてきた選手でパウンド・フォー・パウンドのリストに名前が挙がったこともありますね!
しかしこの試合はネリが山中を圧倒します。初回からスロースターター気味の山中にぐいぐい距離を詰めていくネリは左右フックで肉薄。山中の左を浴びても前に出て4ラウンドに連打で山中を守勢に追い込むと山中のセコンドがリングに乱入して試合をストップ!見事にネリが無敗の最強王者を下しましたかに見えました。
しかしその後事件が起きます。ネリが試合後のドーピング検査で禁止薬物のジルパテロールの陽性反応を示します。通常ならばドーピングにかなり厳しいWBCのことなので試合はノーコンテストとなり山中に王座は差し戻し、ネリはサスペンドとなるはずですがこの試合では違いました。
いろんな噂がありますが、メキシカンのスーパースターのカネロ・アルバレスがゲンナジー・ゴロフキンとのリマッチの前にドーピング検査陽性。この時カネロはメキシコ牛の汚染が原因だと話して確かにメキシコの牛肉には禁止薬物が含まれていますが検査で陽性が出る場合には牛1頭分の摂取となる苦しい言い訳でしたがネリも同じ言い訳を使用。カネロの例外を認めたことがネックとなりネリも無罪放免となり山中の敗北の記録は消えることがありませんでした。
特にサスペンドのないネリは11月にティファナでノンタイトル戦としてアーサー・ビジャヌエバと対戦。テテと対戦したビジャヌエバ相手に4ラウンドにダウンを奪われましたが6ラウンドに仕留めて当然のように試合をしています。
そして山中はランキング1位に据え置かれて2018年の3月に日本でネリと再戦。しかしここでもネリはやらかします。試合前日の計量にてネリはバンタム級のウェイトを約2キロオーバー。再計量でも1.4キロオーバーしてきます。
私はネリではないので断言できませんがこれは意図的なウェイトオーバーである可能性が極めて高いです。ウェイトがきつい選手はすでに厳しい減量をしたうえでウェイトオーバーした場合はすでに絞るものがなくなっているため短時間で0.7キロも落とすのは医学的に不可能だからです。
山中選手はこの軽量時に目に涙を浮かべてネリを睨みつけながらふざけるなとつぶやいたと伝えられています。正直この試合は個人的にやらなければならない試合なのかなと大きな疑問を持ちました。もちろん試合をしなければテレビ局の契約とは違反することになりますしチケットを買ったファンに申し訳ないことになるのは分かります。でも命を懸けたスポーツにおいてこれは危険なのではないか?試合をキャンセルして山中選手を守るべきじゃないかなと強く思いました。
試合は大きなブーイングを浴びたネリが初回からダウンを奪い、2ラウンドに一気に試合を決めます。山中はこの試合を持って現役を引退。ネリは試合後に大きな批判にさらされます。
WBCはネリに対してファイトマネーを凍結。プロフェッショナルに欠ける行為として6か月間の出場停止という正直軽く感じる処分だなと思いました。
日本コミッションはこれ以上ない処分を下します。事実上の永久追放となる招聘禁止、無期限の日本における試合の出場停止処分が下されました。ただ、もちろん日本でのみ効果のある処分です。
この問題は海外でも大きな反応を呼びましたが個人的に最も印象に残るのは元5階級制覇王者でメキシコの英雄と言われるホルヘ・アルセの日本コミッションのネリの永久追放処分がばかげているという発言です。この発言はネリが若いから過ちも犯すという趣旨でしたがこれは違うかなと個人的には思いました。
ネリが強いことは認めますし、2戦目に関しては試合を受けた以上山中選手の毛で文句のつけようがありません。ただ、勝てばいいのか?スポーツマンシップも何もない彼を野放しにしていいのか?ともやもやが残ることになりましたね・・・
山中戦後とまたもやらかし
ネリは山中との試合後2018年の10月にジェイソン・カノイと対戦して3ラウンドKO勝ち。空位のWBCシルバータイトルを獲得してバンタム級で試合を続けます。
そして今年の3月にはエロール・スペンスVSマイキー・ガルシアのIBFウェルター級タイトルマッチのPPVカードのアンダーに出場します。対戦相手は元IBFスーパーフライ級王者のマックジョー・アローヨ。
アローヨは井岡一翔と対戦したマクウィリアムスの双子の兄弟でヘルウィン・アンカハス、ルーシー・ウォーレンと拳を交えた技巧派のプエルトリカンです。2階級制覇を狙っていましたな。
そして全米で中継されたこの試合はネリが最高のパフォーマンスをします。元王者のアローヨを初回から圧倒したネリは合計4度のダウンを奪う快勝でアローヨは5ラウンド開始前に棄権!この試合のコメンテーターはネリのことを最も才能ある選手の一人と呼んでいましたね!
ネリはWBCタイトルを狙うことを公言しており来年あたりにはウーバーリと井上拓真の統一戦の勝者かWBSSトーナメント覇者との試合が行われる可能性ありですね!!
そしてネリは2019年7月21日にラスベガスでマニー・パッキャオVSキース・サーマンの前座で元WBAバンタム級スーパー王者のファン・カルロス・パヤノと対戦。パヤノはアンセルモ・モレノの長期政権を終わらせたベテランでオリンピックにも出ている曲者。ルーシー・ウォーレンも下してますがリマッチで敗れてそのあとはWBSSトーナメントの1回戦にて井上尚弥に70秒で失神KO負けを食らいましたがプロスペクトのダミアン・バスケスを下してきましたな。
そしてこの試合はネリはかなり苦戦します。常にサイドに逃げ回るパヤノにパワーで勝りポイントこそとっていたもののなかなかダメージを与えられない展開となりましたが9ラウンドに打ち合いの中で左ボディを炸裂させるとパヤノはダウン!10カウントを聞かせて実力の高さを示してますね!しかもトレーナーにはカネロのトレーナーとして有名なエディ・レイソノを迎えており更なる飛躍を目指してます。
おいおいマルガリートのパクリかよ…ルイス・ネリvs.ファン・カルロス・パヤノ
そんなネリの次戦は元IBFバンタム級チャンピオンで井上尚弥に2ラウンドでフルボッコにされたエマヌエル・ロドリゲス!デオンテイ・ワイルダーとルイス・オルティスのラスベガスのPPVカードの前座になるということでまたまた大きな試合となります。しかもこの試合の勝者はWBCバンタム級の指名挑戦者としての権利を得ることになりますね!
ロドリゲスはプエルトリコの硬質なパンチを持つボクサーでイギリスで元王者のポール・バトラーを撃破して王座を獲得。初防衛戦ではWBSSトーナメントでジェイソン・モロニーとの指名試合をしましたが大苦戦。セミファイナルでWBAチャンピオンの井上さんにボコボコにされて陥落しましたな。本来は元WBAスーパーチャンピオンのルーシー・ウォーレンとの試合を控えてましたがウォーレンの怪我で同じく対戦相手を探していたネリとやることになりましたな。
しか―しここでまさかのネリはウェイトオーバー。。。ロドリゲスは試合を拒否してネリはまたまたやらかしてしまい、ビッグチャンスをふいにしてしまいましたね。。。
ロドリゲスさん2度目のボコられの予定…ルイス・ネリvs.エマヌエル・ロドリゲス予想
スーパーバンタム級へ
ネリはロドリゲスとの試合でやらかしたためバンタム級を出禁にされちゃいます。そんなネリは次戦でWBC王座決定戦となるアーロン・アラメダ戦を引き当てます。
アラメダは元トップアマのエリートでなかなか手強いサウスポー。入り際に合わせるカウンターが得意でアッパーも得意ですがネリほどの相手との試合経験はないですね!
そして試合ではディフェンシブに来るアラメダにネリは苦戦!うち終わりにカウンターを決められて思うように進められない試合になりましたがネリはプレッシャーをかけてアグレッシブに攻めて判定勝ち。苦戦となりましたが2階級制覇に成功します。
ネリさんバンタム級出禁…ルイス・ネリvs.アーロン・アラメダ予想
そして次戦はWBAレギュラーチャンピオンで無敗のブランドン・フィゲロアと対戦。フィゲロアはスーパーバンタム級王者としてWBA王座を獲得。PBCで試合をしているのですが地元のテキサス州ではソールドアウトにしてしまうほどの人気を誇っております。
また、お兄さんのオマール・フィゲロアも元WBC世界ライト級チャンピオン。日本の荒川仁人とも激闘を演じた男であり、現在はウェルター級コンテンダーとして試合をしており、兄弟揃って大きな人気を誇っておりますな。
フィゲロアのスタイルはそのスーパーバンタム級とは思えないほどの大きな体格と上背で前に出てきて顔面とボディに左右アッパーを振り回してガンガン攻めて押し込んでくるファイタータイプ。間合いが離れると強烈な左ストレートが飛んでくるし、相手からしたら休む暇もないほど攻め込むのが特徴。対戦相手は中盤から後半にかけて根負けしてしまうことが多いですね!
そしてこの試合は開始からフィゲロアがガンガン出てきてネリも得意のフックで応戦するインサイドの打ち合いに!ネリは押し込まれ始めるとアウトボクシングに切り替えてフィゲロアは目を腫らせて苦しい試合となりましたが、7ラウンドに打ち合いに持ち込み、左ボディ一閃!ネリはたまらずダウンして10カウントを聞きました!
この試合でネリは初黒星。スーパーバンタム級では体格が足りないことを自覚して今後どのように動くのか見ものですね。
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ネリのファイトスタイル
ネリのファイトスタイルは豪快でエキサイティングです。サウスポースタイルから頭を常に振って前進し、対戦相手と間合いを詰めるとガードの外から左右フックをたたきつけてくるパワフルなスタイルです!
そのため多少の被弾はするのですが思い切り振り回してくるので圧力はとても強く、単純なパンチ力もバンタム級では相当なものです。彼の馬力溢れるスタイルはアメリカでも今後注目されると予想されます。
ただ、山中戦で露呈したように意図的にウェイトオーバーするなど強者と対戦する場合、自分が勝てるかどうかわからない試合に身を置いた場合にルール違反をするなどメンタルの弱さは弱点として挙げられますね!!
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今後期待される試合
ネリに今後期待される試合はバンタム級、スーパーバンタム級トップ選手たちとのビッグマッチです。憎たらしいですがネリはバンタム級屈指の実力者であることに変わりはありません。
バンタム級には多くの才能ある選手があふれており、他の階級だとチャンピオンになっていても全くおかしくない選手が多いです。WBC王者はオウバーリ、WBAはスーパー王者にドネア、レギュラー王者に井上尚弥、IBFは井上尚弥、WBOはテテと暫定王者にカシメロ、コンテンダーにはロドリゲスに惜敗したモロニーと混戦状態が続いています。
ネリはスーパーバンタム級に上げざるを得ない状況になりましたが、ベストな階級はバンタム級だと思います。体格的には小さいので真剣にやればウェイトも落とせるはず。なので将来的にはバンタム級に戻してくると思いますね。
その中でもやはり期待したいのは井上尚弥との一騎打ち。アメリカの試合でしかできないでしょうがパウンド・フォー・パウンドと言われる井上にぜひとも山中の仇を取ってほしいですね!!
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ネリの人となり
日本のリングの上でネリはいろいろと問題を起こしてきたトラブルメーカーのネリはやはりプライベートにも問題ありなようです。
トレーナーによると日本の記者が山中戦前にティファナで練習の取材に言ったものの練習時間に平気で数時間遅れてきたり、ひどい場合は来なかったり、子供が生まれたばかりなのに日本にその子供の母親とは別の女性を連れてきてそのことについての質問を拒否するなどかなり問題がありそうですね・・・
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まとめとネリの今後
いかがでしたでしょうか?疑惑付きの試合になりながらもレコード上は名王者の山中慎介に2連勝して激戦区のバンタム級でトップ選手として君臨するルイス・ネリ。彼の試合はここ最近アメリカで注目されており今後はビッグファイトに臨むと見られます。
しかもバンタム級にはWBSSトーナメントが行われており、井上尚弥、ノニト・ドネアが決勝で激突。WBCにはオウバーリと井上拓真がおりWBOにはゾラニ・テテとジョン・リル・カシメロがおり対戦相手に困ることはありません。
トーナメントの終了後も有力選手として世界戦線に絡むことは間違いないとみられ誰と対戦することになっても今後に注目ですね!!
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