今日は元ミドル級4団体王者
ジャーメイン・テイラーを紹介します。

- 作者: Jesse Russell,Ronald Cohn,Jesse Russel
- 出版社/メーカー: Book on Demand Ltd.
- 発売日: 2013/01/13
- メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
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テイラーと言えば、史上初の4団体統一を果たしたバーナード・ホプキンスに連勝して史上2人目の4団体統一王者になったことで有名ですよね。
テイラーのニックネームは"bad intentions"
日本語で邪悪なる意志っていう怖そうな感じですよね。
テイラーの持ち味はなんといっても鋭い左。
オーソドックスの構えから出されるシャープな左は切れ味抜群で硬質。ワンツーを中心に中間距離の差し合いで相手を圧倒するソリッドなアウトボクサーです。
だけど欠点もあります。それは
とにかくパンチをまともにもらう。
別にディフェンスが悪いわけではないんですが、見切りがあまり良くないのとあまり打たれて強くないんですよね。
なので壮絶なKO負けも多い選手です。
後リングの外での素行ですが近年特に
大変悪いです。
バスケットボールの選手と結婚してて娘さんがいますが最近の記事だとガールフレンドにDVしたりとかあったんで離婚したのかな?
最近だと甥に発砲したりマリファナ所持で逮捕されたり薬物依存リハビリ施設で男性に重傷負わせたり、人間としてはもうダメですな
実はパウンド・フォー・パウンドなのでは…デメトリアス・アンドラーデ!
来歴
ジャーメイン・テイラーは1978年アメリカのアーカンソー州リトルロックの貧しい家庭で生まれました。
彼の半生は壮絶で5歳の時に父親が蒸発。
母親はフルタイムな看護師として働き、テイラーは家事を担当し妹2人の世話を見ていたそうですね。
恵まれない環境の中元ボクサーの叔父の影響でボクシングを始めた彼はその余りある才能を開花させ、アマチュア全米王者、シドニーオリンピックで銅メダルに輝きます。
この実績を引っさげて2001年にプロデビュー。
当初から注目を集める存在だったそうです。
そんな彼は2003年にはWBCアメリカ大陸ミドル級王座を獲得。
ラウル・マルケスやウィリアム・ジョッピーらの強豪相手に防衛し、順調にキャリアを積んでいます。
そんな彼には世界初挑戦がビッグマッチとなります。
史上初の4団体統一王者となったバーナード・ホプキンスへの挑戦が初の世界タイトル戦になるんですね。
この試合は2005年に行われテイラーが27歳ホプキンスは40歳でかなりな年の差対決にもなりましたね。
そして迎えたこの試合は一進一退の戦いとなります。切れ味抜群のパンチのコンビネーションでホプキンスの前進を止めようとするテイラーに対して老獪なクリンチワークを駆使してペースを明け渡さないホプキンス。
ポイントはめちゃくちゃ微妙。
採点は2-1の判定でテイラーとなりホプキンスの持つ4団体のベルトを一気に強奪!
世界王者に輝きました。
ちなみに個人的にはこの試合はギリギリホプキンスかなと思いましたね
そして初防衛戦前回の戴冠戦は議論を呼んだためホプキンスとのリマッチになります。
この試合を行うためテイラーはIBF王座を返上。3団体王者として試合に臨みます。
そしてこの試合、テイラーはホプキンスとまたもや接戦を演じます。
しかし前回と大きく違ったところはラウンド毎のメリハリですね。
テイラーがとったラウンドはかなり明確でこの試合に向けてテイラーはきっとホプキンス相手に全てのラウンドを取るのは無理だと判断し、取るラウンド数を最低限決めて臨んだのだろうと思われます。
結果115-113ではあるものの明確な3-0の判定でホプキンスを下し因縁に決着をつけます。
フロッチさんしつこいな…カール・フロッチvs.ジャーメイン・テイラー
強豪達との世界王座防衛ロード
そしてテイラーはその後ミドル級の強豪相手に骨太路線の防衛ロードを歩みます。
初防衛戦は元スーパーウェルター級統一王者ロナルド・ライトと一進一退の技術戦を繰り広げ辛くもドローで防衛。
2度目の防衛戦は元スーパーウェルター級王者のカシム・オウマと対戦し、危なげなく12ラウンドをクルーズしての3-0判定勝ち。
3度目の防衛戦は元スーパーウェルター級王者で元ウェルター級王者。3階級制覇を狙うコーリー・スピンクスと対戦し、カウンター狙い同士のものすご〜く手数が少ない12ラウンドの末2-1の判定で防衛。
と王座獲得からここまで一つもかませ犬との試合がないんですよね。
しかしこの後先ほどの面子よりは一段落ちる相手との防衛戦となります。
ミドル級のコンテンダーのケリー・パブリックですね。
パブリックはここまで全勝で強打を武器に前戦ではコロンビアの怪人エディソン・ミランダに強烈なKO勝ちを収め初の世界戦にたどり着きました。
でも実績で大きく劣るパブリックはもちろんかませ犬でしたね。一方のテイラーはこの時点でWBA王座を一度も防衛しておらず剥奪されてWBC.WBOの統一王者になっていました。
そしてこの試合はテイラーの優位が試合前伝えられていました。まぁ対戦相手の質がちゃいますからね
そして迎えた試合。パブリックはテイラーのスピードについていけず2ラウンドにはコンビネーションをまともにもらい、痛烈なダウンを奪われます。
KOは時間の問題かと思われました。
しかし、テイラーはKOを狙い序盤を飛ばしポイント有利で折り返しますが回復してきたパブリックの前進を止めきれなくなります。
徐々にパブリックのパンチを被弾していくテイラーは迎えた7ラウンド。パブリックのプレッシャーに飲み込まれ、コーナーで痛烈なコンビネーションを被弾し崩れ落ちる衝撃的なダウン!!そのままストップ負け。
レフェリーが即座にストップをかけるほどの強烈なシーンでした。
テイラーはこの試合が初黒星にして初のKO負けになりましたね。
そしてテイラーはパブリックにキャッチウェイトでのノンタイトル戦でパブリックにリベンジを即座に挑みます。
そして迎えたこの試合でしたが前回以上に接戦となります。スピードでパブリックを圧倒するテイラーですがパブリックの前進を止め切ることはできず、下がるシーンが目立ちます。
パブリックの方がパンチの効果はあり結果は3-0の判定でパブリック。
僅差ではありましたが、僕の採点も115-113でパブリックでしたね。
リベンジに失敗したテイラーはスーパーミドル級に階級を上げることになります。
スーパー6への参戦と戦線離脱
テイラーは復帰戦でかつてIBF世界スーパーミドル級王者だった強打者ジェフ・レイシーと対戦し、危なげなく3-0の判定勝ちを収め、転級初戦を飾ります。
そしてネームバリューのあるテイラーには2階級制覇をかける世界挑戦が決まります。
WBC世界スーパーミドル級王者カール・フロッチとの対戦ですね。
フロッチはこの試合が初防衛で実績ではテイラーが上回ります。
そしてこの試合は動きがやや鈍重なフロッチを序盤テイラーが攻め立てます。
3ラウンドには切れ味抜群のコンビネーションでタフなフロッチからダウンを奪うテイラー。
その後も的確なパンチで前半戦を有利に折り返します。
しかしイギリスのコブラはしつこかった
タフなフロッチは徐々にテイラーのスピードに慣れ自身の強打をコネクト。テイラーを失速させていきます。
そして前半の貯金でややポイント有利のテイラーが迎えた12ラウンドフロッチの強打で痛烈にダウン!
続行に応じますが連打を浴びてストップ負けを喫し、フロッチの出世試合にされてしまいます。
しかし、フロッチと演じた激闘自体は評価され彼には次のチャンスが舞い込みます。
その半年後テイラーはスーパー6のトーナメントにエントリー。
このトーナメントはカール・フロッチ、ミッケル・ケスラー、アンドレ・ウォード、アルツール・アブラハム、アンドレ・ディレルが参加するスーパーミドル級の一大イベントで優勝者にはWBC.WBAの王座が与えられます。
そして迎えた総当りトーナメント初戦、テイラーは元IBFミドル級王者で10度防衛したアルツール・アブラハムと対戦します。
アブラハムはテイラーが返上した王座を引き継ぎ、ドイツで防衛を重ねたパワーファイター。
一つ上の階級で相見えることになりました。
この試合の前半は本当に一進一退。攻防分離のアブラハムの前進を止めるべくコンビネーションをガードの上から放つテイラーが序盤はポイントリード。
しかし、徐々にアブラハムがプレッシャーを強めて距離がつまり始めテイラーも被弾する。
そして疲労とダメージの蓄積でアブラハムにリードを奪われた最終12ラウンド、アブラハムのえげつない右ストレートをまともに食らって後ろに吹っ飛ぶ強烈なダウン!!そのままストップ負けを喫しました。
テイラーは失神し病院に直行。すると小さな脳出血と試合の詳細を思い出せない短期記憶障害になってしまいます。
このことを受けテイラーはスーパー6を離脱。
1年の休養を余儀なくされます
テイラーさんが吹っ飛んだ…アルツール・アブラハムvs.ジャーメイン・テイラー
7年ぶりの王座返り咲きと事実上の引退
その後1年ぶりに復帰したテイラーは後に世界王者となるケイレブ・トゥルーアックス
を判定で下すなど再起への道を歩みます。
しかし世間はもうテイラーを過去の人物として捉えていました。
だって彼の栄光はもう7年前。次々に新しいスターが生まれる世界ですからね。
そんなテイラーはチャンスを掴むためもう一度ミドル級に戻る決断をします。
そして迎えたラストチャンス。2014年に訪れたIBF世界ミドル級王者サム・ソリマンとの対戦です。
ソリマンはオーストリアの曲者で名王者フェリックス・シュトルムを破っての王座戴冠。
初防衛にネームバリューのあるテイラーを迎えました。ソリマンはこの時41歳で遅咲きの王者対するテイラーも36歳とベテラン対決となりましたね!
しかし、この試合の前に事件が起こります。試合の1ヶ月前、テイラーが従兄弟に発砲した罪で逮捕されるんですね。
保釈金を払い出場は許可されたテイラーでしたが試合の後裁判が待っており、メンタルが心配されました。
そして不安を抱えたまま迎えた試合。
テイラーが快勝します。
序盤は一進一退の攻防が続きやりにくいソリマンに手を焼くテイラーでしたが7ラウンドにスリップ気味のダウンを奪います。
この時に足をくじいた感のあるソリマンからこの後3度のダウンを追加し12ラウンドをクルーズ。見事に判定勝ちを収めて7年ぶりの王座返り咲きに成功しました。
これってマジで凄くないですか?階級上げててまた下げて王座に返り咲くって並大抵の努力ではできないと思うんですよね。
7年ぶりの王座返り咲きも普通ではできない偉業だと僕は思いますね。
しかし、その後テイラーは元スーパーウェルター級王者のセルヒオ・モラとの初防衛戦が決まりながらもまたもや逮捕されます。
今回は男性に発砲し傷を負わせ、男性の妻と子供にも銃を突きつけた罪でした。
そして逮捕された際マリファナも所持しており防衛戦は中止、王座は剥奪されてしまいます。
その後も荒れるテイラーは薬物依存リハビリ施設で男性に重傷を負わせ逮捕されます。
男性は顔など5カ所を骨折し集中治療室に運ばれるほど重体だったそうです。
従兄弟に発砲した事件の損害賠償も破産していたテイラーは支払うことができず。
さらには2017年に恋人に暴力を振るったとして逮捕されます。彼は保釈金が払えず留置所で拘留されていると少し前にニュースに乗っていました。
ちなみにですが、従兄弟に発砲した事件の原因はテイラーの車に傷が付いているのをテイラーが発見したから。ただそれだけなんですよね…
処刑人がプエルトリコのスーパースターを撃退! バーナード・ホプキンスvs.フェリックス・トリニダード
総括
ボクサーとしては4団体の統一王者となり、数々の強豪と拳を交え36歳にして王座に返り咲くなど一流の活躍を見せ続けたテイラー。
だからこそ近年の荒れ具合は残念ですよね…
多分精神的に不安定なんだろうな…
きっと今後テイラーがリングに戻ることはないと思われます。もう今年で40歳ですしね。
恵まれない環境で育った彼は周りの人間達にも恵まれなかったのかもしれませんね…。
しかし、彼がリングの上で残してきた功績は決して色あせることはありません。
切れ味抜群のパンチを武器に激闘を繰り広げたテイラー。
時にまともにパンチをもらい、壮絶なKO負けを喫することも多かったですが素晴らしいボクサーであることに疑いの余地はないでしょう。
まぁ人としてはどうかと
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