こんにちは。管理人です。
今日はイギリスのノッティンガム出身の偉大なボクサー。カール・フロッチ
を紹介したいと思います。

- 作者: Carl Froch
- 出版社/メーカー: Ebury Press
- 発売日: 2011/09/12
- メディア: ハードカバー
- この商品を含むブログを見る
フロッチは元世界スーパーミドル級王者で3団体の王座を獲得しており、数々のビッグマッチで激闘を見せ勝ち抜いた超人気ボクサーです。
彼の最大の魅力はとにかく
ひょろ長く伸びる左右の強打。
表現がちょっとアレですが本当にこれかなと。スピードが豊富なわけではないですが相手の想定よりも伸びるその独特のパンチで幾多の強豪をマットに沈めてきました。
そしてフロッチのもう一つの長所はとにかくタフです。
メンタル的にも肉体的にも強靭でダウンを奪われても巻き返し、敵地でも最高のパフォーマンスを発揮できる真のウォリアーですね。
ちなみに現在引退した彼はテレビの解説などをしているようですね。
boxing sceneの記事にも度々出ており彼のトラッシュトークは見てて楽しい限りです。
だってイギリス英雄ジョー・カルザゲに俺から逃げたとかケスラーとのリマッチ前には放送禁止用語で怒られたりしてましたからね。
フロッチさんアブラハムをあっさり攻略…カール・フロッチvs.アルツール・アブラハム
来歴
フロッチは1977年イギリスのノッティンガムで生まれユダヤ系の父を持ちます。
フロッチはアマチュア時代から頭角を現しており2001年の世界選手権では銅メダルを獲得してるんですね。
そしてその実績を引っさげて2002年25歳にしてプロデビューを果たします。
そしてその1年後にはイギリススーパーミドル級王座を獲得、4ヶ月後にコモンウェルス王座獲得と快進撃を続けますね。
そして順調に両王座を防衛したフロッチの初期のキャリアで特筆すべき試合があります。
それは後にWBA王座を獲得するブライアン・マギー戦ですね。
この試合技巧派のマギーの前にペースを掴めなかったフロッチ。
しかし徐々にひょろ長く伸びる強打で距離を掌握しパワーの差を生かして反撃に転じます。
ポイントではリードされていた11ラウンドに強烈な右アッパーを決めて壮絶なKO勝利!!
敗れたマギーは呼吸器をつけるほどのダメージでしたね…フロッチのパワーを物語った一撃でした。
そして迎えた初の世界タイトル戦。
WBC王座決定戦に出場したフロッチの相手はカナダの強豪ジャン・パスカル。
31歳にして初の世界タイトル戦を地元で迎えたフロッチでしたが、パスカルの身体能力、スピードの前に大苦戦。
しかし持ち前のしぶとさで減量の影響からか後半動きの鈍ったパスカルを攻め立て僅差の判定勝ちを収めて王者に輝きます。
この判定はマジで微妙でした。初めて見た時の僕の採点ではドローでしたね。
ちなみにパスカルはこの後ライトヘビー級で長く一線級で戦うことになります。
パスカルさんイギリスにて敗退…カール・フロッチvs.ジャン・パスカル
そして王者として迎えた初防衛戦。
相手は元ミドル級4団体王者のジャーメイン・テイラー。
パブリックに敗れたテイラーですが階級を上げてフロッチに挑みます。
そしてこの試合は激アツな展開になります。
鋭い左とスピードを武器にガードの低いフロッチに序盤パンチを集めるテイラー。
3ラウンドには強烈な右でタフなフロッチからダウンを奪います。
僕の採点では 5ラウンドまでテイラーのフルマークでしたね。
しかし、しぶといコブラはここからが本番です。ジリジリと距離を詰めて左右の強打を放つフロッチの圧力に徐々にテイラーは被弾が目立つようになります。
テイラーってすごいパンチの切れ味なんですけどパンチのもらい方がすげぇ怖いんですよね。
ダメージを蓄積させたフロッチは最終12ラウンド強烈なコンビネーションでテイラーからダウンを奪い、試合終了間際に逆転ストップ勝ちを収めます!!
この試合でフロッチがなぜ王者なのかを示したと思いますね!!
フロッチさんしつこいな…カール・フロッチvs.ジャーメイン・テイラー
スーパー6への参戦
2009年フロッチに最高の舞台が整います。
それはスーパーミドル級で行われた強豪6名のボクサーによる総当たりのトーナメントスーパー6です。
このトーナメントの優勝者はWBCとWBAの王座を統一することになります。
ボクサー冥利につきるようなこのチャンスにフロッチも飛びつきます。
このトーナメントの参加者はWBC王者フロッチに加えてWBA王者ミッケル・ケスラー、元ミドル級4団体王者ジャーメイン・テイラー、元ミドル級王者で10度の防衛に成功したアルツール・アブラハム、アテネオリンピック銅メダリストのアンドレ・ディレル、アテネオリンピック金メダリストのアンドレ・ウォードといった錚々たる面子でした。
そしてトーナメントの初戦フロッチの相手はトップコンテンダーのアンドレ・ディレル。
ディレルは瞬間的なスピードが早く、的確なコンビネーションで相手を撃ち抜く文句なしの実力者です。
この試合はフロッチの地元ノッティンガムで行われます。そして内容としてはまぁフロッチにしてみれば苦しい試合でした。
フロッチの強打を警戒してか距離を取るディレル。リングゼネラルシップでは上回りますが手数が少なくポイントはかなり微妙。
対するフロッチは攻めるもののヒット率が少なくフロッチの前進を取るかディレルのヒット率を取るかのポイントゲームになる。
結果は2-1の僅差判定でフロッチの勝利。
しかし個人的にはディレルがギリギリ逃げ切ったかなと。
人によって結果が違いそうな試合でしたね。
猛毒のコブラ大苦戦を演じる…カール・フロッチvs.アンドレ・ディレル
そして迎えたスーパー6第2戦。
フロッチは敵地デンマークへ乗り込みミッケル・ケスラーと対戦します。
ケスラーは第1戦でウォードに番狂わせの敗北を喫しており、負けられない立場。
フロッチも優勝候補のケスラーに勝てば大いに評価を上げる一戦になりました。
試合は一進一退の打撃戦になります。
両者は一歩も引かずに打ち合い12ラウンドに渡って激闘を演じます。
しかし要所で的確なクリーンヒットを奪ったケスラーの手が上がりました。フロッチにとって初の敗北ですね。
ケスラーさん要所を締めてフロッチ撃退…ミッケル・ケスラーvs.カール・フロッチ1
しかしフロッチのメンタルは全く衰えていませんでした。
フロッチは第3戦として中立国フィンランドにてアルツール・アブラハムと対戦します。
この試合にはケスラーが眼疾のためトーナメント離脱、返上したWBC王座の決定戦にもなりました。
アブラハムはスーパー6の第2戦でアンドレ・ディレルにまさかの反則負け。
劣勢の中スリップしたディレルに加撃してしまい、メンタルの弱さを見せてしまいました。
お互い再起戦同士の決定戦はフロッチのグレートな勝利でした。
この試合攻防分離の傾向が強いアブラハムに付け入る隙を全く与えずリングを周りボディーを中心にパンチを集めアブラハムを中間距離に釘付けにして大差の判定勝ち。
この時のフロッチはテイラー戦に並ぶパフォーマンスでしたね。さらに王座返り咲きにも成功します。
その頃トーナメントはその過酷さから離脱者が続出します。
ミッケル・ケスラーは眼疾、ディレルはアブラハムの反則打の後遺症で神経障害、テイラーは初戦のアブラハム戦で脳震盪を起こし脳出血で離脱していました。
そしてスーパー6準決勝を迎えたフロッチ。相手は負傷者続出により途中参戦した古豪グレン・ジョンソン。
ジョンソンは元ライトヘビー級王者でかつてはロイ・ジョーンズをKOで下しており名だたる強豪と激闘を繰り広げてきた歴戦の雄です。
アメリカで行われたこの試合両者は激しく打ち合います。フロッチの強打をしこたま浴びても前進をやめずに逆に強烈なパンチを振ってくるジョンソンにフロッチは苦戦。
ポイントは拮抗しますが2-0の判定をモノにし、決勝戦にコマを進めます。
フロッチさんジョンソンとどつき合い…カール・フロッチvs.グレン・ジョンソン
そして迎えた決勝戦。
相手はスーパー6にてダークホース的存在だったアンドレ・ウォード。
しかし彼はこの大会で名だたる強豪を相手に危なげない判定勝ちを収め続け決勝戦へと全勝で勝ち上がってきました。この頃には優勝の大本命になっていましたね。
アメリカのアトランティックシティで行われたこの試合は大方の予想通りの展開となります。
フロッチはウォードのスピード、動きについていけず細かいパンチを被弾し続け思うように試合を運べないままラウンドを消化。
判定負けを喫します。
さらに言うと試合中にウォードは拳を骨折。それでもフロッチを圧倒したことから歯が立たなかったですね。
フロッチはウォードのことを試合後彼はグレートだとコメントを残しており、本人も納得の敗戦でしたね。
スーパー6を34歳で準優勝したフロッチ。
しかし彼のキャリアの本当のピークはここからでした。
ウォードさん骨折しながら楽勝…アンドレ・ウォードvs.カール・フロッチ
王座返り咲きとビッグマッチ
スーパー6直後、フロッチに願っても無いチャンスが舞い込みます。
それはIBFスーパーミドル級王者ルシアン・ブーテへの地元ノッティンガムでの挑戦です。
ブーテはルーマニア出身でカナダを主戦場にし、サウスポースタンスから放たれる強烈な左アッパーを主武器に9度の防衛に成功していました。
しかしブーテはカナダからこれまで出てこず、スーパー6にも不参戦で、スーパー6優勝者との対戦を望んでいました。
しかし優勝者のウォードは骨折により戦線離脱。準優勝者のフロッチにチャンスが回ってきた形ですね。
地元の大歓声の中リングインしたフロッチは開始早々から歓声に押され前に出て強打をふるいます。
1ラウンドから強烈な右でブーテにダメージを与えるフロッチ。時折ブーテの左をもらうもビクともせずブーテをロープに詰めて何発も強打をコネクトします。
4ラウンドにはブーテのダメージは甚大でフロッチはもはやノーガード。
4ラウンド終了間際に右を浴びせてブーテをストップ寸前まで追い込みます。
そして迎えた 5ラウンド目、ブーテの足元はもうフラフラです。ロープ際で体をもたらさなければ立ってられないほどのダメージを与え、レフェリーがスタンディングダウンを宣告。
歓喜狂乱の大歓声の中ストップ勝ちを告げられキャリア最大の勝利を挙げました。
名勝負の多いフロッチですがこれがベストバウトであることは多くの方の意見と一致するのではないかな?
この後ブーテは王座に数回挑戦するも実らずこの試合がキャリアのターニングポイントでしたね。
その後、フロッチはユーサフ・マックを相手に格の違いを見せつける3ラウンドKO勝ちで初防衛に成功。
そしてリベンジマッチに挑みます。
王座統一と王座在位のまま引退
フロッチは36歳の時自身がかつて辛酸を舐めた相手ミッケル・ケスラーとのリマッチに臨みます。
ケスラーはスーパー6離脱後ブランクを経ながらフロッチのかつてのライバルでWBA王者となっていたブライアン・マギーをKOし、王座に返り咲いていました。
そしてこの2人の試合で最も熱かったのは試合地ですね。
初戦はフロッチがケスラーの地元デンマークへ乗り込み、2戦目はケスラーが今度は自分の番だとイギリスに乗り込んできたんですよね。
すげぇ男らしいと思いません?
そして迎えた試合は期待に違わぬ激戦となります。
技術で勝るケスラーに一歩も引かずお互いにいいパンチを交換し合う12ラウンドが続きます。
しかしフロッチは大歓声に押されて前に出続け試合後半はフロッチがペースを握ります。
そして迎えた12ラウンドケスラーの右をもろに食うフロッチですが強打を返し、ケスラーを押し返します。
盛り上がる場内の歓声を背にフロッチは終了間際ケスラーをストップ寸前までに追い込み3-0の判定勝ちを収めて見事にリベンジに成功。
王座の統一にも成功しました。
ケスラーが華麗に4度目の返り咲き ミッケル・ケスラーvs.ブライアン・マギー
そして次なるフロッチの標的はもちろん苦杯を喫したウォード。
しかしこのリマッチはウォードの怪我、プロモーターとのトラブルが原因で実現しませんでした。
代わりにフロッチは同国のトッププロスペクトのジョージ・グローブスと対戦します。
この試合前にフロッチは露骨にテンションが上がらないことを嘆いていたのが印象的です。
そらそうですよね。ここまで勝ち上がってきたのに相手は強豪とは言えまだ世界王者になってないグローブスで格下ですし。
そして迎えたこの試合フロッチはまさかの大苦戦を演じます。
グローブスの痛烈な右で仰向けにひっくり返る強烈なダウンを1ラウンドから奪われるフロッチ。立ち上がりますがダメージはかなりあり足元をおぼつきません。ストップされてもおかしくないぐらいのダメージでしたね。
ダメージを負ったフロッチはその後もグローブスの強打をかわしきれず前半戦を圧倒的不利な展開で折り返します。
ポイントでも不利だった試合後半、持ち前の根性と不屈の闘志で徐々にカムバックするフロッチ。そして迎えた9ラウンド。
フロッチのコンビネーションが炸裂!!
ふらついたグローブスを見てレフェリーが試合をストップ!!
なんとか防衛に成功しました。
しかしこのストップのタイミングは相当早く、議論を呼ぶことになりますね。
この結果を受けて2人は決着戦を行います。
場所はグローブスの地元ロンドンのウェンブリースタジアムで行われます。
この試合はマジで一進一退。
両者の意地とプライドがぶつかり合うような展開でお互いの強打が炸裂します。
そして迎えた8ラウンド、ポイント劣勢のフロッチのえげつない右ストレートがロープ際のグローブスにクリーンヒット!!
リングから半身を出すような形でダウンしたグローブスを失神させ敵地でノックアウトオブザイヤーの候補になるKOを見せつけましたね。
ちなみにこの後グローブスは4度目の挑戦しにて世界王者に輝き、現在はWBSSの決勝に駒を進めています。この敗戦が糧になっていることは間違いないでしょう。
そしてこの強烈なKO勝ちの後フロッチは再びウォードとの再戦を望みます。
しかしWBA王者だったウォードはライトヘビー級に進出。フロッチは1年間試合を行わず世界タイトルは返上、剥奪されていました。
ウォードとのリマッチが全てだったフロッチは38歳にして現役引退。実質的には王座在位のままでしたね。
その後フロッチはイギリスのテレビ放送の解説者として活躍しています。一方のウォードもライトヘビー級で3団体王者となり2階級制覇を成し遂げていますね。
総括
イギリスの猛毒コブラのキャリアは壮絶なキャリアでしたね。
フロッチの戦績は33勝2敗
この2敗はミッケル・ケスラー、アンドレ・ウォードという歴史に名を残す相手との対戦でいずれも世界戦です。
そしてケスラーには雪辱を果たしています。
フロッチはキャリアの中でWBC王座に2度就きIBF王座とWBA王座を統一。イギリスでは絶大な人気を誇りながらも敵地に行くことも厭いませんでした。
時に舌禍でバッシングを浴びた彼ですがそんなことよりも彼が大歓声の中歓声に応える姿の方が印象に残っているのは僕だけかな?
ノッティンガムが生んだ偉大な名勝負製造機のフロッチ。彼の功績は殿堂入りに値すると思いますね。 海外ボクシングの試合を見るならWOWOWがおすすめです!お申し込みは下記のリンクからどうぞ!! (海外ボクシングを見るならWOWOW)
偉大なる父の名を背負うネクスト・ジェネレーション!クリス・ユーバンク・ジュニア!!